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 それはそうと、ウチの班にいる西川と言う新人職員は、哀れでけったいな奴だった。まだ配達の仕事に慣れていないことも手伝って、ある日のこと、お昼休みの時間になっても配達に出たっきり、局に戻って来なかった。昼メシを食い終えた船木が下に降りてきたが、組み立てのパートのおばさんたちがまだ西川が帰って来ない、と心配して伝えた。船木は驚いて「エッ!?何やってんの」と、半ば呆れて言った。

 それから西川がやっと郵便局に戻ってきたのは、お昼休み時間の終了10分前ぐらいだった。他の職員やバイトの連中はとっくに昼メシが終わり、午後の配達に備えて各々の作業を開始しているところだった。山下は西川に対してイラついた様子で「コイツ、敵だったのか」と、心中穏やかではなかった。そして山下は西川に昼メシを食うことも許さず、午後からの配達に出るよう、無情に指示した。それ以降、山下は西川にかつて年末飲み会で伺わせたような、優しく気遣う様子も見せなくなった。

 ある日、西川は配達先で誤配をやらかして、お客さんから局の方に苦情の電話がかかってきた。それが大きな申告になり、西川が配達から局に帰ってくるなり、その旨を伝えた。山下は西川に苦情の電話をかけてきたお客さんところまで行き、お詫びしてくるよう指示した。

 「さっさと行ってこい!」

 山下は西川を怒鳴りつけて、西川は慌てて郵便局から飛び出すようにしながら、一人でお詫びに行かされるハメになった。

 おれはその様子を側から見て、正職員ともなると大変だなあ、と、半分西川に同情した。しかし、おれとて普段から配達中に誤配などのミスをやらかしては、課長代理や山下からガミガミ怒られていたので、決して他人事ではなかった。

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