レヴィガータ・アンバー
明け方に止んだ雪が、手入れの行き届いた自慢の庭園に薄らと積もり、冬晴れの陽射しにキラキラと輝いている。
そんな早朝の景色を、この屋敷の女主人──レヴィガータ・アンバーは窓辺に立って憂鬱そうに眺めていた。
今日は昼食に客人を招いている為、朝から屋敷の中はどことなく忙しない空気が漂っているが、今の彼女にとってはそんな雰囲気も煩わしかった。
この王国でも屈指の名門アンバー侯爵家。そんな我が家は、客人のもてなしも一流でなければならない。
だから、朝から屋敷が一丸となって準備に当たっている状況は、普段なら大変好ましい事なのだが──。
(迎える客人が、アナベル・ガードナーというところが複雑なのよね……)
アンバー侯爵家の女主人、つまりランスロットの母親であるレヴィガータは、上手く整理しきれない複雑な心境を持て余していた。
(末っ子のランスロットがようやく結婚を決めてくれたと喜んだはいいものの、その相手がよりにもよってフリージアさんの娘。しかもアイリスさんが後見している女性だなんて……)
王妃アイリスとレヴィガータは同じ年に、どちらも侯爵家の令嬢として生を受けた。そして、やはり同年生まれの現王ステファンの妃候補として幼い頃から育ってきた為、レヴィガータはアイリスの事をずっとライバルとして意識してきた。
学院に入学してからは、その気持ちがより顕著になり、何事においてもアイリスより秀でようと、あらゆる方面で努力した。
学力も、生徒会活動も、自身の派閥作りも、そして妃候補としてステファンへのアピールも。
けれど相手のアイリスは、レヴィガータの事など全く眼中にないかのように気ままに学院生活を楽しみ、妃候補であるという自覚があるようには全く見えない。
それがレヴィガータは気に入らなかった。同じ妃候補として、お互いを意識し合い切磋琢磨して然るべきなのにと。
(このワタクシがライバルとして認めているのに、どうして競い合おうとしないの!?)
レヴィガータがどんなに挑発してもアイリスには響かない。大勢いる友人の一人としてしか扱ってもらえない。それがレヴィガータは悔しかった。
やがてステファンはアイリスを選んだ。
レヴィガータの実家の方が王宮においての影響力も大きく、より良い後ろ盾を得る為に、選ばれるのは自分だと思っていたのに。
結婚には愛が必要不可欠だとでも言うように、幸せそうに寄り添い合うアイリスとステファンを、レヴィガータは見ている事ができなかった。
結婚相手に選ばれなかった事を、負けたと言うのはおかしいのかもしれないが、完全にそんな心境だった。
その後、レヴィガータは政略結婚でアンバー家に嫁いだ。
学院卒業以降はアイリスと顔を合わせるのも気まずくて、社交場でも必要最低限の会話をする程度の関係を維持してきた。
(それなのに、ランスロットの結婚を機にまたアイリスさんと関わらなければならないなんて……)
レヴィガータは雪景色を眺めながら、もう何度目か分からない重い溜め息を吐いた――。
陽が高くなり、約束の時間にランスロットとアナベルがアンバー邸を訪れた。
食堂に通された二人を、レヴィガータは夫と共に出迎えた。
「やぁ、よく来たね。歓迎するよ」
「初めましてアナベルさん。ランスロットの母のレヴィガータよ」
緊張からか、頬を紅潮させて懸命に挨拶をするアナベルを、レヴィガータは扇の奥からじっと見つめた。
(ますますフリージアさんに似てきたわね……)
学院時代の友人だったアナベルの母であるフリージア。
フリージアとは卒業後も季節の折々に手紙のやり取りをしたり、社交シーズンはお互いに招待したりされたりといった関係を続けてきた。
亡くなったと聞いた時は、胸にポッカリと穴が空いたようになり、淋しさが込み上げて、誰にも知られないようにひっそりと泣いた。
アナベルが王妃の女官として働き出してからは、社交場で王妃の傍に控える様子を陰ながら見守ったりしていた。
そんな縁のある娘が、まさか自分の息子と結婚するとは思いもよらなかったレヴィガータは、アナベルにどう接したものか迷っていた。
アナベルは、レヴィガータに向かって丁重に頭を下げた。
