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幼馴染と殺人鬼のいる異世界へ転移してしまいました ~能力は予知夢×ループ~  作者: かん


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始まりの日差し

次の日、私たちはピクニックをするために草原に来ていた。

昨日は一日散策をしたから、今日はぽかぽかの日差しを浴びながらのんびりしようということだ。

そんな呑気なことしてていいのかとは思うけど、なにしろすることがないからしょうがない。

トウヤさんが敷いてくれたレジャーシートに腰掛け、お城のシェフが作ってくれたお弁当を広げる。

様々な具材が挟まったサンドイッチ、温かいスープ、色鮮やかなフルーツなど豪華なお弁当に歓声を上げる。


「おいしそう!ケイも来れたらよかったのに」

「一応声はかけたんだけどな。弁当残しといてくれとだけ言って寝た」

「……まあ、夜中俺たちの護衛しててくれたんだし夜勤明けってことですよね?しょうがないんじゃないですか」


食事に手を付けつつ、気持ちいい風を楽しんでいると、陸がこっちをじっと見ていることに気付いた。


「なに?陸」


陸は言い辛そうに少し間を開けた後、おずおずと切り出した。


「……いつの間にケイさんのこと呼び捨てにするようになったんだよ」


勿体ぶるから何を言い出すかと思っていたら、この質問だった。

少し不機嫌な陸に、私は何事もないように答える。


「昨日、陸がお風呂に入っている時だよ。ケイとお話しして、呼び捨てで呼ぶことになったんだ」


私の言葉に、今度はトウヤさんが反応した。


「そういえば、昨日ケイになにか変なことされなかったか?咲季ちゃんの部屋からケイが出てきたからびっくりしたよ」

「…………は????」

「はい!大丈夫です。猫ちゃん愛でてただけなので。その節はご迷惑おかけしましたよね、すみません」

「咲季の部屋からケイさんが????」

「いや、ケイが200%悪いから咲季ちゃんが謝ることない。猫は適当な部屋に迷い込んでたと誤魔化したよ。しばらく俺は英雄扱いされるだろうな……」

「ふふ、英雄にしてあげた、ってケイが言ってたのって本当なんですね」

「うちの国王様は飼ってる猫を溺愛してるからね。城に勤める者は研修でまず初めに猫の扱い方について教わる」

「え?じゃあ昨日ケイが無断で連れ出したことバレたら……」

「首が飛ぶだろうな」

「ヒッ」


トウヤさんが手で首を切る動作をする。

ケイはもう一度新人研修を受けたほうがいいと思う。じゃないといつかきっと首が飛ぶ。

それが、比喩なのか物理的になのかはわからないが。前者であってほしいが、それを聞く勇気はなかった。

とにかく、昨日のことはなるべく早く忘却の彼方へ飛ばしてしまおう。

この話は終わりにしてサンドイッチの話でもしようかと口を開きかけると、怖い顔をした陸がものすごく動揺した様子で私に詰め寄ってきた。


「ちょっと待って。咲季の部屋からケイさんが出てきたってどういうこと?」


早く忘れようとしているのに早速蒸し返されてしまった。


「昨日陸がお風呂行ってる時にケイと部屋でお話ししてただけだよ」

「話してただけって……。部屋に入れたのか?出会ってすぐの男を?夜に?」

「?うん。暇だって言ってたから。廊下で立ち話もなんだから」

「あのな!いいか?自分が一人の時に部屋に男を入れるな。危ないから」

「危ないって言ってもケイは護衛してくれてるんだよ?めちゃくちゃ安全じゃない?」

「はあ……」


大きなため息を吐かれてしまった。

私たちを守ろうとしてくれるケイを部屋に入れたことの何がいけなかったのだろうか。


「二人は恋人同士なのか?」


私たちを微笑ましそうに見ていたトウヤさんがとんでもないことを口にした。


「「違います」」


少し食い気味に否定したのに、陸と声が被ってしまった。

トウヤさんは更に微笑ましそうな瞳で私たちを見る。


「ふふ、そっかそっか」

「「……」」


なんだか居たたまれなくなって私はサンドイッチを食べることに集中した。


異世界の草原で満足するまでゆっくりしたら、馬車で城まで戻る。

昨日同様、まだ日が高いうちに帰路につくのはなんだか小学生の時に戻ったような感覚だ。なんなら小学生の時より早く帰ってる気がする。


陸とそろって馬車の窓から外の景色を見る。

異世界のド定番、中世ヨーロッパ的な街並みを夢中で眺める。

城の窓は全てなくなったけど、馬車の窓までなくならなくてよかった。


「……あ」


とある通りに通りかかったとき、陸が小さく声を上げた。


「どうしたの?」

「あ……いや、なんでもない」

「……そう?」


驚いた陸の表情は、どう見てもなんでもなくない。

陸の視線の先を追うけど、人っ子一人歩いていない閑静な住宅街だ。

トウヤさんも窓の外に目を向けるが、異変がないことを確認すると椅子に座りなおした。

陸もすぐに元の様子に戻ったので、特に気にしなかった。

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