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勇者の再解釈  作者: 氷上 栄紀
1章:最初の村
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1-1.チュートリアル

「眩しっ!」


顔に黄金色の光を受け意識が覚醒する。そこは森の中だった。周りを見渡すと3mほどだろうか、赤や黄色の葉を付けた木々に囲まれている。足元には落ち葉だけでなく木の実も転がり正に秋と言った光景だ。葉の間からこぼれる西日がそれらを一層輝かせている。この美しい光景に自然と涙があふれそうになった。


さて自分はこんな所で何をしていたのだろう。

散歩の途中だった気がする。いや、電車の中で小説を読んでいた気もする。あるいはゲームでもしていた気もする。

そう言えば好きなゲームの続編発表に心躍らせ、数年ぶりに引っ張り出した何度も救った世界で、ブランクもあってか最初のボスに返り討ちにあった思い出がよみがえる。

だがどれも気がするばかりで、はっきりとしたことは思い出せない。


切り替えて現状を確認する。

白い長そでのTシャツにジーパンといった無難な服装、ポケットには若干画面に傷がついたスマートフォンに、アルバイトさぼり気味な大学生ってこんなもんだよねといった財布。


取り敢えずスマホの地図アプリを開いてみるも圏外どころかGPSも動作せず。アッ充電切れた。

現代人にとってどこか分らぬ地で死を宣告されたようなものだ。近くにコンビニの1つでもあればなぁとか馬鹿なことを思いつつ、今後について考えをまとめる。


何があったか分からないがいわゆる、遭難している(迷子位かも)状態だろうか。

であれば無暗に動かない方が良いかもしれない。幸い長そで長ズボンで過ごしやすい陽気だし、何よりスマホの充電が切れた今、どちらへ向かえばいいのかも分からない。電源入っても圏外だし…


諦めてそばにあった木を背に腰を下ろす。取り敢えず誰かを待つ間の暇をつぶそうとポケットに手を伸ばすが、意味がないことを思い出し中断する。ならいっそこの景色を堪能してみようか。その時だった。


「ドガンッッ!!」


雷でも落ちたのだろうか?こんなに天気もいいのに?

近くで聞こえた突然の轟音に体が強張るが深呼吸をし、無理やり落ち着かせる。やはり雷の音だったのだろうと結論付け、改めて自然を感じるため寝転がってみようかとするが、それは許されなかった。


「誰か助けて!」


先ほど雷の音がした方から少年と思われる声が届いた。山火事でも起きているのかと不安になったが、少なくとも近くに人がいることが分かった。

少年を見殺し(聞き殺し?)にするのも寝覚めが悪いし、取り敢えず人がいる方へと思った私は、声のした方へ足を向けた。



歩き始めて数分、突然視界が真っ白に染まり、再び轟音が届いた。先ほどよりも確実に近かった。違和感はあるがやはり雷だろう。根源的な恐怖に足取りは重くなるも着実に一歩ずつ進んでいく。


暫く歩くと再度少年の声が聞こえた。だが今度はそれだけではない。何か聞きなれない低いうめき声のようなものを耳が拾う。かなり近い。野生の熊か何かだろうか。少年はそれから逃げているのではないか?


最悪の事態を想像しつつ慎重に歩を進める。すると目の前に開けた場所が見えてきた。かすかに泣き声が聞こえる。相変わらず獣の唸ったような声も聞こえるが。。。

場合によっては自分ではどうしようもできない状況かもしれない。先ずは様子を覗いてみようと大木の横から顔を出す。


地面にぺたんと座り込みすすり泣く傷だらけの少年。少なくとも生きているのは間違いなさそうだ。

しかしその少年の前にいるものが問題だった。それは熊でも猪でもなかった。

そいつは自分の腰の高さ位だろうか、道で見かける小学校低学年といった身長の生き物だった。ー 肌が緑の。


そんな生き物は見たことがない。否、正しくは見たことはある、ゲームや漫画の世界でなら。

ファンタジー世界の定番、ゴブリンと呼ばれるものがそこにはいた。


目の前の信じられない光景に一歩後ずさる。木の根に足を取られ尻もちをつく。

その音に気が付いたのだろうゴブリンと視線が合う。

二匹いたのか、その内の一匹が獲物を吟味するように、よだれを垂らしながら近づいてくる。


一歩、また一歩と着実に距離が詰まる。

そしていよいよ手が届くかといった場所で、ゴブリンは首からかけた黄色い宝石を掲げ叫びだした。

宝石が淡く輝き始める。何が起ころうとしているのだろうか。まさか魔法!?


