第四話 ブドウ
「虎じいきたんだ!!今日はなぁに?」
5:00くらいになって虎じいが来てくれた。
手に持っている紙袋にはみかんとブドウが入ってた。
「今日はブドウとみかん、みかんは今日とってきたやつだから美味しいはず。」
虎じいは竜じいみたいに騒がしくない。物静かでしっかりしている。いつも竜じいを止めているのは虎じいだ。
「やったー!! ブドウ洗ってくるね!!」
僕は台所に駆け出し、ブドウを洗ってお皿に乗っけて持っていった。
居間に戻ると、二人はテレビを見ながらみかんを食べていた。
僕の周りの人はあまりブドウが好きじゃない。
竜じいも虎じいもお父さんもお母さんもだからいっつもブドウは独り占めだ。これはすごく嬉しい。
ブドウを食べ終わったと同時ぐらいに、お父さんが帰ってきた。
「りゅ〜!帰ってきたぞー!」
「お父さん、おかえり!」
僕はお父さんが大好きだ、もちろんお母さんも。
僕は虎じいにみかんとブドウを貰って家に帰った。今日はカレーらしい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれから3年経った僕は、すくすくと育ち10歳になった。
10歳になって3ヶ月と2日経った時だった。
竜じいが死んだ。老衰だ。
竜じいには家族がいなく僕の家族と虎じいで葬式をした。
意外と沢山の人が来てくれた。竜じいは色んな人慕われ、頼られていた。
みんな僕のことを知っていた。竜じいがみんなに自慢していたらしい。めちゃめちゃ嬉しい、だけどやっぱり悲しかった。僕にとってはおじいちゃんみたいなものだった。僕はめちゃめちゃ泣いた。葬式に来てくれた人、みんなに慰められた。みんなは「なんかあったら私に言いなさい。」「なんかあったら俺を頼ってくれ。」と言ってくれた。
もう僕は10歳だったから、一人でお留守番もできるし、料理だって自分で作れる、だけど僕は竜じいの家にいた。とても楽しかった。
それから1ヶ月、今度は虎じいが死んだ。脳梗塞だったらしい。竜じいが死んだ時よりも悲しかった。僕がなんでも話せる友達みたいなものだった。
それが二人とも死んでしまった。
僕はそれから1ヶ月学校に行かなかった。でも僕は立ち直れることができた。
竜じいが話してくれた、異世界転生の話を思い出しながら。
虎じいから貰ったブドウを食べながら。