表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/70

番外:クリスマス特大号

クリスマス間に合った!

 

 団外秘!


【天使と書いてベルたんと読むの会】会報 クリスマス特大号


 ○月✕日 晴天


 報告者

 ザック・エーカー





『サンタさんへ。恋人をください。』


 なんて手紙をつい書いちまいそうになる、独り者には寒さこたえるクリスマス。


 あれ?おかしいな…。冬ってこんなに寒かったっけ?


 そんな風に感じている野郎共にクリスマスプレゼントだ!

 ベルたん成分をお届けできる特命がキタ!!


 ルイス殿下の婚約者となったキャロル様が、子供達にクリスマスプレゼントを渡すという名目で、ベルたんと共に南と北の孤児院の慰問に行くというのだ!


 殿下の婚約者が一緒である今回は当然、護衛人員も増員。

 ベルたん成分を直に浴びる事が出来る人数が増えたわけだ!


 キャロル様グッジョブ!!


 近衛も数名配置される関係で、こちらも役職者が居た方がいいだろうという事で、貴重なひと枠を団長に取られたのは納得行かないが、まぁ仕方ない。

 団長には日頃世話になってるし、クリスマスくらいベルたん成分を直に浴びる事を許してやろうじゃないか。



 南の孤児院の日の担当になった俺達は、朝からソワソワとベルたんの降臨を待った。


 時間通りに、キャロル様と共にお出ましになったベルたん。


 いつもながらに天使。尊い。尊いがすぎて大胸筋が歓喜に打ち震える。俺のクリスマスプレゼントはここに存在した…!


 メリークリスマス!!



 そして、初めて間近で見るキャロル様。


 か、可愛いじゃないか…。


 ベルたんが地上に舞い降りた美しき天使ならば、キャロル様は花園に遊ぶ可憐な花の妖精さんといった所だろうか。

 二人並ぶ姿は、すぐさま画家を呼んで絵を書かせると共に、吟遊詩人を呼んで詩を作らせたい位に眼福である。


 そんなお二人に、任務前の挨拶をすると、


「あなたがザックさん?!会えて嬉しい!」


 なんと、空色の瞳を輝かせたキャロル様が握手を求めてきた!ビックリしてあごが外れるかと思った。

 何故かは分からないが、妖精さんは俺の存在を知っているらしい。


 ドキッ…!

 もしかして…ベルたんが俺の話をキャロル様に…?


 なんて事を考えて、有り得ない期待に胸を膨らませながらキャロル様の握手に応じようとしたが、いきなりワーワー騒ぎ出した団長に阻止された。団長何してくれやがる…?


 握手出来なかったのは残念だったが、淑女らしい挨拶をと、妹を諭すように叱るベルたんと、ションボリするキャロル様の図がまた眼福であった。

 その側で何やらウロウロしている団長は、居ないものとして視界から消す。せっかくの美しい景色にむさ苦しい筋肉は不要なのだ。



 そんなこんなで南の孤児院へ出発。


 許可の有無なんかクソ喰らえで屋根なし馬車引っ張ってくれば良かったと、涙をのみながら二人の乗った馬車の護衛を続ける。


 馬車の中で二人は何を話しているんだろうか?


 きっと、キャッキャウフフな男の夢が詰まった世界が繰り広げられているんだろうなぁ…。

 団長!早く屋根なし馬車の使用許可もぎ取ってきて下さりやがれ!!



 道中一度休憩を挟み無事に孤児院に着くと、いつものようにワラワラ寄ってくる子供達は、ベルたんと共に来たキャロル様を見て騒ぎ出した。


「お姫様キター!!」

「ルイス様のお嫁さん?!」

「可愛い〜!」


「ありがとう〜!私もみんなに会いたかったの〜!こうして聖地巡礼できて嬉しいっ!!」


 子供達と一緒になってはしゃぎ始めるキャロル様を温かく見守るベルたんの聖母の如き微笑み、脳内永久保存。

 だが、形に残して後世に伝える為には、やはり画家は必須だ。よし、孤児院慰問に画家を同行させるよう提案書を出そう。


 その後、天使と妖精はクリスマスプレゼントに大喜びする子供達と笑い合い、賛美歌を合唱したり、共に食事をとったりして楽しい時を過ごした。


 なんだここは…?天国なのか…?心が洗われるぜ…。

 恋人が出来なくてやさぐれてる自分がちっぽけに思える。


 俺には心の天使がいるじゃないか!

 それ以上何を望むというんだ!!恋人なんて必要ねぇっ!


 そんな俺の決意を褒めるかのようなご褒美があった。

 いつも律儀に俺達の分まで用意してくれるベルたんお手製のお菓子。

 勲章を授与されるかのような心持ちでありがたぁぁぁく頂戴する。

 クリスマスにちなんだ形の可愛らしいクッキー達を頬張る、むくつけき俺達。絵面がヒドイなんて考えてはいけない!メリークリスマス!!


