表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生魔王の復讐革命  作者: 月輪林檎
魔王として聖女として

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/44

ラスティーナの定期報告

 これまで通りの日常を送っているシャルロットの元にラスティーナから報告のメールが届く。


「メール……えっと……これを開いて……」

「シャル、使いこなさせているの?」

「う~ん……別にラスティしか連絡先に入れてないから、使いこなすとかはないかな。よし、開いた」


 たどたどしい手付きで携帯電話を操作するシャルロットを、リーシェルは心配そうに見守るが、リーシェルも携帯電話は持っていないため、何をどう操作しているのか等はわかっていなかった。


「リーシェルも読む? 教会の内部状況の調査なんだけど」

「どんな調査を頼んでいるのよ……見るわ」


 リーシェルは呆れながらも、その調査内容が気になったため、読ませてもらう事にした。自身が所属する組織の内情であるため、場合によっては複雑な気持ちになる可能性があったが、逆に上層部などを見限るきっかけなどにも出来ると考えていた。

 二人で読みやすいように、シャルロットはリーシェルの膝に乗って携帯電話を操作する。


「画面が小さいわね……」

「そういうものじゃないの?」

「そういうものだけど、歳を取ったら字が読めなくなりそうって思ったのよ。ほら、ちゃんと見せて」

「ふ~ん……はい」


 ラスティーナが調べた内容は、以下の通り。


 アコニツム周辺の街にある教会に関して。

 積極的に本部の司祭もしくは助祭の聖職者を招いており、本部からの評価も高めとなっている。しかし、招かれている聖職者に偏りがある。

 その聖職者は、どの人物も教会の権力を利用して好き勝手をしている人物だった。これが問題になっていないのは、偏にもみ消しが生じているから。もみ消される理由は、好き勝手する相手が信徒であるから。

 信徒は、その聖職者達に逆らえば神からの怒りなどが待ち受けていると考える。それ故に自分の胸の中に仕舞っておくしかない。

 中には訴え出ようとした者もいたが、秘密裏に消された。その聖職者達は独自の諜報部隊や暗殺部隊を所有している。その一部と戦闘になったが、人にしては強いが魔族には届かない。あらゆる記憶を消去して野に解き放った。

 悪行の証拠の原本を入手したため、精巧に作られた贋物とすり替えた。


 これら聖職者と修道士の目的は、権力の安定化。自分達が好き勝手出来るだけの権力を維持する事。本部の聖職者が来る理由も、本部の中では監視の目があるが、地方への訪問を行えば、その目が緩むため、こちらで好きな事をする。

 こうして定期的に訪問していれば、それだけ地方を気にしている者として見られる。

 それは自分達の評価が上がる事を表している。評価が上がれば、より上層部に食い込みやすくなり、上層部に食い込めば、教会をより好きなように変える事も可能となる。

 聖女としてシャルロットを招こうとしているのも、この一環。聖女の発見と育成、そして本部への譲渡を行えば、地方の教会の評価は上がり、それに携わった修道士と聖職者の評価も上がる。

 これは実際に他の聖女で実行された例もあるため、評価が上がるという事は間違いない。逆にひた隠しにする方が評価が下がるかもしれないという話もある。


 本部の調査は出来ていないため、上層部の思惑は分からないが、少なくともこそこそと隠れながら行われている事のため、上層部は良く思わないと予想される。


 この内容を見たリーシェルは、眉間に皺を寄せていた。教会そのものが腐っている訳では無いと考えられるが、それ以上に他の街の修道士やそこに協力している聖職者などに嫌悪感を抱いたからだった。


「これって本当の事なのよね?」

「そりゃあ、ラスティが調べた事だからね。ラスティが虚偽の報告をする訳がないし、色々と腑に落ちる事もあるしね。あそこまで私を引き込みたいと必死になる理由とか」

「うちが教会本部の人間を招待しない理由は……」

「そもそも招待する理由自体がないからじゃない。来てもらってもやること無いし」

「それは……そうね」


 シャルロットの真正直な返しに、リーシェルは少し言い返そうとしたが、実際のところその通りである事を認めた。

 アコニツムに来てもらっても、本当にやる事などはないのだ。教えを説くにしても、それはマザー・ユキムラとリーシェルで事足りている。寧ろ、二人の尽力でアコニツムには信徒が増えている状況だった。毎日祈りに来るような熱心な者こそ少ないが、それでも教会で祈る人もぼちぼち増えている。


「それでも時々見に来る聖職者もいるでしょ? 私はあまり見たこと無いけど」

「基本奥に引っ込んでいるからね。まぁ、そこは良いわ。問題は他の街の修道士達よ。こんなの許されて良い訳がないわ」

「でも、本部に言ったところで、その前にもみ消されるのだけだと思うよ」

「どうして?」

「リーシェルに上層部とのコネはないでしょ? 途中で、この辺りの聖職者に訴えを見られて消されると思う」

「そういう風に仕組んであるって事?」

「そういう役職を得てる可能性は高いね。だから、もみ消しが簡単なんだろうし」


 シャルロットの考えに、リーシェルは納得してしまった。納得してしまったが故に、別の方法を探さなければいけなくなる。


「それなら地道に教会を内側から変えるしかないわね。シャルも何か出来ない?」

「ええ……魔王になったら、外から圧力を掛けられるかもだけど、それも世界が平和になってからの話だよ」

「そう……今の状態じゃ出来ないの?」

「だって、武力的な争いなら理由を見せつけられるけど、内部事情だと魔王が教会を潰しに来たとしか見られないよ」

「……それもそうね」


 思った以上に腐敗している範囲が広い教会。リーシェルは、教会の上層部だけは、しっかりとした人達が集まっているという事を祈ることしか出来なかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