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転生魔王の復讐革命  作者: 月輪林檎
魔王として聖女として

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腐敗の実感

 それから数日後。シャルロットは、定期的な手伝いであるマギア診療所での診察補佐に来ていた。そこまでの道程で、シャルロットから一定距離離れた場所から教会の人間は付いてきていた。

 一度マギア診療所に入ろうとして、ユイが通常の受付業務を行おうとすると、即座に逃げていったという事もあった。それからは診療所から少し離れた場所で入口を監視している事が多い。毎回同じ場所ではなく、異なる場所から監視しているというところが、敢えて隠れているという事を表している。


「私、子供だから舐められてるんですかね?」

「中身が初代魔王だとは誰も思わないでしょうね。でも、そこまで執着されるのね。ここ最近聖女が出てきていないのかもしれないわね。中央大陸の事は分からないから、正直なところ何とも言い難いところだけれど、聖女としてのシャルちゃんを上手く利用したいと考えているのかしらね」

「あれってどうにか出来ます? 下手に行動すると、何かしらの問題になるんじゃないかって思っちゃって」

「警察に言えば良いのよ」

「あ、あの……もう通報しちゃったんですが……」


 二人の話が聞こえてきたユイは、少し申し訳なさそうにそう告げた。その言葉を聞いたシャルロットとイリスは、互いに顔を見合わせてしまう。まさか、本当に通報しているとは思わなかったからだ。


「まぁ、あっちが悪いですよね」

「そうね。完全にストーカーも同じだもの。教会の人間とかは関係ないわ。ユイ、良くやったわね」

「いや、絶妙にこちらから見える位置にいるので、いい加減鬱陶しく思って……来院する方々もちょっと気にしているみたいでしたし」

「それは本当に通報して良かったわね。遠慮する必要もないわ。営業妨害だもの」

「何かすみません」

「ああ、シャルちゃんのせいじゃないから気にしないで。常識を持たない人が悪いから」


 ユイはシャルロットの頭を撫でてから受付に戻っていった。シャルロットが初代魔王と知っていても、見た目はまだまだ子供であるため、いつも通りの癖で子供扱いしてしまうのだった。シャルロット自身は特に気にしていないので、文句も言わない。

 そんな話をしていると次の患者がやって来る。その患者が来た時、シャルロットはすぐに受付の方に顔を向けていた。

 その理由に診察が始まってから、イリスも気付いた。何故から、患者の女性の身体には黒い痣が広がっていたからだ。


「これは魔傷ね。それも重度な。別の街から来たって事はシャルちゃんの噂を聞いて?」

「は、はい……」


 患者の女性は眉を寄せながら頷く。それは苛立ちを覚えている訳では無く、魔傷による痛みに耐えている証拠だった。


「この魔傷の状態で、よくこっちまで来たわね。シャルちゃんお願いできるかしら?」

「はい。少し痛みますが、我慢してください」


 シャルロットが魔素を吸収している間に、イリスは問診を行っていく。


「聖水による排出は間に合わなかったのかしら? 初期段階なら、継続して使用すれば、ちゃんと抜けるはずよ」

「それが……教会から聖水が渡って来ないらしくて……聖水を安定して飲み続ける事が出来ませんでした」

「あら……それでそこまで深くなったのね。病院から聖水の催促などはされなかったのかしら?」

「その……教会からは多額の寄付があればと……ですが、そこまでのお金は……行く街々がどこも同じでしたが……ここの噂を聞いて」

「なるほど。う~ん……その辺りを苦情で出すと面倒くさいのよね。向こうは善意でやっているからっていうのが言い分になるのよ。こっちもしっかりとお金は払っているのだけれどね。ひとまず聖水は処方しておくわ」

「えっ……でも、これで治るんじゃ……」


 患者の女性は、シャルロットが魔素を取り除けば終わりになると考えていた。そのため聖水の分の代金を節約出来るとも考えていた。


「この量の魔素を一気に抜く事はそうそうないのよ。シャルちゃんなら問題ないとは思うけれど、念のため飲んでおいた方が良いわ。そんな大金を払えなんて言わないから安心して。通常の値段よ」

「あっ……良かったです……」


 これまでが大金を積めと言われていたために、通常の値段と言われて患者の女性は安堵していた。そうして、魔素の除去が済んだ後、全体的に診察をしてから送り出す。


「何というか、ちょうど教会の腐敗について話していたから、大分タイムリーな話題ね」

「そんなに腐敗が進んでるんでしょうか? マザーとかリーシェルが全くそんな事をしてないから、かなり違和感があるんですが」

「私が知っている教会も同じよ。今は上層部の人間になっているはずだから、上はそこまで腐っていないと思うけれどね」

「そうなんですね。今、ラスティに調べて貰ってますけど、ちゃんと腐っていないと良いですね。まぁ、所属する気はないですけど」

「まぁ、この現状を見たらそうよね。でも、それならそれで覚悟はしておくのよ」

「セントレアでの信徒の子供達から受ける圧とかですか?」

「そう」


 この辺りはシャルロットも考えていた。信徒は何も大人だけではない。子供の時から信徒になっている者や親が信徒故に色々と教えられているという子供は存在する。

 学園都市であるセントレアでは、そういった子供がいる可能性も高くなる。そうなった場合、聖女の力を持ちながら教会に所属しようとせず、教会のために使おうともしないシャルロットへ嫌がらせが行われる可能性がある。


「まぁ、初代魔王を虐めるような子供がいるかどうかね」

「他の人は知りませんから、普通にあり得ると思いますよ。あまりにやり過ぎてきたらねじ伏せますけど」

「そこは容赦しないのね」

「その子のためになりませんから」

「そのくらいの教育は必要になるかもしれないわね」


 二人して軽く言っているが、実際それが起こりそうではあるため、内心苦笑い状態だった。

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