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幼馴染と殺人鬼のいる異世界へ転移してしまいました ~能力は予知夢×ループ~  作者: かん


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cherry blossom (IFストーリー トウヤEND)

トウヤと結ばれるエンドです。

陸咲、ケイ咲以外認めない!方は飛ばして頂ければと思います。

好きになったきっかけは分からない。

けれど、いざ日本に帰る日が近付くと、離れたくないと思ってしまった。

もう会えなくなってしまう、そう思うと胸が切り裂けそうで、いつまでも彼と一緒にいたいと思った。

この感情が『恋』だと気付くのにそんなに時間はかからなかった。

もうすぐ私は帰ってしまう。だからこそ私は、気持ちを伝えることにした。


私とトウヤさんが二人きりになったタイミングで、私は顔が熱くなるのを感じながら、想いを口にする。


「私、トウヤさんのことが好きです」


私の言葉を聞いて、トウヤさんはぱっと花が咲くように笑った。


「うん、俺も咲季ちゃんのこと好きだよ」


その軽い返答に、全身の力が抜けそうになる。

これはあれだ、告白だと思われていない。

かなり勇気を出して想いを告げたのにうまく伝わらないなんて。

私はめげずにトウヤさんにずいっと近寄った。


「あの、私はトウヤさんのこと恋愛的な意味で好きなんです。恋人になりたいって意味です」


今度はオレンジの瞳がまんまるに開かれる。

少しの間の後、トウヤさんは頬を染め少し照れたように言った。


「ありがとう。君みたいな素敵な子にそんな風に言ってもらえて嬉しいよ。……でも、君に相応しいのは俺じゃないと思うよ。もっと年が近い……陸くんとか、戻った先にも素敵な人は沢山いると思う。それに、その気持ちはきっと年上に憧れを抱いてしまうような、そんな気持ちだと思う。大丈夫、元の世界に戻って暫くしたら忘れるよ」


その言葉にムッとする。

この気持ちが勘違いだと、すぐに忘れるほどの想いだと言うのだ。

そんなはずがないのに。トウヤさんが好きだと、胸を焦がすこの感情は本物なのに。


「私、まだ帰りません!」

「えっ?」

「満月の日ならまた帰れるんですよね?なら、今回は帰りません!」

「さ、咲季ちゃん……?」


トウヤさんがおろおろと眉を下げる。

私の発言がトウヤさんを困らせていることは分かっている。

でも彼を好きだと思う気持ちに、私は帰国延期を決意した。

陸にそれを話すと、猛反対された。当たり前だ。あんなに精神をすり減らす思いをして、ようやく帰れるのに帰らないと言うなんて。

それでも何度も何度も話し合うと、渋々納得してくれた。

俺も残る、と言う陸になんとか先に戻ってもらい、私は城での生活継続。

迷惑をかけてしまっていることは重々承知しているので国王様に謝りに行ったが、私は救世主で実際に国の平和を取り戻してくれたからいつまでもいてくれていいと言ってくれた。

