嘘つき、やめたい。
嘘なんか大嫌い。
嘘で固めた人生に、何の意味があるの?
等身大で愛せないなら、私に近寄らないで。
私にも、等身大のあなたを見せてよ。
嘘なんか大嫌い。
もう半年も、ママが生きられないだなんて。
そんな最低な嘘、やめてよ。
聞きたくない。
嘘を吐くな。
自分に正直でいろ。
嘘は自分に返って来る。
そう言われて育ったわ。
だから私は、嘘が嫌いなの。
それなのに、どうして?
ママが死んでしまうのは「嘘」にならないの?
他のことなんて、どうだってよかった。
嘘じゃなくてもよかった。
嘘でも、本当でも、気になんてしない。
たったひとつ、拘りたいことだけどうして「本当」なの?
あぁ、神様なんていないのね。
神様までもが嘘つきなのね。
みんな、みんなが嘘つきだわ。
幸せそうに見えて、どうせみんな虚勢張っているのでしょう?
ねぇ、お願い。
もう、嘘も本当もどうだっていいから。
ママの嘘だけ取り下げて。
私にとって、たったひとつの光なの。
ママが居ないと、いつまで経っても夜が明けないよ。
返して。
返して。
私の嘘を返して。
ママなんて、死んでいい。
神様なんて、本当のコトばかり。
私は、ひとりでだって生きていけるわ。
ねぇ、ほら。
嘘を返して。
あなたが「嘘」と言ってくれた瞬間に、救われる人がここに居るの。
ねぇ。
それでもあなたは、「嘘」をつくの?
高い煙突からは、青空に向かって煙が伸びた。
私の嘘は、役立たず。
ボロボロ泣き崩れる無様な姿だけが、真実。