一際輝きが大きくなった時だった。

バチッと音を立て宝石が砕け散る。ゴブリンの手からは煙が上がり苦しんでいるように見えた。


その光景をみて我に返る。急いで立ち上がりながら周囲を見回すと、こん棒と言って差し支えないような太い木の棒に目が留まる。自分の左後ろ直ぐの位置だ。

ゴブリンに背を晒しながらその方向へ思いっきり駆ける。一歩が遅い、とてつもなく遠い。まだ悶える声が聞こえている。心臓が騒ぎ呼吸が乱れる。永遠と思われた5歩の後、ついにこん棒に手が届く。


息つく暇なく振り返ると血走った眼をしたゴブリンが怒号を上げながら一直線で向かってくる。恐怖はあるが、努めて冷静に観察する。


― 大丈夫、早さは大したことない、体格もこちらが勝っている。

― 大丈夫、手には武器がある。

― 大丈夫、あれは化け物だ。


迫る緑色の物体に向け、こん棒をフルスイングする。あれの頭に直撃したのだろうか、骨が砕ける感触が手に伝わる。視界の端では赤い液体が舞っている。


こん棒を振りぬいた勢いのまま、先ほど少年がいた方へ走り出す。もう一匹の緑の化け物がこちらへ体を向ける。手には包丁のようなものが握られていた。刃先からは血が滴っている。再び恐怖が湧き出すも足は止めない。


多分後10mもない。心臓の音が頭に響く。

―シュッ。

脇腹に痛みが走る。すぐ後ろで金物が落ちる音がした。全身が熱を発するのを感じる。でも足は止めない。


― 大丈夫、やつの手には何もない、自分の右手はこん棒を握っている。

― 「大丈夫、さっきは勝った。」


もう目の前だ。左足を踏ん張る。歯を食いしばり両手で握ったこん棒を振る。

今度は胴体に直撃し、そいつは地面に転がる。


地面に倒れたその緑の生き物へ1歩近より様子を伺う。

足は手にしているこん棒と同じくらいの太さだろうか、簡単に折れそうだ。

腰には汚れた布切れを巻いている。腹の周りは骨が浮き彫りで胸は上下運動を繰り返している。

変な方向に曲がった腕もやはり簡単に折れそうだ。


首から上に徐々に視線を移す。口からは牙がのぞく。あっ鼻血が出てる。

もう少し上を見れば目が合う。怒りの形相でこちらを見ている。当然だろう。たった今殴られたのだから。目の端からは透明な雫が零れ落ちていた。


「おい、こっちにいたぞ!」


男の声と共に光源が近づいてくる。


「君がシンを助けてくれたのか、ありがとう!おっと、このゴブリンまだ生きてるじゃないか。」


男が剣をふるうと、弱く聞こえていた呻き声がなくなり、重い何かが落ちた音がした。

― そして世界が暗転する。


いよいよ本編の方がスタートしました!

突然異世界に放り出されたら何ができますかね?

主人公は何とかチュートリアル戦をクリアしましたが、実際無理でしょw

ゴブリンに殺されて終わってしまう異世界転移もの、ありそうな気がします…


それはさておき戦闘シーンってどう書けば良いんでしょうか?

スピード感や緊迫感を演出したいと思うも難しいですね…

好きな作家さん達の表現に脱帽です。

(脱帽なんて人生で初めて使いましたw)


まぁ1歩ずつ頑張って行きますよということで、

少なくとも週に一回は更新できるようにしていきますこと、ここに宣言します!(自分を追い込め!!)

生暖かい目で見守ってください。。。

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