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転生魔王の復讐革命  作者: 月輪林檎
転生した魔王

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23/38

魔王で聖女?

 教会に戻ってきたシャルロットは、礼拝堂を通り過ぎてリビングに入る。


「ただいま」


 帰ってきたシャルロットを迎えたのは、お茶を飲んでいるマザー・ユキムラだった。


「おかえり。今日は工事現場で事故があったそうよ」

「うん。現場で治療してたから知ってる」

「あらあら。大丈夫だった?」

「うん。救助活動と治療だけだから。崩落は魔素で押えられるし。それより、マザーに訊きたい事があるんだ」

「そう。まずは手洗いうがいからねぇ」

「は~い」


 言われた通りに手洗いうがいを終わらせたシャルロットは、マザーの前の席に着く。


「マザーって、聖女がどうやって生まれるか知ってる?」


 シャルロットが最初から本題に入ると、マザーはゆっくりとシャルロットの目を見た。それに対してシャルロットも真っ直ぐ見返す。


「聖女の力に目覚めたのね?」

「ううん。診療所でそういう話題になったから」


 事前にイリスと話していた事もあり、シャルロットは自然とそう返す事が出来た。


(半分嘘で半分本当ね)


 マザー・ユキムラは、シャルロットが聖女の力に目覚めていないという嘘を見抜いていた。本当の部分はそういう話題になったからという部分。実際に話題にはなっているので嘘ではない。

 マザー・ユキムラは、シャルロットに追及せずに質問に答える事にした。


「清き心と慈愛の心を持ち、傷付く者達に癒しをもたらす存在。それが聖女様。聖女様の力は継承していくような者ではなく、その魂が持つ力とされているのよ」

「魂が?」


 魂という言葉で、シャルロットは首を傾げる。それは、自分の魂が初代魔王そのものだからだ。これが本当の事だとすると、初代魔王の魂が聖女の力を宿しているという事になってしまう。


「ええ。魂が最初から持つ力。それが聖女の力よ。それを目覚めさせる事が出来るのは、真に他者を思い、慈悲の心を持つ者のみ。そう言われているわねぇ。だから、聖女は世界に一人とは限らないのよ」

「…………」


 マザー・ユキムラが教えてくれた聖女が生まれる条件。それを聞いたシャルロットは複雑な気持ちになっていた。

 マザー・ユキムラの話から全ての魂が聖女の力の素を持っているという事は簡単に考えられる。それは魔族も例外ではないのだとも分かる。それでも自分に多くの同胞を殺した聖剣を作り出す力が宿っているという事を認めたくなかったのだ。


「聖女様は教会でも重宝される。世界を救った力の一つだからねぇ。それに初代聖女様が元々教会の出身らしいからねぇ」


 この話を聞いて、シャルロットは難しい表情をしていた。そんなシャルロットにマザー・ユキムラは変わらず微笑みを向ける。


「私はシャルロットこそ、聖女の力に目覚めるべき存在だと思うがねぇ」

「何で?」

「人間だけではなく、魔族だけではなく、この世界そのものの平和を求めているからさ。そんな大それたものを求める人は、世界広しと言えど、シャルロットだけじゃないかねぇ」


 マザー・ユキムラのその言葉は、シャルロットの心に蟠っていた淀みを微かに動かす。


「…………そんなこと無いよ」


 シャルロットがそう言うので、マザー・ユキムラはシャルロットの顔をジッと見る。シャルロットの表情は、苛立ちを覚えているようにも見えるが、それでも口元は小さく笑っていた。


「そうかい。そう思える人がいたんだねぇ」

「うざいし嫌いだけどね。ありがとう。何か分かった気がする」

「そう。シャルロット」

「ん?」

「自分の道を歩きなさい」

「うん」


 シャルロットはそう返事をして自分の部屋へと戻っていく。そんなシャルロットをマザー・ユキムラは笑いながら見送った。

 部屋に戻って来たシャルロットはベッドに寝転がって思考していく。


(私が持つ力……圧倒的な魔力と魔素、そして聖女の力。聖女の力は私が求める平和に反応して目を覚ましたと考えられる。私が守りたいのは、魔族だけじゃなくて、人間も含めたこの世界全て。とても傲慢な考え方だ。そういえば、それだから魔王として相応しいとかも言われた事があったっけ。自分勝手で、押しつけがましい。私の考えはそれだ。

 平和を求めない人は確かにいる。戦争が好きなやつとか……魔族の中にもいたし。でも、聖女はそうじゃない。うざいし気に食わないけど、人間の平和を守ろうと純粋に考えていたんだろうな。

 平和の考えも人によって違う。欲する平和がどういう範囲なのか。私は世界。初代聖女は人間。どちらも平和を望んでいる事には変わりない。

 なら、どうして魔王の時に聖女の力が宿らなかったのか。聖女が一人とは限らない。私が力を発現していた可能性もあったはず。でも、あの金色の光の粒は……光の粒?)


 シャルロットはそこまで考えたところで自分の身体から魔素を出す。魔族であるシャルロットには見える。自分の身体を覆っていく魔素が。一際多い魔素を持っているシャルロットは、基本的に集団で戦う事をしない。

 同じ魔族達は、自分の魔素が見えるので本気で戦った時に視界が悪くなってしまうからだ。そして、それは誰かを助けるとき治す時も同じだった。魔素による治療。魔族相手であれば、当然の治療法だった。


(私が聖女の力を無意識に使う時、常に魔素を出していたとしたら……私の異常な量の魔素によって、覆われて聖女の力が見えなかった。その可能性はある。聖女の力の行使……守りたい、助けたいと強く思う事。故に怪我人を治す際に現れる。私に本当に聖女の力があるとは限らない。

 確定するまでは、誰にも話さない方が良いかな。これで聖女の力がないとなったら、面倒くさい事になりそうだし。自力で行使出来れば証明も可能なんだけど)


 シャルロットは何もない空間に回復魔法を使用する。しかし、ただ回復魔法として放出されるだけで、聖女の力を行使した際に出るとされる金色の光の粒は存在しなかった。


「自分の意思で力を使えないって……大分欠陥だと思うけど。まぁ、そこを気にし続けても仕方ないか。聖女の立場……教会で重宝されるという事はある程度の立場にはなれる。意見が全部通る程でないはずだから、聖女の力を明かすかどうかは悩みどころか……

 聖女……聖剣を成り立たせた愚物……魔族が素材になっていると知っていたのか知らなかったのか。まぁ、確認のしようはないから考えても仕方ないか。

 聖女になれば聖剣を破壊出来るのかな……そもそも聖剣は破壊出来るものなのか……そこが問題か。私には破壊出来なかったし。

 てか、聖女になったら、魔族から完全に敵として認識されるだろうし……」


 シャルロットは、聖女として名乗りを上げるか。それとも黙ったままでいるか。大きな悩みを抱えていた。聖女という立場も気に入らないが、聖女になれば魔族との接触が厳しくなるという事も悩む理由になっていた。

 魔族と接触し、この数千年の情報を得る。シャルロットにとって、それは重要な事だった。初代魔王である自分がいなくなった後、新たな魔王を任命した理由や人間達との争いを続ける理由など、その口から聞かなければならない事が多くある。


「聖女の力を持っているとバレる前に接触を図るのが一番か」


 シャルロットは、自分がやるべき事を考えて行動していく。

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