 何故かキャロル様が俺達以上に喜んで、お菓子を頭上に掲げてダンスのように軽やかに回り出す。


「これが例の(・・)お手製お菓子…!!ベルたんマジてんs「どわーー!!!」」


 キャロル様の声をかき消す野太い団長の雄叫び。今日ずっとこんな調子の団長はまたウッカリ変なモン拾い食いでもしたんだろうか?


「キャロル様、例の(・・)やつはトップシークレットなんで!バレたらヤバいんですって!ホント頼みますよぉぉ!」


 紳士淑女の距離も忘れてキャロル様に縋り付く勢いの団長。

 慌てて間に入る近衛と、団長を引き戻す俺達。

 団長ホント恥ずかしいんでやめてくださいよ…。


「ごめんなさいアレックス団長!今日ホントに楽しみにしてて…!だって私も【天使と書いt「だからァァァ!それは言っちゃダメぇぇ!」」


 さっきから妖精さんの声を遮る団長があらゆる意味でウルサイ。やはり貴重なひと枠をやるべきではなかった。


 俺達は仕方なく団長を後ろ手に拘束して猿ぐつわを噛ませて遠くへ追いやる。

 悪く思わないでくださいよ。ウッカリ団長が任務で何かやらかしそうになったら手段を選ばず阻止せよとの副団長の命令なのだ。帰る時には解放しますんで。


 それにしてもキャロル様のお陰で、今日はベルたんの新たな一面を見ることが出来た。

 女官としてのベルたんや、子供達に接するベルたんではなく、女友達と居る時の彼女はきっとこんな感じなんだろうな〜と新たな妄想が膨らみついニマニマしてしまう。


 もちろん、キャロル様に敬意は払って接しているが、ふとした瞬間の二人の間の空気がいい意味で気安くて、仲の良さが滲み出ているのだ。キャロル様がやたらと孤児院の事を知っているのもきっとベルたんに色々聞いたのだろう。


 出来たらその輪の中に俺もいれて欲しい。一緒にキャッキャウフフしたい。


 きっと諸君らも同じ気持ちだろうと思う。




 至福の時間はあっという間に過ぎ、子供達に別れを告げて王宮への帰路に就く。


 遠目に見えてきた南門の周辺の人影がいつもより多い気がして、嫌な予感がよぎる。


 これはアレか。お約束のやつか…。



 予感は的中し、南門で出迎えた人物に俺達は最敬礼をする。

 ルイス殿下とアンバー卿が待ち構えていたのだ。


「あ!ルイス様!それにランスロット様も!」


 婚約者達の出迎えに、頬を染めて喜ぶ天使と妖精さん…。

 いや、もう何も言うまい。

 ベルたんの幸せが俺達の幸せなのだから…。

 な、泣いてなんかないんだからねっ!!



「今日はありがとうございました。皆様良いクリスマスをお過ごしくださいね。」


 別れ際に、ベルたんが俺達にそう言って微笑んでくれる。その笑顔が何よりのクリスマスプレゼントです!!



 ほわほわと甘くくすぐったい雰囲気のカップル達が去っていくのを見送って、俺は決意した。


 やはり帰ったらサンタさんに手紙を書こうと。

 今年は無理でも来年こそは…。


 何はともあれメリークリスマス!!!



 なお、Xデーに行く宛てが無いものは、当日午後8の刻に天使の渚亭に集合されたし。



 回覧者サイン欄


 俺の扱い…。【団長】

 ウッカリが過ぎるとこういう事になるんですよ。【副団長】

 副団長に同意。【副団長補佐】

 せっかく満を持して俺の名前も公開されたのに…。【団長】

 誰得情報。【副団長】

 確かに誰得情報だな。【メリル】

 誰も求めてないな。【リカルド】

 団長頑張れ!メリークリスマス!【クリストファー】

 明日があるさ!メリークリスマス!!【リック】

 うおぉぉぉぉん!!【団長】

 ・

 ・

 ・

 キャロルさんが楽しめたようで何よりだったわ。【アイリス】

 情報漏洩がバレやしないか団長は気が気じゃなかっただろうね。少し同情するよ。【ルイス】

 聖地巡礼できてとっても楽しかった!また行きたい!【キャロル】

 屋根なし馬車は断固許可しない。【ランスロット】



続編難産中。サンタさん…文才をください…(切実

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 団長(・∀・) [一言] めっちゃ面白かったです! 痛い系ヒロインかと思ったらかわいいハイスペヒロインちゃんに成長しちゃいましたね( ´∀`) 二人ともかわいい あと会報おもしろすぎ
[気になる点] カチュアとマリア嬢のその後 [一言] とても面白かったです。新緑色の目をしたトンビに油揚げをさらわれた筋肉さん達にも愛の手を…。
2021/06/03 21:42 退会済み
管理
[一言] うぉーーーーーっ! クリスマスにキタっ! 作者さんありがとうございます! 無事に生まれることを願っています。 (できればお早やめに次話に会いたいです。。。)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