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新しい生活
「ホントに別邸?広すぎでしょ」
王城から別邸まで馬車で約20分。
今、私は目の前の建物を見て驚いている。
「別邸です」
そう言っているのは私をここまで案内してくれた行商人なのだが貴族のことに詳しい。いくらなんでも怪しすぎる。
「今更だけど、あなた誰?ただの行商人にしてはこの国の貴族のこととか知りすぎじゃない?」
私は馬車で移動中、この女性と貴族のことや王国のことを話しながら来た。
「流石は姫様」
「あなた、私のこと知って……」
「存じております。私は姫様のメイドですから」
「まさか、メイドが行商人のフリして馬車に乗ってたなんて」
「お褒めに預かり光栄です」
「褒めてないよ!」
「屋敷の中を案内しますね」
「話を逸らしたね」
「とにかく広いのではぐれないでください」
「案内よろしく」
私の新しい生活が幕を開けた。