今日から屋敷で住み込み働き
どうも。はじめましての方は初めまして。それ以外の方はご愛読ありがとうございます。この作品を読んでいただけることに、いえ、このページを開いてもらうことに感謝しております。私は作者のtriggerです。これからも末永くよろしくお願いします。
「……」
あー。ここどこだっけ、何してたんだっけ、何でこんなとこいるんだっけ。まず初めに目を開けて見知らぬ壁紙が視界に移った時にこの疑問が出てきた。……一瞬の停滞の後、泣き疲れて朝方に眠った僕が目を覚まし、状況把握のために昨日の記憶を参照して自分の状況を整理した。僕は異世界にぶっ飛ばされた。トリスさんに拾ってもらって、この屋敷に来た。今日からここで僕は働く。以上。再起動完了。立ち上がると寝不足のためか少しふらつくがまぁ仕方ない。顔を洗って伸びをしてみんな起きてるかなとドアを開けた。
ドアを開けると、とてもきれいな館であることが再認識させられる。朝日が色とりどりのステンドグラスを通過して廊下に虹のカーペットを作っている。そのカーペットが敷かれた床は丹念に磨き上げられていて、虹の光を跳ね返した壁にまで鮮明に映していた。靴もこれにしなさいと言われて昨日もらった革靴で一階まで降りてみる。少し、いやかなりサイズが大きかったので一段降りるたびにかぽっ、ことんと音を立てる。そんな靴でえっちらおっちら降りて一階までたどり着いた。一階には静寂の中、机を囲むようにして机ごとに四つ、円状に配置された一人用ソファーが四セット、中央のレッドカーペットから右と左に二つずつ配置されていた。少しこの服では肌寒いので秋なのだろうか。今は何時なんだろうか、体感的には六時だが、そもそもこの世界に時計なんて存在するのだろうか、そんなことを考えながらぼーっとしていた。ここまで降りてくるのに誰ともすれ違わなかったから、誰もまだ起きてきていないのだろう。早かったので一旦部屋に戻ることにした。いきなりこれから一緒に働くであろう先輩の部屋に無遠慮に突撃するのは気が引けた。階段を上るときに四回段差に足を引っかけ転びそうになり、二回転んだ。一回は顔面を強打し涙が出た。五回靴が脱げ、拾いに行ったときに一回こけた。なんだかんだで階段を三階まで登り切った彼は自分の部屋に入るとベットに飛び込み、憂さ晴らしにふわふわの枕を思い切り抱きしめて布団に潜りこんだ。
「新人君!おはようっ!今日からっ…」
そういって入ってきたメイドのエリスはベットの上にある白くて丸くて一定のタイミングで膨らんだり縮んだりを繰り返す異様な物体を見て口から出かかった言葉を飲み込んだ。恐る恐る近づいて表面の布団をはぎ取ると中には小動物のように丸まって枕を強く抱きしめた将太が寝落ちしていた。まるで新種の動物を恐る恐る触るように彼の脇腹をつついてみた。すると彼は目を覚まして横に転がった拍子にベットから落ち体を強く強打し、訳が分からないよ、といった感じで目をぱちくりしていた。今朝だけでもう三回も体を強打している将太であった。彼が起きて最初に考えついたのは青あざは何個できたかな、ということだった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。もし誤字を見つけたり世界観などに分からないことがあるようでしたら私のところまで質問や誤字報告をお願いします。一週間以内には返信出来たらなぁと考えています。では、引き続きガイアリンドをお読みください。