24
ある日の朝、おれがいつも通りに郵便局まで出勤すると、いきなり山下がおれの顔を見るなりガミガミ言い出した。
「お前、配達するのに時間がかかり過ぎているぞ。もし、時間内に終わらなければ辞めてもらえ、って課長が言っているぞ」
辞めてもらえ?本気でそんなことをこの人は言っているのか?おれは数日前の飲み会で意気投合したハズの山下がそんなことを言うとは信じられなかった。おれは思わず課長の方を睨み返したが、課長はなんでもないような顔をして、机の前で腰かけていた。
おれは思わず頭にきて、その日はもうそんなことを二度と課長に言わせないよう、いつも以上のスピードを上げて、午後3時頃までには全ての郵便物を配り終えた。おれの様子を見て山下がは内心「しめしめ、効果てきめんだ」と、思いながらおれの方を見てニヤニヤしていた。おれはそんな山下の気持ちも知らずに、山下にも課長にも挨拶無しでそのまま家に帰って行った。
しかながら、今度は志賀の奴が日を追うごとに、ますますおれに噛み付くようになった。いつも同じ配達区域を菊田と一緒に配っていたが、以前からおれの区域と菊田の区域では、菊田の方が広い範囲のような気がして、気になっていた。しかし、他の人も菊田自身も何も言わずに配っていたので、敢えて黙っていた。
そこを志賀の奴が突いてきた。
「だいたい、何で菊田さんはこんなに配達の区域が広いんですか?あんな奴にいい気にさせてどうするんですか!今度からアイツにやらせなさいよ!」
「あんな奴」とか「アイツ」とはもちろんおれのことだった。その言い方が気に食わなかったが、とりあえず公平を保つ為、今度から菊田が配っていた区域のうち半分くらいおれが受け持つようにした。




