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転生魔王の復讐革命  作者: 月輪林檎
魔王として聖女として

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キティルリアへの懇願

 治療を進めてると、消防車などが来るサイレンの音が響いてくる。その頃には、重傷者はいなくなっており、後は病院で治療を受ければ問題ないという状態になっていた。。


「それじゃあ、私は行くから」

「いや、待ってくれ」


 キティルリアが移動しようとすると、治療が終わった一人の作業員に呼び止められる。そんな声を気にせずに去る事も出来るが、キティルリアはそんな事をせずに、その作業員と向き合う。


「勝手な頼みだという事は分かってる。魔族であるあんたには関係ないという事も。それを踏まえて頼みがある。この街に来ている聖女を救って欲しい」

「何故?」


 これに関しては、キティルリアも疑問を抱いた。シャルロットが襲われたという噂が出回っているというのは簡単に想像がつく。だが、それを救って欲しいと見ず知らずの相手に言われるのは違和感しかなかった。

 この理由はしっかりと聞かなくてはいけない。


「俺は……二日前、聖女を襲った組織に属している」

「!?」


 これにはキティルリアではなく、他の作業員達が驚愕した。自分達の同僚がまさか犯罪組織に属しているとは思わなかったからだ。身近になる程見えづらくなるものだ。

 そして、本人の口からその事を聞いても信じられないと感じている者が大半を占めていた。


「続きを」


 この場にキティルリアがいなければ、全員で問い詰めていただろう。だが、この場には魔王がいる。その威圧感がその場での作業員達の発言権を奪い去っていた。


「実行犯だったわけじゃない。そもそも俺は反対派だった。だからと言って、奴らを止められなかった時点で、俺も同罪みたいなものだ」

「聖女を襲った事情は?」

「聖女が魔素を使う。それを許せないとの事だ。だが、魔素を人間が扱える時点で訳あり。その訳がなんなのかは分からないが、同時に聖女の力を扱えるというなら、俺はその精神性に何も問題がないと思った。だから、聖女の襲撃には反対だった。やる意味がないからだ」


 この辺りの話は情報収集で得られたものと同じになる。つまり、この作業員が嘘を言っている可能性が低いという事だ。


「今あいつらは、また聖女を襲撃するために作戦を練っている。本拠地を教える。頼む。奴らを止めてくれ……」

「その者達の命がなくなるとしてもか?」

「っ……」


 その言葉に作業員の呼吸が詰まる。犯罪組織とはいえ、自分の仲間。その命を奪われるとしても止めたいのかという問いに、作業員はすぐに答える事が出来ない。

 何度か呼吸をしようとして、空気が喉で止まる感覚を味わいながら、まっすぐキティルリアを見て頷いた。


「場所は?」

「地下……水路だ……古い地下水路……入口も完全に塞がれているが……それは見掛けだけだ」

「そのくらいなら警察が調べていると思うが?」

「いや……奴らはしっかりとは調べていない。出入口が開かないとみると、本拠地ではないと判断した」

「出入口を破壊しても構わないと?」

「構わない……手遅れになる前に!」


 作業員は覚悟の決まった表情で言い切った。


(恐らく、この人も後に出頭する気だな。全ての罪を理解している。それでいて、良心の呵責に耐えられなかったか。いや、目の前にそれを解決する手段がいるからか)


 態々魔王に聖女を任せるという判断。聖女を魔王に殺される可能性も全て考えて、キティルリアなら任せられると作業員は考えていた。キティルリアの目的から考えれば、聖女を傷つけるという行為は、その道を妨げる事になる。

 キティルリアは、シャルロットを傷つける事は出来ない。実際キティルリア=シャルロットである以上、傷つけるという事は出来ない。そもそもする必要がない。

 それを抜きにして、シャルロット以外の聖女だとしても、初代聖女以外の聖女にキティルリアは恨みがない。その初代聖女も長い年月に勝つことは出来ずに死んでいる。

 そもそもの点も含めて、キティルリアが断る理由は一つもなかった。


「分かった。無関係の人間が巻き込まれる前にケリを付けよう」


 消防隊が続々と到着する中で、キティルリアは姿を消して空に上がる。そして、地下水路の入口を探すために高い場所からフリージアを見下ろす。


(私が観光している時に見たことはないから、多分裏道とかそこら辺にあると思うんだけど……)


 なるべく早く探したいところだが、街の全てを把握している訳では無いので、魔素を広げて探す必要がある。魔素で触れて探す方がキティルリアにとっては、やりやすいものだったからだ。


「魔王様」


 透明状態のキティルリアに近づく事が出来るのは、同じく空を飛ぶことができ、魔素を辿って見つける事が出来るラスティーナだけだった。


「ラスティ。古い地下水路。そこが奴らの根城」

「地下水路……確かこちらに入口があったはずです」

「案内して」

「はっ!」


 キティルリアは、ラスティーナの手を取って、そのまま地下水路の入口まで案内させる。


「入口に着いたら、ラスティはホテルに戻って」

「アリバイ作りですね。かしこまりました」


 入口に着いたところで、ラスティーナはホテルへと戻る。キティルリアは、真っ直ぐ入口を見ていた。その入口は鉄板などでしっかりと封じられている。

 そこに魔素を通していくと、キティルリアは視線を塞いでいる鉄板から、その横に向けた。草木をかき分けて進むと、そこには地下水路に入るためのマンホールが存在した。


「なるほど。正確にここを記しているものがなければ、見つけるのは難しいわけか」


 マンホールの蓋を開いて、キティルリアは内部に飛び込む。地下水路に着地した瞬間に正面に組織の構成員が立っていた。

 梯子を使わずに飛び降りてきたキティルリアと完全に目が合い困惑する構成員の顎を、キティルリアは即座に拳で打ち抜き気絶させる。

 魔素で構築された拳は通常の拳よりもかなり固い。キティルリアとしては、顎を砕いていないか心配になるが、ギリギリ原形を保っていた。


(まぁ、死なない程度に治療はしておくか)


 軽く治療をしておき、キティルリア前に進んで行く。魔素を前面に広げていき、内部にいる構成員の数などを把握する。


(全部で何人いるか分からないのは厄介か。まぁ、取り敢えず、全員意識を奪おう)


 魔素で捉えた人間達の意識を刈り取る。雷魔法を使う事で、気絶させているので、痕跡が残らないように治療もしている。内部にいた構成員達は、何が何だから分からずに意識を闇に落としていく。

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