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9話

桜庭伶奈の心は、ムカムカしていた。


それは、単なる「機嫌が悪い」という次元ではなく、より根深い「怒り」に近かった。


理由は、シンプルだ。


計画が失敗したから。


学校内でも一、二を争うくらいにラブラブなバカップルの仲を引き裂こうとして、失敗したからだった。


「あーー、もう。マジでウザい」


伶奈は、誰もいない教室の椅子に座りながら、スマートフォンを握りしめた。


最初は楽勝だと思ってた。あんな褐色した肌の彼女なんかより、自分の方が可愛いと自認していた。


だが、彼はそんな伶奈の美貌にとらわれず、自分の彼女にメロメロだったのだ。


そして今日も、一緒に登校して一緒にご飯を食べて一緒に帰ってる。


飽きないのかと伶奈は本気で思ったが、自分もこんな最高の「遊び」を飽きないのと同じかと思った。


そのスマホの画面には、「Aさん」という名前でコンタクトされた、中年男性とのLINE会話が表示されていた。


---


Aさん:「昨日はありがとうね伶奈ちゃん可愛かったよ(^^)」


伶奈:「ありがとー。一緒に買い物してくれて。楽しかったな。ところでー、前から欲しかったそのコスメ、まだですか?」


Aさん:「あ、そっか。今度のお休みに買ってあげるね。いくらのやつだっけ(・・?)」


伶奈:「Diorの限定セットだよ。三万五千円。」


Aさん:「わかった。買ってあげるよ。伶奈ちゃんのためなら何でもするよ。( ^ω^ )」


---


伶奈は、その会話を読み返しながら、心の中で嘲笑った。


(だっさwww)


その一言は、Aさんに向けられた言葉だった。


(私が本当におっさん好きだと思ってるんだ。キモwww)


そう相手のおっさんをボロクソに思いながら、伶奈は、スマートフォンを投げ捨てるように横に置いた。



(あんないい年して私みたいな子とイチャイチャしたいなんて、本当にきもいでしょwww。絶対モテなかった野郎なーwまあ、この私の美貌に気づくのはさすがだと思うけど。いや、みんな知ってるか。)


そう思いながら必死にさっきまでのムカつく感情を押し殺しながら、伶奈は、次に何を貢いでもらおうかと考えた。


ガラガラガラ。


そんな時、教室のドアを開けて慧が入ってきた。彼はスマホを触ってる伶奈を見て、ため息を吐いた。


「はあ。次は一体誰から貢いでもらおうとしてるんだ?前散々貢いでもらっただろ。」


「えー。だって私の推しの『フェンダニシャブ』様のライブがまたあるんだよ。だから服とかメイクも新調していかないと、フェンシャブ様に申し訳ないじゃない!」


「はいはい。あー。可哀想だな。貢ぐ人も、そのフェンシャブ様も。」


そう心にもこもってないようなことを慧は言いながら机にどかっと座った。


そんな慧の態度が気に入らなかったのか、伶奈も口撃をすることにした。


「でもさでもさでもさ、そんな成績優秀な慧くんも、バカな頭の女子引っ掛けてラブホとか行ったりデートしたりしてるじゃーん。前私見たよ。S組の麻央ちゃん釣ってラブホ入ってたじゃーん。まあ普通に気をつけた方がいいよ。それでバレたらこんな楽しいこと二度とできなくなるかもだし。」


「まあそのお節介はありがたく受け取るとしよう。だがまあ大丈夫だぞ。この学校の生徒を釣ることはあんまやる気ないしな。で、そんなムカムカしてるとなると、おまえのちょかいが失敗したのか。」


「あ"ー。その話をしないでよ! マジであんな女より私の方が可愛いでしょ! なのになんであいつは私に目もくれないのよ!」


「ふw ざまあみろだ。」


そう伶奈と慧はしばらく言い合いをしてたが、飽きたのか伶奈はスマホをいじった。


「てかさ、来週また乱交パーティでしょ。マジで最近こういうのはよくやるけど、また誰かの友情引き裂きたいな。最近やってなかったし。」


その時、慧の顔に、わずかな「興味」が浮かんだ。


その表情の変化は、微かだったが、伶奈は敏感にそれを察知した。


「何?何か思いついたの?」


伶奈は、慧の方に身を乗り出した。


慧は、静かに笑った。その笑い方は、いつもの笑みではなく、より「深い企み」を秘めたものだった。


「ああ。いいネタを思いついた」


「え、何?誰?」


伶奈の目は、ぎらぎらと輝いた。その輝きは、「新しい獲物を見つけた狩人」のそれだ。


慧は、ゆっくりと口を開いた。


「じゃあ我らが生徒会長の厳と、その幼馴染の悠真の友情を引き裂いてみればいいんじゃないか?」


その一言が、伶奈の耳に届いた時、彼女の心は、一瞬で「興奮」に包まれ、その後に疑問が浮かれた。


「え…?悠真って誰?」


伶奈は、悠真という聞いたことのない人物の名前を聞き、首を傾げた。


「ああ。悠真ってやつは、厳の幼馴染でな、中学も同じらしい。で、厳とは長い付き合いだが、厳と違ってただのインキャだからな。厳も自分と仲がいいことが公になったらいじめられると思ってるからあまり有名じゃないんだ。 だがまあ厳が唯一心を開いてる存在って言ってもいいだろうな。」


その慧の言葉を反復しながら、伶奈は、その「構図」の美しさに気づき始めた。


学園のトップ。その男が、唯一心を許しているという幼馴染。その二人の絆を「破壊する」。


それは、単なる「バカップル」を引き裂くことよりも、ずっと「大きな作品」を作ることだ。


「いいね!」


伶奈は、叫んだ。


その叫びは、純粋な「興奮」から発せられたものだった。


「その二人の友情を壊して、絶望するのを見るって最高じゃん!どうなっちゃうんだろうな。もしかしたらその悠真くん殴られちゃうかも、、、」


怜奈はその光景を頭の中でイメージし、それを見ながら恍惚の表情を浮かべていた。


「マジで?マジでそれやるの?」


慧は、微かに微笑んだ。


「ああ。やろう。完璧にな」


「どうやるの?その二人…」


伶奈は、その「方法」を想像し始めた。その想像の中で、彼女は、無数の「シナリオ」を描き始めた。


慧は、机の上に座った。その姿勢は、「完全に計画を練る準備がある」ということを示していた。


そして2人はその計画を立て、大まかな流れを決めてから帰るのであった。


 邪悪な企みを学校に残して。

人物紹介(?) 桜庭伶奈


私は生まれてきた頃から完璧だった。

成績も良く、コミュニケーション能力もある。運動もぼちぼちできるし、何より、この「美貌」がある。

私はずっとモテている。小学生の頃に初めて告白されて、それからもずっとモテていた。

だけど何かが足りない。私には全て備わっていた。だけど、なんだろう。心が、満たされなかった....

だけど今ならわかる。初めてナンパされて、初めて行為を行った時、そして、仲の良かったカップルが目の前で喧嘩をし、彼氏さんが彼女さんを思いっきりぶってる時。それらを見て全て分かった。

私は、私の中は悪魔なんだ。ああいう行為を気持ちいと思って、絶望してる顔を見るのが大好き。永遠に騙されてるのを見るのが大好き。

だから私は悪女になることにした。せっかくなら、妲己を超える悪女になろう。それでも、バレたらいけない。

だってバレちゃったら二度とこんな遊びができないじゃん。

それに、バレるかどうかわからない中で悪いことをするの。 それって、めっちゃ最高じゃん!

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