「両親が亡くなった際は、お悔やみのお手紙と贈り物をありがとうございました。その時は存じ上げなかったのですが、後になって王妃陛下から、夫人は私の母と王妃陛下の学院時代からのご友人だと伺いました」
「あら、友人と呼べるほど友人だったかは分かりませんけれど……。ワタクシがしたくて勝手にした事ですから、お気になさらないで?」
悩んで決められなかった結果、突き放したような物言いになってしまい、ランスロットからジロリと睨まれた。
(だって……ワタクシは友人だと思っていたけれど、フリージアさんがどう思っていたかなんて、もう聞きたくても聞けないもの……)
アナベルを傷つけてしまったかと、若干気まずい思いで見たが、アナベルは特に気にした様子もなく美しい笑みを浮かべている。
(大丈夫そうね……良かったわ)
レヴィガータがひっそり安堵していると、アナベルは可愛らしくラッピングされたバスケットを差し出した。
「故郷の名産のリンゴと母のレシピで、アップルパイを作って参りました。お口に合うかは分かりませんが、良ければお茶と一緒にお召し上がりください」
「あら、伯爵家のご令嬢でいらっしゃるのに、ご自分でお菓子をお作りになるの? フリージアさんもそうだったけれど、アナタも変わっているのね?」
アナベルをツンと見据えて、レヴィガータは部屋の隅に控えていた侍女を呼んだ。
「せっかく持ってきてくださったのだから、アフタヌーンティーの時に出して頂戴」
侍女がバスケットを持って下がっていくと、やたらと睨みつけてくるランスロットの煩い視線を無視して、二人を席へと案内させ、レヴィガータも夫と共に席に着いた。
料理が運ばれてくるのを待つ間、レヴィガータは口を開いた。
「アナベルさんは結婚した後も女官として働くと、ランスロットから聞いていますけど、本当かしら?」
「はい……。子供が出来るまでは女官を続けたいと、ランスロット様にお願いをして、お許しを頂きました」
そう言って見つめ合う二人の、なんと幸せそうな事か。
貴族でありながら恋愛結婚を実現する二人を、レヴィガータは束の間羨ましい気持ちで見つめた。
ひたすらに家の為に生きる事しかできなかった、面白味のないレヴィガータにとって、この二人は、そしてアイリスやフリージアはとても眩しくて羨ましい存在だった。
「そうは言っても、殿方というのは結局自分勝手なものよ? 口では許すと言っていても実際はそうじゃないかもしれない。そんな中で妻と女官の両方の仕事をこなすなんて事、アナベルさんに出来るのかしら?」
夫が隣で苦笑しているが、しっかり現実を伝えるのも年長者としての役目。すると普段寡黙なランスロットが珍しく口を挟んできた。
「ベルの仕事の事はちゃんと心から応援しているし、俺がしっかりサポートするさ!」
「アナタには聞いてないわよ、ランスロット」
「母上!」
そう言いつつも、剣術バカのランスロットがまさか女性を庇うような発言をする日が来るとは思わず、レヴィガータは内心驚いていた。
すると、それを見ていたアナベルがクスクスと楽しそうに笑いだした。
「あ、申し訳ございません……。ランスロット様が親子喧嘩をなさるなんて意外でつい……。ご心配くださりありがとうございます、夫人。無理をし過ぎないように気をつけながら、どちらも頑張っていきます」
レヴィガータの物言いは往々にして、彼女の事をよく知らない人にとってはキツく聞こえる事が多いのだが、何故かアナベルには全く効果がないようで、レヴィガータは不思議に思った。
その後、アンバー侯爵家のコックが腕を奮った絶品料理が運ばれてきて会食が始まり、食事の時間は和やかに過ぎた。
食後の休憩をする為に居間へと場所を移し、ソファーに腰を落ち着けると、アナベルは化粧箱と手紙をレヴィガータに差し出した。
「実は夫人宛に、王妃陛下から贈り物とお手紙を預かっております」
「贈り物なんて頂く理由もないのだけれど? 王妃陛下が一体どんな御用かしら……?」
レヴィガータは内心ドキドキしながら手紙を開いた。
――親愛なるレヴィガータさんへ
お久しぶりね! お元気かしら?
