1-9.見送られる勇者
気まずい雰囲気のまま終わったパーティの翌日、村の入り口にて装備の最終確認を行っている。見送りは村長にリンカ、そしてシンの3人だ。
「どうだい、ヒロ。昨日はよく眠れたかい?」
「もう昼近いですし、全然大丈夫です。」
眠気に関しては答えた通り問題ないが、全体的なコンディションとしては最悪に近かった。なにせこれから行くのは薬草採取とは名ばかりの死地になるかもしれないからだ。
自分の気持ちを知ってか知らでか、空模様はこれでもかと言うばかりの快晴で、一周回って清々しい気分になってくる。
極力魔物との遭遇を回避するために魔物も寝ているであろう夜中に森へ行くという案を出したものの、ゲームの設定よろしく寧ろ夜に活発になる魔物の方が危険なものが多いという理由で却下された。加えて樹木の根でボコボコしている地面を暗い中で素人がという段階で有り得ないそうだ。
そんな訳で真っ昼間に出発することになった。思わず隠れる気が無いだろうと突っ込みたくなる状態だが、幸いクリーム色の上に深緑の下という組み合わせは森の中ではそこまで目立ちはしないだろう。
また要所を守る防具として革製の手袋と胸当てを装備した。高々革なので防御力の方は未知数だが、大きく動きを阻害されるということは無いようなので付けてみることにした。そして昨日選んだ直剣は左腰に携えている。金属製の直剣は鞘に納めた状態でも重さ以上のプレッシャーを放っている気がする。
更に腰には革製の鞄をウエストポーチのイメージできつく結びつけてある。中にはアストフ村特産の瓶に入った回復用ポーションが2本と、今回目的であるキリユキ草の特徴をまとめたメモが入っている。飲み物は荷物が嵩張ることと、生活魔法を教えてもらったことで簡単に確保できるようになったことから持って行かないことにした。
「さて、改めて確認するがお前さんが戻らなくても助けはよこさなくていいんだね?」
「はい、昨日お伝えした通りです。」
小さい子供、それも勇者に期待してくれている彼の前ではとても話せないが、そういった事態が発生する可能性は承知している。なんせゴブリンに襲われるような世界なのだ。何事もない可能性は低いかもしれない。そんな状況下で勇者であり死なない自分のために、もし村人が犠牲になると考えるとそれは許容できるはずが無かった。感情面を抜きにしたら自分も村人と同じ考えだ。死なない勇者のために死ぬ可能性のある村人が命を懸ける道理はどこにもない。
このやり取りだけでは理解が及ばなかったのであろうシンが困惑している。心配そうな目でこちらを見つめてくる。
「大丈夫、勇者が魔物なんかにやられるわけないでしょう?必ず薬草を取ってくるからお姉さんと待っていてくれるかな?」
「…うん、待ってる!」
待つことしかできないことに悔しさを覚えているのだろうか、それともやはり不安なのだろうか、昨日渡したお守りを持つ手は固く握られていた。それでも着丈に、精一杯強がって明るい声で返事をしてくれる。
「私もヒロさんが無事帰ってくるのを待ってます!おいしいご飯を準備しておきますね!」
「リンカさんのご飯はどれも美味しいからなぁ。楽しみにしています!」
対してリンカは至って普段通りの様子で明るく声をかけてくれる。出会ってまだ2日も経っていないが、彼女のこの雰囲気に何度も救われたことを思い出し、無事帰ってこようと改めて決意する。
「ま、死んでも死なないんだ。気楽に行ってきな!」
そんな中、昨日パーティで頭を下げてきた人と同一人物かと思う言い草に顔が引きつる。おそらく気負い過ぎないようにと気を使ってくれてのことだろうと、適当に感謝を伝えておく。
装備よし、目的よし、おまけに天候は最高。そう、ただ森に生えている薬草を採取するだけ。腰の剣は万が一の護身用。深く息を吸う。
「では、行ってきます!」
少年の期待を背に、勇者は一歩を踏み出した。
伏線を張ってみたい!思わず読み返したくなっちゃうような
と思っているのですが、どうやってやればいいのでしょうか?なるべくストーリに破綻が出ないよう、展開には気を使っているつもりなのですが、線は張れど、そいつの伏せ方が分からない気がします。
(素人の分際で何言ってるんだ、先ずは書いてみろ な感じがしますが)
つまり今回の話は伏線でも何でもなく、単純に装備・持ち物紹介した回で、話進まずごめんなさいってことです。状況説明は無いと薄っぺらい話になってしまう気がするような、逆にペースが悪くなってしまうような。。。
まぁ自分が思っていることを好きに書いてみようと始めたものなので好きにします!