48
郵便局の組合は大きな2つの組合があり、その下に比較的規模が小さい組合が、2,3あるだけだった。おれが配属された班の職員はそのうちの、大きい組合の中の一つに加入している職員が多くて、京間もその中の一人だった
「ウチの班見た目は怖いけど、みんな良い人だから心配しないでね」と、京間はおれに言った。
研修が終わり、仕事本番になってから班に配属されると、京間が言った通り、周りの職員は強面の男ばかりだった。その上、言葉遣いが乱暴に感じて最初のうちは面食らった。しかし、それに慣れてくると、確かに良い人たちで、言葉遣いが荒いのもそれだけ仲が良い証拠なんだっていうことがよく分かった。
ウチの班は組立パートの女性たちを除くと、男性ばかりだった。班長は多少カマが入っていたが、悪い人でも無さそうだった。副班長は後藤という名前で、班長より若い感じの人で、この人はウチの班の中では唯一、おれたちとは別の組合に所属していた。
いずれにしろ、みんな良い人には違いなかった。
その後、おれは小沼サユリがいる郵便局にもちょくちょく顔を出すようになった。初めのうちは郵便局の窓口で年賀状を買いに行った時のこと。窓口には彼女の姿があって、おれは思わず身構えた。また迷惑だ、とか言われないか気にしていた。しかし、彼女はおれの顔を見ても、イヤな素振りも見せず「ハイ、いらっしゃいませ」と、優しく穏やかな口調で言ってくれた。おれは少しだけホッとして「もう怒ったりしないでね」と、心の中でつぶやいた。彼女の方も「大丈夫よ。大丈夫だからね」と、心の中で応じてくれた。
山下もまだ同じ郵便局にいたので、おれは後日挨拶をしに行くことにした。ちょうどお昼の休憩時間だったが、山下がおれの顔を見ると「オーッ、話は聞いたぞ。本局の方で短時間職員をやっているんだって?」と、言いながら歓迎してくれた。
そこで山下ともいろいろと話をしたが、今度の秋ごろにはここにいる職員が全員、新しくできる郵便局に移る予定だから、また一緒に仕事をしましょう、と意気投合して、その場から立ち去った。
おれはそれからヒマを見つけてはここの郵便局にも足を運ぶようになった。




