表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
〇〇〇の神の申す事には  作者: 日曜定休のsai山
【第2幕】月曜日
102/120

第14話 月曜日の午後。保健室&教室。【天気】雨時々曇り

 朱音(あかね)が保健室に来ている。――(さき)先生からそんな情報を得た(りく)は、海斗(かいと)と一緒に保健室に行くと、朱音と再会を果たした。


 それから少し時間が過ぎて、午後1時50分。5時間目のおよそ半分を消化したころ。場所は北校舎1階、保健室――。




「てわけでさあ、陸君本当に咲久(さく)ちゃんの制服着て爆走することになったんだけど、なんかそれが似合い過ぎてて――」


「や。別に似合ってねえし。むしろ全然普通だし」


 陸は海斗の言い分に反論した。

 今陸たちがいるのは保健室の一角、パーテーションで区切られた保健室登校者用の学習スペースだ。


「いや。あれは絶対に似合ってたって。『仮装が似合い過ぎだったで賞』まで獲っってんのに何言ってんの?」


「そ、それは……」


 むむむ……と、褒められてるんだけどなんかイヤ。と言った感じの陸。


 しかし実際のところ、陸にとってこの話は不本意だった。

 なにしろ、あの賞はその名が示す通り「女装(男装)が似合い過ぎだから表彰します」と言うものだ。

 入学後しばらくはクール系孤高キャラを自任していた陸にとって、その方向で認められるのはちょっと違うわけで。


「あ~、そんなに似合ってたんならアタシも見てみたかったかも。あ。なんなら今からアタシの制服着てみても――」


 海斗の話に、けらけらと笑顔を見せていた朱音が言った。


「や。それは絶対にヤ!」


 その提案をキッパリと拒絶した陸。

 本当は咲久の制服だって本当は着るつもりなんてなかったのだ。


 すると、パーテーションの向こうから、


「あー、あなたたち。今は他に人もいないからいいけど、もう少し声を抑えてくれる?」


『はい。すみませんでした』


 養護(ようご)の先生に弾み過ぎる会話を注意され、陸たちはしゅんとした。


 ◇ ◇ ◇


 結局、朱音は5時間目が終わる前に帰路に着いた。

 陸たちはそんな朱音を見送ると、休み時間になるのを待って教室に戻った。

 そして、6時間目をつつがなく終えた今はHR(ホームルーム)前――。


福士(ふくし)さん、送って行かなくて本当によかったのかな?」


「え? いまさら?」


 6時間目を終えて担任がやって来るまでのわずかな時間。名残惜しそうにそんなことを言い出す海斗に、陸は驚いた。


「いやだって福士さん体弱いって言ってたし、ちゃんと帰れるの?」


「あー、でもそれは昔の話で、今はもう全然平気とか言ってなかったっけ?」


 意外と心配性なところを見せる海斗に、ちょっと首をかしげた陸。


 海斗はどうしてこんなに朱音に気を使っているのだろう?

 考えてみれば、保健室で話していた時も、海斗はどうでもいい話題は山のように持ち出したけれど、知流姫(ちるひめ)のことや奇稲田(くしなだ)に関する情報は一切口にしなかった。

 朱音は一緒に破滅に立ち向かった仲間だし、話したってかまわないはずなのに。


「……? どうかした?」


「ああいや。なんでもないんだけど……」


 陸は、海斗の問いにお茶を(にご)した。

 けれどすぐに気が変わって、


「ねえ。小宮山君はどうしてそんなにシュオンのこと――」


「ちょっと二人ともさあ! 5時間目いなかったけど、どこ行ってた? もしかして英語が嫌すぎてバックレたとか?」


「え!? ドンくんなに急に!? ……あ~でも……うんそう。そんな感じ」


「あ。それ絶対ウソだわ」


 突然割って入って来た級友のドンくんに、陸はニヘっと笑ってごまかした。


(りく)    ……主人公君。高1。へたれ。

咲久(さく)   ……川薙(かわなぎ)氷室(ひむろ)神社(じんじゃ)宮司家(ぐうじけ)の娘。ヒロインさん。高1。割といいかげん。

海斗(かいと)   ……陸の友人。高1。さわやかメガネ。

雨綺(うき)   ……咲久の弟。小6。ハスキー犬系男子。

朱音(あかね)   ……元迷惑系動画制作者。高1。根はいい子。

(さき)先生  ……朱音の担任。家庭科教諭。うっかりメガネ。


木花知流姫(このはなちるひめ)……桜の神様。ギャルっぽい。

奇稲田姫(くしなだひめ) ……川薙氷室神社かわなぎひむろじんじゃ御祭神(ごさいじん)。訳あって縮んだ。

しいな  ……小さくなってしまった奇稲田姫の仮の名。


雄狐(おぎつね)   ……川薙熊野神社かわなぎくまのじんじゃから出て来たおキツネさん。


川薙(かわなぎ)   ……S県南中部にある古都。

茅山(かやま)   ……川薙の南にある工業都市。


【お知らせ】

第1幕の後始末をしつつ新しい話を進めるのってすごい大変ですね。

朱音の件はこれでもだいぶ簡略化しているのです。

来週の更新? 知らんがな。(´・ω・`)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