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13 最後の言葉(さいごのことば)

 蓮水が入院しているあいだ、両親や利太はもちろん、同僚や大学時代の友達、そしてファミリーのメンバーが次々とやってきて退屈するようなことはなかった。やがて傷の痛みも消え、リハビリも終わり退院が近づいてきた。そんなある日、有情が一人で病室にやってきた。一通り世間話が終わると真面目な顔で言った。


「なぁ、莉子ちゃん。これからも奈央と仲良うしたってな。奈央は若い時からファミリーのメンバーやから普通の生活いうのをあんまり知らんのや。せやからちょっと世間とズレてるとこも多い。看護師としては優秀かもしれんけど、人付き合いもさほど多ない。そらあの性格やから表面的な友達はようけおるやろ。せやけど、なんでも話せるような人はほとんどおらんのや。これは莉子ちゃんに失礼かもしれんけど、歳も近い。なんでも話せる女友達も必要やろ」


「奈央ちゃんとは仲ようしてるやん」


「まぁ、そらそうやねんけどな。奈央はたまに非常識なことするんや」


「先生らみんな非常識やん」


「そうかもしれん。せやけど、それは非常識やてわかってやってることや。奈央の非常識とは質がちゃう。奈央は今ひとつ常識と非常識の区別が曖昧なんや。そういうときはそれを止めたって欲しいいんや」


「わかった。私かて奈央ちゃんのことを監視してるわけやないから、完全に防ぐんは無理やけど、努力はするわ」


「傷つくといかんから、やんわりな」


「それぐらいは心得てるよ。私は常識人やからな」


「おおきにな、莉子ちゃん。よろしゅう頼むで」


「わかったて。よっぽど奈央ちゃんが好きなんやな」


「それはまぁ、そうやけど、今まで奈央の思いに答えてやれんかったんが心苦しいんや」


「そんな今生の別れみたいにいいないな」


「せやな。ちょっと明後日からC国に釣りに行くからな。帰ってきたら快気祝いしょう」


「うん、楽しみにしてるわ」


「ほな、またな」


 有情はそう言って蓮水の部屋を後にした。蓮水が有情の姿を見たのはこれが最後だった。



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