たまごかけご飯
「なぁ…どうやったらお金を貯められる?」
帰り道、俺は友達に相談される。
うーん…俺も金貯められないしな…
「恋人のヒモになるとか?」
「恋人へクリスマスプレゼントを買いたいんだ…」
あぁ…そりゃ無理だな…
「食費を節約するとか?」
「今も結構削ってるしな…オススメの料理とか無い?」
食費の節約に食いつく。
「もやし炒め?」
「いや栄養も取らなきゃダメだろ?」
ワガママだな…もやし炒めも栄養あるぞ?
「栄養がある…安い物…TKGのネギ乗せとか?」
何気なく会話して帰る。
こうして友達との別れ道…
「たまごかけご飯か…参考になったよ。試してみるわ。」
「おう。じゃあな!」
俺もスーパーに寄って帰る。TKGを食べたくなったからだ。
でもアイツみたいな金持ちでも金を貯めたい事ってあるんだな…
こうしてクリスマス直前…
「おい、毎食たまごかけご飯で節約を頑張っていたけど、お金が全く貯まらなかったぞ!」
友達は俺にキレてきた。
「は?どんな事があってお金が貯まらなかったんだよ?ありえないだろ?」
「3食たまごかけご飯にしたのに…金がどんどん無くなった。」
おいおい…どんな高級たまご使ってるんだよ?
「ちょいお前の家のTKG食わせてみ?」
金が貯まらないレベルのTKGを食べてみたかった。あと俺の食費を浮かせたかった。
こうして俺は友達の家に行く。1人暮らしには贅沢過ぎるマンションだった。
友達は素早くたまごかけご飯をテーブルに出す。
「これなんだけど…」
TKGに料理する時間はいらない。
T.手早く
K.簡単に出来る
G.ごはん
だが想像していたはるか斜め上のたまごかけご飯だった。
「なぁ…いくら、数の子、うにはまだ分かる。この黒い粒々は?」
「え?キャビアだけど?」
当たり前のように言われた。
確かにたまごかけご飯だけどさぁ…海鮮丼じゃん。
「ちょい冷蔵庫とご飯借りて良い?」
俺は友達の冷蔵庫からたまごを取り出し、真のTKGを提供する。
「え?これだけ?」
「いいから食え。これが本物のTKGだ!」
友達は渋々食べる。
「素材そのものを味わえて美味い。」
「だろ?」
こうして俺は贅沢なたまごかけご飯を、友達は真のTKGを仲良く食べた。
今まで食べた事の無い最高に贅沢なたまごかけご飯だった。
「もしかして…今まで食べてたたまごかけご飯に卵をかけたら更に美味しくなるのでは?」
「………」
もう庶民はついていけない。勝手にやってくれ。
この半年後、友達は入院した。痛風で…