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1-15.現場

年内更新ラスト!

「ちょっと!氷準備しておいてって言ったじゃない!!」


「ごめん、でももう魔法使えなくって…。」


「なら今すぐ他の人に変わって!あなたはポーション飲んできなさい!」


実際に見たことがあるわけではないが、緊迫した医療現場とはこういうものだと言わんばかりの光景が広がっている。乱れた髪をそのままに指示を出す人もいれば、どちらが病人か分からないほど真っ青な顔で壁を背に座り込む人など阿鼻叫喚だ。


「村長、これは一体…?」


「何、今日は一日こんなもんさ。佳境といったところなのかもしれないね。」


自分がキリユキ草を取りに行っている裏でここまで過酷な看病が繰り広げられていたのは知らなかった。そのことに不満を覚えるが、気付いた村長に諭される。


「お前さんは医者じゃないだろう?だから薬草を取りに行ってくれた勇者様がこっちを気にする必要はないのさ。ついでに言えば万が一このままジルが逝っちまうとしてもそれはヒロ、誰が何と言おうとお前さんのせいじゃないからねぇ。」


確かに看病に加わったリンカと異なり、自分がこの場で出来ることはほとんどないのかもしれない。それでもぶつけようのない苛立ちが募る。


「安心しろ。さっきジョンが言っていただろう。強力な助っ人が来たと。」


村長の指さす方向を見れば、この喧噪の中ジルの眠るベッドの横で椅子に腰かけ祈りを捧げる銀の長髪の女性が目に入る。


「レティ、聖女見習いらしいがとんでもない子だ。彼是7~8時間ぶっ通しで魔法をかけ続けてる。」


それがどれだけ凄いことなのかは正直分からないが、例えようのないオーラのようなものを感じる。


「おいっポーション持ってきたぞ!」


聖女の祈りに目を奪われていたらどうやら自分の取ってきた薬草から作られたポーションが届いたようだ。駆けていったリンカが受け取る。


「あれっ、先生は?」


「それが先生も大分無理して急いでくれたみたいで、魔素切れでダウンしちまったんだ。」


「そんな…。レティさん、投薬魔法お願いできますか?」


集中していた様子のレティだったが、周りの状況も把握していたようだ。祈りの姿勢はそのままに目を開き答える。


「もちろん投薬魔法は使えますが……。でも今回復魔法をやめるわけには…。」


苦い顔をしたレティに重たい沈黙が場を支配する。

静寂を破ったのは横にいる村長だった。


「リンカ、あんたがやりな!!」


「で、でも私…。」


「今この場でできるのはお前だけさ。親友を見殺しにするのかい!?」


少し俯き、それから深呼吸をしてリンカは答えた。


「私がやります!」


ポーションの蓋を開けながらベッドの横の椅子に移動する。そしてレティと同じような祈るポーズをとる。


「お願いっ…。」


サイドテーブルに置かれたポーションに魔方陣が浮かぶ。そして糸のように細い線がリンカとジルを繋いだと思えばジルの全身が優しい光に包まれた。


「リンカさん、大変お上手ですね。」


レティが微笑む。


「ふん、あんなに練習してたんだ。もっと自信を持っちまえばいいんだ。」


少し捻くれながらも孫の成長を喜ぶ祖母の姿が横にあった。


ファンタジー物で回復するためのアイテム、薬草だったりポーションだったり色々ありますよね。

多くの場合主人公のパーティが使う回復アイテムとして利用されたり、偶に王女様を救うイベントアイテムだったりしますよね。


でも道具屋とかでも普通に売っているものなので、普通の村人とかも使うと思うんですよ。

そこで今回はファンタジー世界での医療行為ってどんな感じだろう?という一話でした。

戦闘中に即効でHPが回復するんだから、こういう場でも使わないわけないよな~と思いました。


投薬魔法の補足とかはどこかに回すとして、

今回は一部ご想像にお任せしますをやってみました。

特に最後の部分リンカはどんな表情をしていたのでしょうか?

きっちり全部書きたくなってしまう派なのかもしれないと思っていましたが、

最近読んだ小説で想像の余地が多いのも面白いと感じたのでやってみました!


こんな感じで来年も好きなペースで好き勝手書いていこうと思いますので、

よろしければお付き合いください!


では、よいお年を!

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