表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

地獄に神

 赤黒い血のような液体が煮えたぎる川、死人の顔が積み重なってできたような岩石、そして大量の生物の骨が砂になって出来たような白い砂漠。

 何時間かはわからない。けれど、どれだけ歩こうがこの景色は変わりそうもなかった。

「一体全体どういうことなんだぜ?ぜ?」

 俺は正直意味がわからなかった。いいか、今俺に起こったことをありのままに話すぜってポルナレフとかそんなんどうでもいいくらい困ってもいたんだな。

 よし、ちょっと整理してみよう。俺はミヤビとご飯を食べに行った。で、ナカセンドーのあそこの交差点近くの横断歩道を2人で渡っていた。手は繋がない。俺、そういうのは苦手だから。いや、ミヤビがそれで悲しんでるってのは知ってる。女友達に相談してるのも実は知ってる。それ以外にもっと深刻な相談してるのも悲しいけど知ってる。でもさぁ、いや整理を続けよう。並んで歩いてた俺たちに信号無視の白いワゴンみたいな車が猛スピードで……。突っ込んだよ~な??

 あれ、ということは俺、もしかして死んでる!?いやいや、それよりミヤビはどうなったんだ?誰かおひえてーー!!ミヤビィィィーーー!!!

 俺はこの暑苦しい場所、そう地獄で叫び続けた。人生で初めて俺を受け入れてくれた他人であり異性である人の名を。俺みたいな変わり者で素直じゃなくてプレゼントもしないし手も恥ずかしくて繋げないけど、それでもそんな俺を好きでいてくれた最愛の女性ミヤビの名を精一杯叫び続けた。



 ……気が付けば喉が潰れて声も出なくなっていたが、そんなのどうでもいい。生きてるんだろ、ミヤビ。早く顔を見せてくれ。あの変顔で俺を愉しませてくれよ、ミヤビ……。

 大げさかもしれないが、もう生きてく意味がわからなくなりつつあった俺の前に突然、巨大な黒い何かが現れた。何かって?絶望した人間の前に唐突に現れておまけに救ってくれる存在なんて、大昔から相場は決まってるじゃないか。



 そう、そこには神がいたんだ。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