早速だけれど、ランスロット殿のご婚約おめでとう!
私達の友人であるフリージアの娘アナベルが、貴女のご子息と結婚する事になって、驚いているのと同時に、とても喜ばしく思っています。
フリージア亡き後、ガードナー家の子供達の後見人をしている事もあり、すっかり娘を送り出す母の気持ちでいます。
お相手がランスロット殿なら、アナベルを安心して任せられるし、何より貴女という素晴らしい母親ができるのだから、アナベルは果報者ね。
ちょっと真面目すぎて融通が効かないところもあるけれど、貴女が良く導いてくれる事と思います。
どうかアナベルをよろしくお願いします。
暫く貴女と会えなくて淋しい思いをしているので、王都にいる間に一度お会いしたいわ。
歳のせいか、フリージアのように会えないままになってしまったら……と、つい考えてしまうのです。
弱音を吐くなと貴女に怒られてしまうかしら? それでも良いからお会いしたいわ。
学生時代もよく貴女に怒られたことを懐かしく思い出します。
それから、アナベルに持たせたのは、腰をサポートする新しい形のコルセットです。最近腰痛が酷くなってきた私の為に、キャロルが考案してくれた優れものなのよ。
装着方法はアナベルに聞いてください。
お互い健康に気をつけて、孫の顔を楽しみに待ちましょう。
ではまたね。
アイリス――
読み終わって、レヴィガータの口元には苦笑が浮かんだ。
(ワタクシが腰痛に苦しんでいる事もご存知なのね……)
レヴィガータは隣に座る夫をチラと見た。
おそらく情報源は夫だろうけれど、夫は誰彼構わずしゃべるような口の軽い人ではない。
一年ほど前から腰痛が酷くなって、領地からの移動もままならなくなってしまった事は、夫の他は僅かな使用人しか知らない。
息子達にさえ、伝えていなかった。
そんな年寄りじみた理由で領地に引きこもっているなんて知られたら、アンバー侯爵家の女主人の名が廃るからだ。
(アイリスさんたら、ワタクシの事を気にして、夫に尋ねてくださったのね……)
何度も尋ねられて、仕方なく夫は真実を口にしたのだろう。そう思うとなんだか面映ゆい気持ちになって、つい口元が緩みそうになる。
(王妃陛下のご要望とあらば、王宮に行って元気な姿をお見せしなければね……)
化粧箱を開けると、見慣れない構造のコルセットが入っていた。
「この一部伸びたり縮んだりする所は、最近になって使われるようになってきたゴムという素材かしら……?」
「その通りです夫人。よろしければ実際に試着して頂いて、装着方法をお伝えしたいのですが……」
レヴィガータが手に取ってしげしげと眺めていると、アナベルが試着を勧める。
「ええ、ではお願いしようかしら? 王妃陛下からの贈り物ですもの、ワタクシには必要なさそうだけれど、何はともあれ試してみないとね……」
腰痛の事はアナベルにも知られているのだろうが、息子の手前、つい見栄を張ってしまうのは母として仕方ない事だろう。
急な展開に戸惑う男達を置いて、レヴィガータはアナベルを伴って自分の衣装部屋に向かった。
普段着替えを手伝ってくれる侍女達も呼んで、コルセットの着け方を学ばせる事にした。
アナベルが侍女達に説明をしながら、レヴィガータにコルセットを着ける。
最近はそこまでコルセットを重視しない傾向にあり、色んなスタイルのドレスで社交界は賑わっている。
レヴィガータも、長年のコルセット生活が腰にきているのではと思い、最近はエンパイアドレスなどでコルセットをせずに過ごしていたから、またコルセットを着ける事には少し抵抗があったのだが……。
「あら、ほとんど苦しくないのね?」
