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6

 篠原課長代理はイヤな奴だったが、その他でここの郵便局で一緒に働いている職員いい人が多かった。おれがある日、書留郵便の保管期限のハガキを書いていると、坂下という若い男性職員がおれに声をかけた。

 「おい、大河くん、荒井君と田中君と一緒にメシでも食いに行こう」と、おれを誘ってくれた。

 「でも、まだ全部終わってないですよ」と、おれが言った。 

 「いいから、いいから。そんなモン篠原に書かりゃいい」

 坂下がそう言った。おれはその言葉をありがたく受けて、一緒に食事をしに出かけることにした。おれたちは郵便局の駐車場に停めてある坂下の乗用車に乗り込んだ。それから坂下の運転で近所の商店街まで行き、そこの一角にあるラーメン屋に入った。そこで1時間ほど食事をしながら歓談をして、再び郵便局に舞い戻った。

 すると案の定、篠原がスゴイ顔をしておれたちを待ち受けていた。

 「坂下、まだハガキが書き終わってもいないのにどういうつもりだ!」篠原が怒鳴った。

 「お前の言うことは分かるよ。でも何でお前はいつも机の上にふんぞり返って仕事もしようとしないんだ?」

 坂下が抗弁すると、篠原と坂下は今にも喧々諤々になりそうだった。

 「全部終わらせてから帰るんだぞ」篠原がおれたちはバイト三人組を睨みつけた。

 おれたちは黙っていたが、坂下は目配せをしながらこう言った。

 「いいから、帰っちゃえ」おれたちはホッと胸を撫で下ろして、後のことは坂下に任せて帰ることにした。


 その翌日、篠原がおれをつかまえて、また何かグチグチ言ってきた。

 「大河、昨日は何で途中で帰ったんだ?」

 「ああ、坂下さんが帰って良いって言ったから」と、おれ。

 「坂下はお前の上司じゃないぞ。おれが上司だ」

 おれは黙っていたが、もうこんな奴の言うことなんか聞くモンか、と内心篠原を心底軽蔑しながら思った。


 郵便局の職員は坂下以外にも若くて良い人が多かった。まずは郵便課の新森主任。この人は篠原の直属の部下だったが、篠原とは全く違って温和な性格で、下っ端のおれたちはバイト組や他の職員と一緒なってテキパキと働いて、面倒見も良い人だった。新森主任の下にはさらに若い職員が3人ほどいた。それぞれ橋本、小沼サユリ、畠中と言った。畠中のことはみんな親しみを込めてハタケ君、と呼んでいた。

 職員の中でも小沼サユリはロングヘアでおでこが広く、色白でぱっちりとして綺麗な目をした日本人女性の美人の典型的な顔つきだった。後々この女性職員が、おれと生死を共にするような大事な存在になるとは、初めて出会ったその時は知るよしなかったが。

 

 

 

 

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