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その翌日、おれは早速郵便局に電話をして、面接の約束まで漕ぎ着けた。それから最寄り駅まで歩いて行き、駅前にある文房具屋で履歴書を購入した。そのあと履歴書に貼り付ける証明写真を撮った。自宅に帰ってから履歴書を書き込み、次の日に電車に乗って郵便局へと足を運んだ。
郵便局に到着すると、正面にある出入り口に入ってそこの窓口に座っていた男性職員に声をかけた。
「あのう、郵便局のアルバイトの面接に来た者ですけど…」
その男性職員はおれにしばらく待つよう指示したので、おれはそれに従った。男性職員はいったん奥の方まで引っ込んでから、しばらく経つと窓口まで戻って来た。それからおれを窓口の中に入れてくれた。男性職員はまず郵便局の裏にある職員専用の通用口まで連れて行き、今度来る時はここから入って下さい、と説明した。
それから一昨日に電話で対応してくれた郵便課の副課長のところまで連れて行かれた。そこでその副課長から仕事内容の説明をされて、いつから働ける?とおれに訊いてきた。おれは、では早速明日から、と答えた。副課長は頷き、アルバイトとは言え一応身分は国家公務員なので、自覚を持って働いてくれ、とおれに言った。
この頃は郵政が民営化されるずっと以前の話で、自宅に帰ったら親父に、明日から働くことになった、と報告した。
「そうか。それじゃあ、勉強して公務員試験も受けることだな」と親父が言った。
「分かった。やってみるよ」おれはそう答えてやった。