別邸に向けて
「姫様、昨日はゆっくり休めましたか?」
メイドが私に確認してくる。
「眠れましたよ」
「午後からは別邸に移っていただくので準備をお願いします」
「分かりました」
「屋敷に着いてからはお付きのメイドから話を聞いてください」
「お付きのメイド?誰ですか?」
「詳しいことは私も分かりません」
「どんな人なのか、楽しみにしておきます」
「今後はその者が姫様の給仕をします」と前置いて話を続ける。
「2時間程したら馬車が来るので私がこの部屋に迎えに来ます。それまでに準備を済ませてください」
メイドは私にそう伝えると部屋を去って行った。
「準備って言っても、何もすることないわよね」
とりあえず身だしなみを整えてから外出時の服装に着替えることにした。
時間はあっという間に過ぎ、私の部屋にメイドが来た。
「迎えの馬車が来たました。外に出ますよ」
「分かりました」
私はメイドに案内されて馬車の元へ向かう。
「アソコの馬車に乗ってください。私はここで失礼します」
「案内ありがとうございました」
感謝を伝えるも「仕事なのでお気になさらず」と言われてしまった。
気を取り直して馬車の中に入ると顔を隠した女性の業者が来て話し始めた。
「これから城から少し離れたところにある別邸に向かいます」
「よろしくお願いします」
別邸に向けて移動する道中で私は今までのことを思い出していた。