それもそのはず、贈り物のコルセットは腰周りのみを覆うもので、従来の肋骨を軋ませるような息苦しさを感じるものではなかった。
腰周りも、紐でギチギチに締め上げるのではなく、ゴムの伸縮性を活かして体にぴったりフィットして腰を支えるような作りになっていた。
コルセットの上に細身のドレスを着てみたが、見た目に特に違和感もない。
「劇的な効果はありませんが、こうして腰を支える事で普段の生活が楽になると王妃陛下は仰っていました。いかがでしょうか?」
「そうね……。まだ良くは分からないけれど、安定感があるわね。お腹周りもなんだか暖かいわ。せっかくの贈り物ですし、王妃陛下の顔を立ててしばらく試してみましょう」
レヴィガータがツンとすましてそう言うと、アナベルは嬉しそうに微笑んだ。
(王宮では笑った所を見たことがなかったけれど、笑うと本当にフリージアさんにそっくりね……)
アイリスが妃に選ばれた途端、レヴィガータに取り入って甘い汁を吸おうとしていた人間は、蜘蛛の子を散らすように側からいなくなった。
今なら、そんな人間などこちらからお断りだと思えるが、思春期真っ只中だった若いレヴィガータに、傷つくなというのは無理な話。
そんな時、いつも通り変わらない接し方をしてくれたのがフリージアだった。
多くの学生が二人の妃候補どちらかの派閥に属していたなかで、彼女はあくまで普通の学生としてアイリスともレヴィガータとも交流を持っていた。
中にはフリージアの事を、「どっちつかずのコウモリ」とか、「どちらが勝ってもおこぼれに与ろうとするハイエナのようだ」と揶揄する者もいたが、勝敗が決した後も変わらない姿勢を見て、誰もが口を噤んだ。
妃候補だからと媚びる素振りが一切ない彼女に、当初レヴィガータは物足りなく感じていた。しかし、敗者としてのレッテルを貼られた後、フリージアのいつも通りの変わらない笑顔がどんなに得がたく有難いものかをレヴィガータは思い知った。
自分に厳しいが故に人にも厳しく、物言いがキツいレヴィガータに臆することなく話しかけてくれたフリージア。そんな彼女の娘もまた、こうして笑顔を向けてくれる。
「アナベルさんはワタクシにちっとも怯えないのね? 自慢じゃないけれど若いお嬢さんには敬遠されがちなのよ?」
レヴィガータが冗談めかしてそう言うと、主人の性格を熟知している侍女達が楽しそうに笑った。
「そうですね……夫人がお優しい方だと知っているからでしょうか? 私が無理矢理結婚させられそうになった時、相手の素行調査を手配してくださったのが夫人であると、王妃陛下に伺っておりましたので……」
「アイリスさんたら、そんな事まで教える事ないのに……」
フリージア達が亡くなったと聞いてから、レヴィガータはガードナー家の事を気にかけていた。そんな時、ガードナー家のアナベルに結婚話が持ち上がっていると夫が知らせてくれたのだ。
当時、国内のあちこちで猛威をふるった伝染病のせいで、行政各部署はてんやわんやだった。そんな時に送られてきた、ガードナー伯爵家とモリス男爵家の結婚申請書。
この国では貴族の結婚は、事前に国王に承認を得る形になっている。昔は貴族同士が結託しての謀反などを警戒して念入りに審査されていたが、今は形骸化していて、滅多に却下される事はなかった。
その為、ガードナー家の書類も、そのまま流れ作業で許可されそうになっていた所を、運良くアンバー侯爵の目に留まり、一時保留となった。
行政主導の調査を待っていたら、いつになるか分からない状況。
そこでレヴィガータは夫の許可を得て自分で探偵を雇い、モリス男爵について入念に調査させた。
