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 そんなクソ忙しくて大変だった年賀状の季節も終わり、3月の春先へと変わりつつある日のことだった。今度はここの郵便局で働いているおれたちバイト組にとって不穏な空気が流れてきた。関口課長をはじめ、上役の連中がここで働いている正職員を除く、全てバイト組を対象に大規模なリストラを強行する、との話が浮上してきたのだ。当然ながらおれもその対象だった。そこでおれはどうしたモノかと、しばし考えた。

 そんな中、ここの職員から耳よりな情報を入手した。場所はここの郵便局よりもかなり遠くはなるが、別の郵便局でバイトを募集していて、そこに勤務している職員の電話番号を教えてあげる、とのことだった。おれは半信半疑だったが、無職になるよりは良いだろう、と思いその話に乗っかることにした。

 その一方で、リストラ策は最後まで覆らなかった。関口課長バイトとして働いている連中を一人一人呼び出しては、話をした。中には涙を流しながら、辞めさせないで下さい、と懇願する奴もいた。しかし、たとえ泣こうがわめこうが、リストラ案の方針に変わりはなかった。

 おれはというと、課長に話をするだけさせて最後には、ミスが多いから辞めて貰うと、言われた。それでも動揺する訳でもなく、ああ、そうですか、の一言で終わった。おれはそこで、ここの郵便局での残り少ない時間を有意義に過ごすことにした。それにおれは倍率が高くていくら試験を受けても受からないフルタイムでの職員を目指すのはやめにして、比較的倍率が低くて試験も簡単な短時間職員を目指すつもりでいた。ウチの親父は最初は給与面が低くて難色を示した。しかし、おれはいつまでもバイトでいるよりはそっちの方が安定するよ、と親父を説得した。最終的には、いつまでもアルバイトでいるよりは良いだろうと、親父も納得した。

 その後日、おれはこの前に受け取った電話番号メモを片手に、別の郵便局の職員に電話をかけて、事情を説明した。できればそちらの郵便局で働きたい、とおれはそう伝えた。その数日後にはそこの郵便局総務主任から電話がかかってきた。「こちらでもアルバイト募集はしているので、一度面接来て下さい」とのことで、おれも了解した。

 その次の日に、おれは新たに働くことになるであろう、郵便局まで面接をしに行った。そこは自宅から原付で真っ直ぐ走らせても、1時間はかかる場所にあった。おれは駐輪場に原付を停めて、郵便局の中に入った。それからここの上席課長代理と面接を始めた。会って最初に言われたことは、一度でも誤配があれば辞めて貰う、と言うことだった。言うことはキツかったが、おれの第一印象は、言うことはキツいけど、悪い人ではなさそうだ、という感じだった。案の定、面接をしていくうちに、4月1日からここで働いて貰う、とのことで双方が合意した。ここにはおれと同じく、前の郵便局で働いていたバイト組の若いのが2,3人、おれよりも先に来て働いていた。

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