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幼馴染と殺人鬼のいる異世界へ転移してしまいました ~能力は予知夢×ループ~  作者: かん


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平和な朝食

「ほら、陸くん、今日は君の好きなスクランブルエッグだよ」

「?はい、嬉しいです。ありがとうございます」

「おかわりもあるから沢山食べて」

「ちょ、そんなに皿に載せないでください。朝はそんなに入らないのでおかわりは大丈夫です」


殺人が起こったと聞かされた日から約一週間。

やたらとそわそわした様子のトウヤさんが陸に次から次へとパンやらジュースやらのおかわりを勧めていた。


「スープも飲んだらその分継ぎ足さなくて大丈夫です!」

「あ、別のスープもあるよ?そっちにする?」

「はあ……永遠に朝食が終わらないじゃないですか。トウヤさん、変ですよ」

「そ、そうか?いつも通りだよ」

「いつもは俺の皿にパンを山盛り盛ってきません。なにかあったんですか?」

「あはは、鋭いなー。いや、そのさ……」


陸の言葉にトウヤさんが言いづらそうに目線を外す。

確かに今日のトウヤさんはなんか変だ。どうしたんだろう。


「トウヤは、陸が予知夢を見てないか気になってしょうがないんだよ~」


面白そうにニヤニヤと陸たちの様子を眺めていたケイが、トウヤさんを揶揄うように言った。


「昨日までは気になるのを我慢できてたみたいだけど、今日は無理だったみたいだね」

「ばかケイ、聞くタイミング見計らってたんだから!」

「いやそれ待ってたら陸たち元の世界に戻る日になっちゃうよ」


仲良く言い合いを始めた二人に、陸は平然とした顔でパンを齧っていた。


「予知夢なら見ていません」

「え」

「予知夢を見たら言うって約束しましたよね。隠すことはしませんよ」

「……」

「まあ、あれ一回きりだったのかもしれないしまた見れるとは限りませんけどね。でも、できるだけ協力するって咲季と決めたので」


陸がこちらに目線を向けた。

目が合うと、陸は唇の端をわずかに上げた。


「陸……」


私も思わず口角が上がる。

もちろんまだ恐怖心はあるだろうし、できるだけ関わりたくはないのだろうけれど、協力したいと思ってくれていることが嬉しかった。


感動しているのは私だけではなかったようで、トウヤさんがキラキラと目を輝かせていた。

あの日へこんだ様子の陸と別れてから今日まで予知夢の話をしてこなかったのだから、気になってしょうがなかったのだろう。


「陸くん~!!ありがとう!!これからもよろしくな!!」

「うわっ、だからもうパンはいりませんって!」


また追加されていく陸の皿を横目に、これまた朝から大量の肉料理を食べているケイに話しかける。


「ケイっていつも朝がっつり食べるよね」

「ん、だって仕事終わりだからねー?僕にとっては朝食が夕食で夕食が朝食なの」

「朝食が夕食で夕食が朝食……。ん?その割には夜も私たちと変わらない量食べてるような……?」

「育ち盛りだからね~」


何食わぬ顔でケイが嘘をつく。

ケイは私たちよりも上だし、育ち盛りなわけではないだろうに。


「ケイは夜勤担当なの?」


話題を変えると、ケイはナイフを動かしていた手を止め嬉しそうに私を見た。


「そういうわけじゃないんだけどね~。あ、もしかして咲季、僕と一緒に出かけたいの?」

「え?」

「夜だと出かけられないからね~。まったく、トウヤだけずるいよね?こーんなかわいい子と堂々とデートできてさ?」

「かわ!?……もー、揶揄わないで」


純粋な疑問だったのに、ケイににやにやと揶揄われてしまった。

少し赤くなった頬を誤魔化すように紅茶を口に運ぶ。


「咲季を揶揄わないで下さい。それに、俺もいましたから。デートじゃないです」


話を聞いていたのか、私とケイの間に陸が割り込んできた。


「じゃあ陸もずるーい。僕も咲季とお出かけしたいもん」

「咲季は別に出かけたくないと思いますが」

「え?そんなこと陸に分かるの?」

「分かります」

「えっ、陸、適当なこと言わないでよ。私はケイと出かけたくないとか思ってないよ」


勝手に私の気持ちを陸が代弁しだしたので慌てて訂正する。

陸は不機嫌そうに眉間に皺を作った。


「俺は行きたくない」

「それは陸が、でしょ?私は出かけたいよ?」

「ケイさんとなんて危ない。危なすぎる」

「ひっどいなー?これでも大事なお客様の護衛を任されるほどには腕が立つんだけどー?」

「そういう意味では言ってないです」


何日か前から陸はケイに対してやたらと冷たくなった。

どうしてだろう、と考えるもののその答えは見つからない。


「まあまあ。それよりも、この一週間ずっと城から出ていないだろ?気分転換に今日は出かけないか?」

「行きたいです!」


ピリピリしだした空気を見かねてか、トウヤさんが助け舟を出してくれた。

空気を変えてくれたトウヤさんに感謝しつつ、ずっと城に籠りきりで外に出たいと思っていたので勢いよく返事をする。


「待ってください。この一週間ずっと城にいたのは、安全を第一に考えてのことですよね?外に出たら危ないんじゃないですか?」

「安全っていうより、陸が落ち込んでたからってのが大きいかなー。昼に事件が起こったことはないんだし、大丈夫じゃない?」

「……そうですか。ご心配おかけしました」

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