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 おれが英語が話せるということで、郵便課の連中から一目置かれる存在になった。しかしその一方で、篠原の傍若無人で横柄な態度は相変わらずだった。

 おtrがいつものように書留郵便の保管通知書のハガキを書いて、時間になったからそろそろ帰ろう思っていると、篠原がどこからともなくやって来ておれに言った。

 「全部終わったか?終わってなかったら全部終わらせてから帰れ」

 おれはコイツのネチネチする言い方に思わずキレた。

 「そんなに言うのならアンタがやればいいでしょ!」

 「なんだ、アンタって?お前は仕事がしたくないのか。なら辞めていい」

 篠原は吐き捨てるようにおれに言った。おれはそう言われても、ダンマリを決めてそのまま席を立って仕分け台のところまで行き、作業を開始した。すると、篠原が追いかけて来ておれに言った。

 「大河!もう帰っていいと言っているんだぞ!ちょっとこっちまで来い」

 おれは篠原に言われるまま、仕分け台から離れて、郵便課に置いてあるソファの上に腰掛けた。篠原はおれの目の前に座ってまだグチグチ言っていたが、おれはひたすら沈黙していた。

 「そんな反抗的な態度をとってどうするんだ。お前は仕事をしたくないのか?」

  「やりたくない訳じゃないですよ」おれがそう言うと篠原は、みろ、おれの勝ちじゃないか、と言わんばかりの笑みを浮かべながらおれに言った。

 「じゃあ、これからは全部終わらせてから帰るんだぞ」

 これ以上コイツに何か言っても、顎怠くなるだけだ、おれはそう思って、再びハガキを書くことにした。

 おれの様子を見て、心配そうに畠中がおれのところまでやって来て、こう言った。

 「大ちゃん。どうかしたかい?」

 「イヤ、ちょっと反抗的な態度をとっちゃいました。篠原の奴にアンタも仕事をしろ、と」

 畠中は愉快そうに笑って「いいぞ、大ちゃん。もっと言ってやれ」と、言った。

 その日からおれは毎日、ハガキを全部書き終えてから、篠原の元に残業をつけてもらいに、行くことになった。しかし、コイツの残業付け方が気に食わなかった。おれが40分で全部終わらせると、面倒だから30分でいいや、と勝手に30分しか残業手当を付けなかったからだ。おれはそこで頭を使って、普通にやれば40分で終わるところを、わざとダラダラやって1時間くらい掛けて終わらせるように調整した。すると、篠原は渋々ながら、1時間の残業手当を出さざるを得なくなった。

 

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