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異世界も農家します(有機物を土に変える力で ホコリを取り戻せ)

作者: ピョンタ

地球は 今日も熱いのかな?と思い出しながらブドウ畑に精を出すのは地球から転移してきた俺。

異世界ではオーレンと名乗っているけど まさか地球が温暖化の影響で平均気温が60℃にもなって

緊急的に神様が各星々に俺たちを転生させる事態になるとは思わなかった。

説明もガスコンロの火を消し忘れちゃった的なのりで 「ごめ~ん あと100年くらい待ってて」とか言われて 「この神もうダメだ」と諦めた。

それよりも 魔法の使える異世界生活は勇者や賢者を目指す人や様々な職業を目指す人色々な人がいたけど そんな中で俺が選んだのは農業!!

1本しかない伝説の剣や杖を奪い合うのは 地球にいた頃にオンラインゲームでさんざん体験をしていた俺はどちらかと言えば 鍛冶屋のレベル上げばかりしていたし気が付いてみたらモノづくりの方が自分の性に合っていると気が付いた。


「やあ オーレンさん 今日も精が出ますね」

「家畜のたい肥を貰いに来ました」


家畜のたい肥は 畑のいい肥料になる。

ただ 家畜のたい肥って匂いがすごくて好んで使いたがる人は少ない。

でも そこで俺のスキルが役に立つ。


モー

メェー


家畜のいる牛舎に入りスキル発動「スキル:有機物を土に変える力!!」

腐った物は臭いを発するけどやがて土に還り肥料となる。


「オーレンさん 牛舎の匂いが消えて助かったよ」

そして 別の意味でも感謝されるし洋服の汗臭い匂いだって泥ボコりに帰ることが出来る

まあ 汗臭いのとホコリっぽいのとでどちらが好きかは好みの分かれるところだけど。


「オーレンスさん 聞きましたか?最近魔王が優勢で強い魔物たちがこんなへんぴな村にまで来るようになったらしいですよ」


勇者の数も増えたけど魔王をやりたいと言う転移者もいたので パワーバランスが乱れてしまって、

「始まりの村」ぐらいの位置づけのこの村にも刻々とモンスターの脅威が迫っているようだった。

勇者という選択肢を選んでいたら村のみんなを助けることも出来たのかもしれないけど

そしたら ブドウ畑を作ることもなかったし、こうしてたい肥を片付けたお礼に生の牛乳を頂いたり バターやチーズ作りを体験したり 葡萄酒を造ったりすることはできなかっただろう。

勇者はオンラインゲームだけで十分だ。


荷車にいっぱいのたい肥を積んで家に帰ると 手を振ってくれる女の子が見えてきた。

チューリップのアップリケの可愛いエプロンをした 宿屋のエミーだ。

「オーレン~!

「やあ エミー」

エミーは こっちの世界に来てからの一番最初のお得意さんなんだ。

コミュ障だった俺は ブドウを作るところまではうまくいっていたけど

売り歩くところが出来なくて 途方に暮れていたときに異世界転移したばかりの頃に泊まった宿屋に立ち寄ってみたら エミーがブドウを買ってくれたんだ。


「樽は重いから宿屋まで運ぶのを手伝うよ」

「あら いつもありがとう。ふふふ 実は今日も一人できちゃったの」


荷台を運ぶ俺の前を羊飼いの様にりりしく進み、栗色の甘い髪は振り返るたびに

ニッコリと微笑んで 甘い香りで流れて着そうな雰囲気だ。

利用されてる? よく言えば持ちつ持たれつの関係だろう。

ミリーの気持ちを確かめて見た気もするけど 「勇者を選択できたのに農家を選びました」なんて話をしたら俺がコミュ障だって事もバレてしまうだろう。


宿屋 パカロの宿に着いた。

酒樽を下ろして 食堂のテーブルに座っていると異世界に来た頃を思い出す。

あの 柱の傷は確か 魔王になるとか言ってたヤツが付けた傷だし、

火魔法を試して机を焦がして 親父さんにげんこつ張られた奴もいたな。

輪廻転生とはいっても みんな生きているのかどうなのか?


「オーレン これが今日の分よ」

「まいどあり」


二階の部屋から 頭巾をマスクのように覆ったエミーが出てきた。

帰ってばかりで忙しそうだけど どうしたんだろう?

二階と言えば冒険者の部屋だよな。

そう思って エミーの後ろを付いて行くと 空いたドアの部屋から異臭が漂ってきた

部屋をのぞいてみると 親方が散らかった部屋と格闘をしていてエミーがゴミを捨てようとお手伝いをしているようだった。

「ああ 冒険者さ 1カ月近く部屋から一歩も外出せずに滞在していたが まさか 食べ物は食い散らかすわ。腐ってカビ輪は得ているわ ハエが沸いているわ。とんでもないことになっている。どうりで急ぎの用事が出来たと言って宿賃を払って退散していったわけだよ。これなら追加の宿賃を貰わなくちゃ割に合わないぜ」


