王女と冒険者
ソフィアがカウンターに行っている間、私はギルド内に何があるのか見て回っていた。
社交界デビューしていないことや今まで城から出ていなかったこともあり、私が第六王女だと知る者は王族と従者の少数のみ。
「ソフィアは.....まだ時間かかりそうね」
依頼が貼られている掲示板のある所からカウンターを見てみると行列が出来ていて、受付嬢と話をするにはしばらく時間が掛かりそうだった。
「しばらくは1人ね」
私はしばらく掲示板を眺めていた。
「おいおい、こんな小さいガキがギルドに何のようだよ」
後ろから声が聞こえたため振り返ってみるとそこにはガタイのいい男たちが3人、立っていた。
「しかも、女ですぜ」
「いいか?小娘。ここはな、ガキが遊びに来るとこじゃねーんだよ」
「そうだ!」
「お家でママのおっぱいでもすすっていやがれ」
男たちは勝手に話し始めた。
ふと気付くと周りには人が集まっている。
「またあいつら新人をいびってるぞ」
「勘弁してくれよ」
「ほんと。クエスト見に行けないじゃない」
野次馬が文句を言っていると私に話しかけてきた男が「黙れ!」と言って野次馬たちを威嚇する。
「皆さん!どうかされましたか?」
騒ぎに駆けつけた受付嬢が野次馬に話を聞いていた。
「ガウンさん。新人いびりはやめてください」
「俺が誰をいびろうがお前たちには関係ないだろ?」
「そうだぞ!お嬢ちゃん」
「それとも、お嬢ちゃんが俺たちに"体"で奉仕してくれるのか?」
「たしかにそれも悪くねーな。こんな小娘より」
「どうやら、あなたたちはこのギルドでは厄介者みたいね」
状況を伺っていた私は男たちを見て話しかける。
「おい、今なんて言った?厄介者って言ったか?」
私の言葉に呆れたのか、クスクスと笑い始める。
「兄貴、聞きました?こいつ俺たちを厄介者って言いやしたぜ」
「聞いていたさ。そんなこと言うくらいだ。覚悟は出来てるんだろうな?」
「それはこちらのセリフです」
私は指をパチンと鳴らして無詠唱で秘匿結界のいくつかある種類のうちの1つ、晴帳を展開する。
「なんだ!?ここ」
「あなたたち3名を私の結界に、招待しました」
私は結界の張る時、3人を除き魔力値の低い者は結界に囚われないよう術式を組んだ。
「おもしれー」
「兄貴、やってやりましょう!」
「あぁ、お望み通り叩き潰してやんよ」
そう言って男たちは武器を手に取る。
「行くぞ!お前ら」
「あなたたちの戦い方に合わせて、遊んであげます───だから、かかってくるがいい」
アルマと男たちのバトルが始まった。