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ここの郵便局のすぐ隣には、学生会館と呼ばれる大学生の寮があった。そこの配達はいつも必ずおれが任されていた。ある日のことおれが配達を終えて局に帰る途中でバイクを走らせているとそこの学生会館の前に神内がバイクを停めて、中をウロチョロしている姿チラッと目に入った。
「あの野郎、何か悪さしようとしているな」おれはすぐにピンときた。普通に考えれば、あんな所を神内がウロチョロしているとはあり得ないことだったからだ。
おれは局に戻るなり、すぐさま班長に報告した。
「班長さっき神内の奴が学生会館の前でウロチョロしていたんですけど」
「そうか、分かった。後で何をしていたのか訊いてみるよ」班長も、神内の行動が不自然に感じたようだった。
そのあとでおれが郵便局から帰宅してから、班長が神内に何をしていたのか問い詰めた。神内はポストが壊れていたのが目に入ったから、親切心で直そうとしただけだ、返答した。が、そこにはポストなんぞは存在していなかった。学生会館に配達する時は、いつも建物の中まで入り、そこのフロント係の男性職員に、書留も普通郵便も含めて全て郵便物を手渡しで届けていたのだ。配達も神内の返答に疑問に思ったが、それ以上は問い詰めなかった。
そこでおれは考えてその翌日の朝、神内含めてみんながいる前で、わざと同じ班の職員にこう言った。
「学生会館の人から言われたんですけど、ポストが壊れたから直接中まで入って郵便物を持って来てくれって頼まれたんですけど」
それを聞いた職員が言った。
「学生会館にポストなんか無いじゃん」
「アレ?ポスト無かったでしたっけ?アッ、そうだ。無かったですよね。間違えました」
この時はこの件はこれで一件落着になるように見えた。しかしながら、神内のデタラメな行動と言い訳が後になって、神内本人の命取りとなった。そうとも知らず、神内は相変わらずオメデタイ奴だった。




