23話:ダンジョン
次の日、朝からギルドでアイリーン、シアン、ナナの冒険者登録を済ましたあと、夜に大量に狩った魔物の素材と畑の薬草を売り、簡単に腹ごしらえを済ませて現在。
「やっばい、もう楽しい。」
俺たちは森の中のダンジョンに来ていた。
今朝ギルドに行くとなんだか辺りが騒々しく3人が冒険者登録を済ましている間に受付の人に聞いたところ、いつも行っている町外れの森に新しくダンジョンができたらしくみんなそこに向かおうと許可証の発行に来ているとの事。
ダンジョンは発生と同時に中で魔物が次々と生まれ、その魔物が討伐されずに飽和してしまうとダンジョンが崩壊し、ダンジョン内の魔物が一斉に解き放たれてしまうそうだ。崩壊までの期間はダンジョンの大きさにもよるが、小さいもので1年、大きいもので50年くらいは期間があるらしい。ダンジョンの大きさによっても難易度が全然変わってくるが、ダンジョンの崩壊を防ぐには一定数の魔物を討伐し続ける必要があり、消滅させるにはダンジョン最下層のダンジョンボスという魔物を倒さなければいけない。
ダンジョンの旨味としてはそこらの魔物より強い分、経験値が豊富に稼げるということと、たまにドロップする金銀財宝、アイテムなどのお宝を得られるということ、また、ダンジョンを踏破した時の国から与えられる報奨金と名声などがある。
名声はどうでもいいが経験値やアイテム、報奨金などは俄然興味がある。
ということで俺たちも許可証を発行してもらい発生したばかりのダンジョンにやってきたという訳だ。
発生したばかりでまだダンジョンのランクは分からないため、ランクが正式に発表されるまではダンジョン内での事故や怪我は全て冒険者たちの自己責任となる。許可証は行方不明者や身元不明の死体が発見された時の身元照合の為に取られているそうだ。
ランクが発表されればそれと同等以上の冒険者ランクを持っている人は事故や怪我、死亡時にギルドからいくらか補償金が出るがそれより下のランクの冒険者は同じく自己責任とし、入ってもいいが怪我などをした際は一切ギルドは責任を負わないことになるようだ。
「ダンジョンってなんかもうその響きだけでワクワクするな〜!ここはどんな魔物が出るのかな?」
「ナナもワクワクする〜!早く中に入りたーい!」
「それにしてもいっぱい人が並んでるわね〜。これ入れても中は魔物より人の方が多くなるんじゃないかしら?」
ダンジョンに着くと入口からはズラっと冒険者たちが並んでおり、中に入るのにもまだ時間がかかりそうだ。
「ふぁーあ。退屈すぎて眠くなってきたぜ。」
「ちょ、カイもたれるな、重い!」
睡魔に襲われたカイがレオンの背中にのしっと覆いかぶさって寝る体勢に入る。
(顔だけ見ると美男美女のカップルにも見えるんだよなぁ。男同士だけど。)
順番待ちの間、颯汰たち6人はほのぼのと過ごしていたがその周囲は騒がしかった。なぜなら
「何あの集団、顔面偏差値高すぎない?」
「あの美女とお近付きになりてぇ〜!」
「イケメンがイケメンに抱きついてる...!妄想が捗るわぁ!」
「顔隠してる人もどことなく漂うイケメン感。」
「あんな小さい子も冒険者なのか?うちの子と同い年くらいに見えるんだが...」
と周囲はとてもザワザワとしていたが、颯汰はダンジョンが楽しみすぎて気づいていないし、ほかのメンバーは颯汰にしか興味が無いのでそもそも気にも止めていない。
「許可証を拝見させていただきます。Dランクのソータ様、レオン様、カイ様、Fランクのアイリーン様、シアン様、ナナ様でお間違えないでしょうか。中で起こった出来事は全て自己責任となりますがよろしいですか?」
入口に立っていた騎士のような格好をした男性に名前と冒険者ランクを確認され、簡単に注意事項を説明されたあとやっとダンジョンの中に入ることができた。
中に入ると予想通り、冒険者たちでごった返していた。
「この辺りは魔物は狩られつくしてそうだね。もう少し奥に行ってみようか。」
ダンジョン内は洞窟のようで薄暗かったがあちこちで冒険者が灯りを灯しているのでそれほど気にならなかった。また、中は思ったよりも広くレオンが大剣を振り回しても問題ないくらいの空間はあったが冒険者たちも多くいるためどこか息苦しく感じる。有名なテーマパークを思い浮かべて欲しい。あんな感じで人でごった返している。
「ナナ、気持ち悪くなってきたぁ〜。」
ナナは臭いや音に敏感なため、酔ってしまったようだ。
「ナナ、おいで。早く奥に進もう。」
フラフラして顔色が悪くなっているナナを抱き上げ、人の少ないダンジョンの奥を目指す。
奥に行けば行くほど人は少なくなってきてナナも回復してきたが新たな問題が出てきた。
「また分かれ道ですね。」
そう、このダンジョン、とても分かれ道が多いのである。下手に突き進むと今度は迷って戻れなくなってしまう可能性があるのだ。10分ほど歩いただけでもう3つも分かれ道に遭遇してしまった。
「とりあえず簡単に地図を描きながら進むしかねぇなあ。」
「まだここら辺は他にも人がいるから何とかなりそうだけどもっと奥に進むとなったら迷いそうだもんね。」
「でも迷ったらスフィーダに戻ればいいんじゃないの?」
「入口で記録をつけてた人がいるからその入口を通して出入りしないと怪しまれると思うわ。」
「あ、そっか。」
ナナの疑問にアイリーンが答える。
「じゃあ俺が地図を描きながら進むよ。」
「マスターがですか?」
「うん、まあ上手くかけるかは分かんないけど道さえ分かったらいいんだろ?そのくらいならできるよ。」
実はゲームの時もよくいろいろとノートに記録を取っており、マップも自分で作成して攻略に役立てていたのでどちらかというと得意だし好きな部類だ。
というわけで他に地図がかけそうな人もいないため、俺が地図担当となった。
ゲームの時と違って歩きながら描くため少し不格好にはなるだろうが帰ってからきれいに描き直せばいいし今は道が分かるだけでいい。
そうしてどんどんと奥へ進んでいき冒険者もほとんど見なくなってきた辺りでようやく魔物と遭遇した。