「部屋は奇麗になっても ニオイが残っちゃうわね。今晩この部屋を使う冒険者の方が気の毒だわ」

エミーもおやじさんも 困っているようだ。よし 助けてあげることにしよう。


「そう言うことなら 俺に任せてください。というか 部屋がホコリっぽくなりますけどいいですか?」

「ああ ホコリならホウキで片付けられるからな。オーレンがこの宿に来た頃みたいに土足禁止なんてする客じゃなけりゃ 問題ないぜ。がはは」


「では 早速 スキル:有機物を土に還る力!!」


スキルと使うと 部屋の中が砂嵐のように真っ白になった。

「こりゃー たまらんぜ ゴホゴホ」

「ケッホ ケッホ」

「脱出しましょう」


土ぼこりを片付けて帰るときに ミリーに声をかけられた。

「オーレン。今日はありがとう。だけど あまり誰にでも優しくしちゃダメよ。でないと 私のお父さんが私とオーレンを結婚させたいって、うるさくなっちゃうんだからぁ」


これは 告白なのか?いいえ お父さんの告白です。

エミーは どう思ってるの?俺はOKだよ!とは言えなかった。


「あははは そりゃ 困るね」

「でしょ? ふふふ」


次の日

今日もブドウ畑に精を出す。

あと2年も農家を続ければ 葡萄酒がさらに熟成してビネガーという調理用のお酢も造れそうだし

ブランデーの方も順調で 30年後くらいには人たるで金貨30枚、いいや50枚になるかもしれない。

これが農民ジョブのだいご味なんだよな。


「魔物だ! 魔物が出たぞ!!」


村人たちが空に指をさす。

すると空には飛行系の魔物の大群がやってきた。

陸上からも 地響きのリズムを奏でて大群がやってきた。

そして 村を囲んだ。

どうして攻めてこないのだろう?結界があると思っているのか?

こんな村に聖女さまなんて いるわけがないだろう。

すると 魔物の群れの中から 一人の黒ずくめの男が出てきて門の前に来ると


「オレ様は 魔王タナトス。勇者の奴が密かに想いを寄せていたと言う宿屋のエミーを出せ!さもなくばこの村を破壊するぞ!!!」


始まりの村的な存在のこの村から巣立っていった勇者が魔王の逆鱗に触れてしまったらしい。

魔物の数も多かったし エミーは村長たちによってたちまち捕まえられてしまった。

魔王タナトスが 総攻撃までに与えてくれた時間は太陽が真上に登るまで。

地球の時間で1時間ほどだろう。


エミーは 村長の館から出てくると奇麗なウェディングドレスに着替えさせられていた。

村の人たちは涙を流したし 一緒に転移してきてレベル1のままこの村にとどまっている俺と同期の戦士も悔しがっていた。

もちろん俺も生産レベルは高いものの 戦闘力に直結する基礎レベルは1のままだ。


エミーは 瞳を赤くして村のみんなに別れを告げていた。

どんなに純白のドレスが美しくてもフリルが可愛くても 胸が大きなマシュマロのように膨らんでいても、その美しい姿は死に装束でしかなく、はかなげにこの世を去るカゲロウのごとくの美しさなのだ。


最後に 俺のところにエミーがやってきた。

「勇者を。。選択しなくて。。ごめん。。グスン・・」

あれ、なんだ? これが俺の言葉なんだ・・ 涙が出てくる。カッコ悪いな・・止めてくれよ。


エミーは 素早く俺の後ろに回り込むと 右手を大きく振りかぶって俺のお尻をバシン!と叩いて「私が居なくなっても 確りしなさいよ。今まで。。ありがとう」そう言うと ニコニコと愛想笑いを浮かべながら魔王がいる魔物の群れの方へ歩いて行ってしまった。


けど このままでいいのか?

「勇者を選択しなくてごめん」が俺の本当に言いたい事だったのか?

エミーだって 行きたいはずないだろ!


「うぉぉぉぉ!!!」


駆けだして もっと 走って!

エミーが魔物の群れに到達する前に 魔王の前に立ちはだかった。

「何のつもりだ? スキル:サーチ・・・・ お前農民ジョブか?がははは よし目に物を見せてやろう サイクロプスよ こん棒でこいつをひねりつぶせ!」

 

ドスン! ドスン! ドスン!

巨人が現れて 大きな一つ目がニヤリとつり上がると 

天から降った来たかと思うほどの高さからこん棒が振り下ろされた


ドガカァァァァァん!!と音がすると思ったが こん棒は消えてしまった。

代わりに大量の砂ぼこりが舞い。視界がさいぎられた。


魔王は叫ぶ

「ドラゴン お前も行け!!」


村の上空を黒く染めるほどのドラゴンたちが砂ぼこりのなかに次々と入って行く。

しかし おかしい事に砂埃がはれることはない。

しまいには サイクロプスが地面に埋まったかのように 沈み込み、そして姿が見えなくなった。


魔王が連れてきた魔物の半分以上が居なくなったころ 「何が起きている 攻撃を辞めろ!」異変に気付いた魔王が攻撃を辞めると徐々に土ぼこりが晴れた。

その中から現れたのは オーレンの姿だった。


「これが スキル:有機物を土に変える力!!」


ドラゴンもサイクロプスも有機物かもしれないが生きている。

ギャンブルだったか? いいや オーレンは素直なだけだった。

そして オーレンは魔王をにらみつける。

「そして 農民ジョブは早熟する。俺のレベルは305レベルだ。エミーを諦めて村から去れ!」


魔王は 主力の戦力を半分以上失い、得体のしれないスキルに怯えて一目散に逃げだしていった。

「勇者より 怖いよぉ~~!!」


「オーレン」

「エミー 俺と結婚してくれ」

「はい よろこんで・・」


305レベルになった俺は エミーを軽々とお姫様だった子して村人たちの元へ帰った。

村からは拍手で歓迎され、俺と同期の1レベルの戦士も「農民ジョブにしておけばよかった」と嘆いていた。

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