連続殺人犯がいなくなった今、この国は以前の平和を取り戻し、トウヤさんが引き続き私の護衛をしても何の問題もないそうだ。



「まさか本当に帰らないとは思わなかったな」


夕食後、トウヤさんが紅茶を飲みながら苦笑いをした。


「トウヤさんと会えなくなるのは嫌だったので」

「……次の満月にはちゃんと帰るんだよ?」

「はい。でも、この一か月、トウヤさんといっぱい思い出を作りたいです。トウヤさん、好きです!」

「……っ、ありが、とう」


トウヤさんは頬をほんのり赤く染め、困ったように目線を外した。



それから、トウヤさんと過ごす日々が始まった。

トウヤさんといろいろな場所に出かけたり、ジュリが非番の日はいつか行きたいと話していたカフェに一緒に行ったりした。

ジュリは私が残ってくれたことにとても喜んでくれた。

トウヤさんへの気持ちを打ち明けると、応援すると嬉しそうに言ってくれた。

限られた時間の中、私はトウヤさんに何度も好きだと言い続けた。

嫌われてしまうかも、と思いながらも気持ちを伝えることを止めることができなかった。



時間は早いもので、明日はついに帰る日になった。

夕食の後、私はトウヤさんと海に来ていた。

いつかみんなで見に行こうと言っていた夜の海に。

陸は先に帰ってしまい、ジュリは仕事のため私とトウヤさんの二人だけになってしまったけど、約束通り海に来ることができてよかった。


「わあ、綺麗……!」


目の前に広がる絶景に、感嘆の声を上げる。

一か月前、帰国を延期した後も私は夜に出歩くことはなかった。トウヤさん曰く、念のため、だ。


「懐かしいな……。昔、こうやってジュリとここに来たんだ。あの時と、星空も海も、なんにも変わっていないんだな……」


トウヤさんが星を見上げる。

その様子に、いつか客室でプラネタリウムを見たことを思い出した。


「トウヤさん、星座教えてください」


ちょっとしたいたずら心でそう言うと、トウヤさんは気まずそうに頬を掻いた。


「あー……ごめん、実は俺、星の名前一つも知らないんだ」

「……ふふ」


分かっていたけれど、この愛おしい回答が聞きたくていじわるを言ってしまった。

好き。大好き。

トウヤさんに対してそう思う気持ちは、彼と過ごす日々の分大きくなっていく。

帰りたくない。まだ彼と一緒にいたい。もう会えなくなってしまうなんて嫌だ。

けれどこれ以上私の我儘でトウヤさんを困らせるわけにはいかない。

私は視線を目の前の煌めく海からトウヤさんへと移し、頭を下げた。


「トウヤさん、今までありがとうございました。それに……ごめんなさい、私の我儘で引き続き護衛していただいて。トウヤさんはトウヤさんの仕事があるのに」

「咲季ちゃん……大丈夫だよ。通常業務は違う人に引き継ぎしているし、それに警備ばかりの日々と違って、咲季ちゃんと一緒だと遊びに行ったり毎日が休みみたいでむしろラッキーだと思ってたんだ」


太陽みたいな笑みを向けられる。

トウヤさんは優しい。

沢山振り回してしまったのに、私に恨み言一つ言わない。

むしろ、私が気にしないようにいつもより明るい調子でフォローしてくれる。

そんな彼を好きになったのだけど。


「それに……、私の気持ちを一方的に押し付けてしまってごめんなさい。迷惑だって、分かっていたのに沢山言ってしまって」


しゅんと項垂れる私に、トウヤさんが慌てる。


「迷惑だなんて一回も思ったことない!咲季ちゃんみたいな素敵な子に好きになってもらえて、すごく嬉しかった。それに俺も……」


トウヤさんが急に言葉を切る。


「俺も……?」


気になって続きを促すと、トウヤさんの頬が僅かに染まった。

告白すると毎回見せてくれるこの表情。

この顔が見たくて好きだと言い続けたと言っても過言ではないくらい、この表情が可愛くて愛おしくて胸がきゅんとなる。


「い、いや、何でもない。忘れて」

「…………」


明らかに動揺しているトウヤさんの様子は『何でもなくない』

演技が得意な彼なら上手く切り抜けられるだろうに、そんな風に誤魔化されたことが気になった。


「教えてほしいです。俺も、のつづき」


先ほどしつこくしたことを謝ったばかりだと言うのに、全然反省していないなと自分でも思う。

それでも、知りたい。

じっと見つめると、トウヤさんがたじろいだ。

懇願するように見つめ続けると、トウヤさんは小さくため息を吐いた。


「……言わないつもりだったんだ」

「聞きたいです」

「……何を聞いても、明日ちゃんと帰る?」

「……はい。たぶん」

「多分じゃ、やっぱり言わない」

「ちゃんと帰ります!!聞かせてください!!」


必死に縋り付くと、トウヤさんは目じりを下げて笑った。

そして、私を真っすぐ見た。

その優しい瞳に、ドキリと胸が高鳴る。


「俺も、咲季ちゃんが好きだよ」


優しい瞳で私を見つめたまま、トウヤさんは続ける。


「いつからかは分からない。君に告白されたときにはもう、好きだったのかもしれない。俺にとって君は太陽みたいな存在なんだ。疲れていた俺の心を前へと導いた、特別な人。君が笑うと嬉しくなったし、悲しむ顔は見たくない」