結果、男爵は伯爵位を担保に、莫大な借金をしようとしている事が分かった。
そこでレヴィガータは学院を卒業後初めて、自らアイリスに手紙を書いて調査書を託したのだ。
ずっと避けていた相手だけれど、友人の大切な子供達の未来を確実に守る為に、レヴィガータは王妃たる彼女に助力を乞うたのだった。
「夫人のお陰で今の私達があります。本当にありがとうございました」
「ワタクシは調査をさせただけで、助けたのはアイリスさんよ」
レヴィガータはツンと顔を背けて素っ気なく答えたが、その頬が少し染まっているのを侍女達は見逃さなかった。
「……ところでアナベルさん? もうすぐ家族になるのだから、ワタクシの事は夫人ではなく母と呼んでくださって構わないのよ?」
レヴィガータが恥ずかしさを隠しつつそう言うと、アナベルはアメジストをぱちくりと瞬かせた後、はにかみながら言った。
「はい……お母様……!」
(お母様……悪くないわね)
アイリスと同じく女児に恵まれなかったレヴィガータは、新たに迎えるこの可愛らしい娘を、揃って見事に朴念仁の我が家の男共からしっかり守ってやろうと決意したのだった。
その後、アナベルの作ってきた美味しいアップルパイと紅茶を皆で楽しみ、和やかな時間はあっという間に過ぎていった。
アナベル達が帰った後、レヴィガータはソファーで寛いでいる侯爵の前に仁王立ちした。
「旦那様? 腰痛の事は誰にも内緒にして欲しいと言ったのに、アイリスさんにバッチリ知られているようなのだけれど……?」
片眉を吊り上げて軽く睨みつけると、侯爵は両手をあげて降参のポーズをとった。
「すまないレヴィ……。しかし、本気を出した彼女の誘導尋問を見事に乗りきれる人間なんていないと思わないか?」
「それは、まぁ……」
アイリスは頭の回転が速いうえに口も達者で、交渉事に関しては、一代で莫大な財産を築いたやり手の商人も舌を巻くほどだった。
レヴィガータが渋々認めると、侯爵はレヴィガータの手を取って隣に座らせた。
「それに私も、領地に居るレヴィに早く会いたかった。王妃陛下が、君の腰痛を改善する方法を知っていればいいなという期待もあったんだ……」
レヴィガータの頬に優しく添えられた大きな手に、レヴィガータもまた自分の手を重ね、苦笑まじりに微笑んだ。
「怒ってばかりのワタクシに会いたいだなんて、旦那様は本当に奇特な方ですね……?」
「そこが君の魅力の一つだからね」
大真面目な顔で頷く侯爵をレヴィガータは改めて愛しく思った。
アイリスとの妃争いに敗れた後、レヴィガータは逃げるように他国に嫁ごうとしていた。そんな時、纏まりかけていた他国の貴族との縁談を潰して、結婚を申込んで来たのがアンバー侯爵だった。
侯爵も学院の同級生だから、妃候補争いに血眼になっていたレヴィガータを近くで見てきたハズなのに、どうしてわざわざ結婚しようと思ったのか。
言葉少なに、「君の事が好きだからだ」と言った侯爵の言葉を、人間不信に陥っていたレヴィガータは信じる事が出来なかった。
(何か複雑な政治的事情があるのか、ひょっとして身分の低い恋人を愛人として迎え入れる為の隠れ蓑なのかも……)
そんな風に色々と覚悟をした上で結婚をして──。
「奇特な旦那様に愛されて、可愛い息子達にも恵まれて、ワタクシは幸せ者です」
あの時、妃に選ばれなくて良かったと思う程に、今のレヴィガータは満ち足りた人生を過ごしているのだった。
結婚といえば嫁姑問題。(諸説あり)
というわけで、ランスロットのお母様登場です。
ツンデレお母様、楽しく書きました(悦)