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転生魔王の復讐革命  作者: 月輪林檎
魔王として聖女として

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58/60

謝意

 警察署に入ったシャルロットは、ラスティーナを連れてガラス張りの部屋に入った。シャルロットは取調室で面会すると思っていたが、シャルロット自身の安全を考えて、ガラスで遮断する面会室で面会する事になった。

 そこに女性警察官が、件の犯罪組織の男を連れてくる。ガラス越しに目を合わせた瞬間、机に手を突き、頭を叩き付けた。


「本当にすまなかった!!」


 頭を打ち付けた勢いがあまりに強く、ガラスが揺れたためシャルロットは鳩が豆鉄砲を食ったような状態になっていた。だが、ラスティーナに肩を突かれ、すぐに我に返る。


「あ、うん。何が?」


 シャルロットは初対面であり、相手の事情もよく分かっていないので、そこから訊く。話を聞いたのはキティルリアであり、ここに呼ばれたのも話があるという事だけを聞いているだけなので、相手が何を思っているのかも分からないというのが、傍から見たシャルロットの現状だ。

 そこを間違えないようにしなくてはいけないため、シャルロットも言葉選びは慎重に行う。


「俺は、あんたを襲った組織の人間だ。襲撃の反対派だったが、襲撃が起こった以上、無関係とは言えない。あんたからした身勝手な自己満足にしか感じないかもしれない。実際そうだ。俺はあんたに許して欲しいわけじゃない。ただ謝る機会を得られるのに何もしないという事が、あんたへの不義理になると考えたからだ」

「不義理……私を襲わせてしまった罪悪感ではなくて?」

「ああ。これは詫びではなく礼になるんだが……」


 男は再び机に頭を叩き付けた。何回も頭を叩き付けているが、それが男なりの誠意の伝え方なのだとシャルロットは感じていた。見ようによっては自傷だが、それくらい感謝していると考えられなくもない。


「妹を助けてくれて、本当にありがとう」

「妹? ああ、あの交通事故の中にいたの?」

「いや、その後だ。あのビルの中で仕事をしていたんだ。身体を瓦礫が貫いたらしいんだが、傷跡もなく治療されたらしい。それも病院の外で。そうなれば、治療してくれたのは聖女とみるべきだ。だから、ありがとう」

「どういたしまして」


 シャルロット自身に男の妹を助けた自覚はない。多くの人の中の一人という事もあり、その中の一人など把握しているはずもないからだ。そして、それを把握しようとも思っていない。助かったのなら、それで終わりで良いからだ。


「教会の聖女ではないと聞いたんだが」

「うん。教会のマザーに引き取られただけで、教会の教徒でもなんでもないよ。所属するつもりもない。聖女の力を使えるだけの一般人だね」

「そうか……」


 男はそう言ってから、自分の横にいる女性警察官を横目で見る。そして、一度目を閉じてから、もう一度シャルロットを見た。その目には先程まではなかった意志のようなものが宿っている。


「実はあんたを襲った組織の本拠地を魔王に襲って貰った」

「魔王に?」

「ちょっと待ってください。火災を収めてくれたのが魔王という話は聞きましたが、そちらは初耳です」

「魔王がいると言えば、討伐軍を送る可能性がある。だが、あの強さを持っていれば、既に内部の殲滅は終えているはずだ。聖女の身を守って欲しいという願いに魔王は動いてくれた。その事を覚えておいて欲しい」

「……うん。分かった」

「以上だ。伝えたい事は伝えた。まだ残党はいるかもしれない。安全に帰してくれ」

「言われずともそのつもりです。少し待っててね」


 男は女性警察官に連れられて面会室を後にする。扉から出る前に、一度シャルロットに深々とお辞儀をしてから出て行った。

 女性警察官は男を留置所に戻してから、シャルロット達をホテルまで送る。


「それじゃあ、調査が終わったら、またお知らせするからね」

「はい。ありがとうございます」


 女性警察官と手を振り合って別れたシャルロットは、ラスティーナと共に部屋に戻って来た。


「ふぅ……知らず知らずの内に助けてたみたいだけど、それがきっかけになったみたいだね」

「それでいて魔王様に頼むというのは、少し驚きですが」

「まぁ、魔王に助けられたからこそ、その力を信頼出来るって感じじゃない? 警察だと中の人を全部捕らえられない可能性があるとか考えそうだし」

「なるほど……確かに魔王様の力を見せているという点から、その力を信頼して頼むという事はあり得そうですね。自分の家族を助けてくれた聖女を守りたいというのも頷けます」


 男がキティルリアに懇願した理由の一端。それを態々言わなかったのは、キティルリアにはその事情は関係ないから。寧ろ他の理由を付け足した方がキティルリアは動く。

 おかげで、キティルリアとしてもシャルロットとしても、大きな実績を積む事が出来ていた。


「シャルロットとしても、キティルリアとしても、ちゃんと実績は積めたかな。まぁ、どっちも意図して得たものじゃないけど」

「いえ、寧ろその方が良いかと。意図して恩を売るというのは、シャルロット様は苦手でしょうから。突発的に起こった事を利用するというのが良いかと思います」

「その方が私に合ってるか。ひとまず、事が終わるまではゆっくり勉強してるよ。諸々はラスティに任せるね。あまり深入りしないように」

「はっ」


 ここからは基本的にラスティーナの情報収集で状況を把握していく事になる。予定以上に長居する事になったが、それなりの実りは存在する。その実りも想定外のものだったが。

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