「…………」

「でも、この気持ちは言わないつもりだった。君は元の場所へ帰るべきだ。この国はいい思い出ばかりではないだろうし……。ケイだって、死亡ということになっているけど真相はどうか分からない。もし、生きていたとしたら……ケイは、君にすごく執着していた。必ず狙いに来る。本当は、前回の満月で帰ってほしかったんだ。君にもう危険な思いはさせたくない」

「…………」

「咲季ちゃんに好きと言われて嬉しかった。でも、俺の気持ちを伝えたら君は帰ることを躊躇うだろう?だから、言わないつもりだったんだ。……今まで、黙っててごめんね。傷つけてごめん」


ぽろり、と私の目から涙が零れ落ちた。

堰を切ったように溢れ出した涙をそのままに、私はトウヤさんに抱き着いた。

トウヤさんは優しく頭を撫でてくれた。


「……帰りたくなくなっちゃいました」

「うん、ごめんね」


とめどなく流れる涙がトウヤさんの胸元を濡らす。


「大丈夫だよ。今は辛いだろうけど、時が経てばこの気持ちは思い出に変わる。咲季ちゃんは幸せになれるよ、俺がいなくても」

「……っ」


唇を強く嚙み締めた。

私は、トウヤさんと幸せになりたいのに。

帰りたくない。トウヤさんとずっと一緒にいたい。

けれど、日本にいる家族や友人、陸のことを思うとずっとここにいるという選択肢は選べなかった。

トウヤさんとお別れするしかない。せっかく気持ちが通じ合ったのに。


「……」


不意に体が離れ、トウヤさんが私の唇を指でなぞった。きつく嚙み締めているのを解くように。

見上げると、トウヤさんは泣きそうな顔をしていた。

そして、私の額にキスをひとつ贈る。


「……っ」


唇にしないのは、これ以上離れがたくならないためだろうか。

でもそれは逆効果だ。

誰よりも優しい彼に、好きだ、とまた思ってしまう。

お互い想い合っているのに離れなくてはいけないなんて。

どうして私たちは同じ世界に生まれてこなかったのだろうか。

こんな運命ならば、出会わなければよかった。

それならばこんなに辛い思い、しなくて済んだのに。



日本に戻ってきてから三年が経った。

私は大学生になり、陸と一緒の大学に通っている。

あれから私は恋をしていない。

いや、違う、ずっとトウヤさんに恋している。

トウヤさんはいつか思い出になる、と言っていたけど、私のトウヤさんへの想いはあの時からずっと色褪せないままだ。

いつになったら次に進めるのだろうか。

寂しさを覚える反面、新しい恋をしようと思う気になれず、私の心はずっと立ち止まったまま。

通学途中、桜並木の下、彼の名前をぽつりと呟いた。

名前を口にするだけで胸がきゅうっと痛くなる。



「咲季ちゃん」



聞き間違いかと思った。

都合のいい幻聴かと。

それでも、振り向いた先にいる彼の姿を見て、涙が滲んだ。


ひと際強い風が吹き、桜吹雪が舞う。

ひらひらと舞う桜の下、愛しい彼はオレンジの瞳を細めて太陽みたいに笑った。

トウヤは、咲季のためなら気持ちを封じて日本に帰すだろうな...と思ってこの話を書きました。

とてもトウヤらしい話が書けて満足しています。


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