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第3話 黒猫探偵舎の作戦会議室にて

「あ〜!も〜‼︎信じられない!!!!」

 黒猫ビル1階の純喫茶黒猫…今は夜なのでBAR黒猫ではあるが、そのカウンター席に突っ伏しながら、珠子はマスターに愚痴をこぼしていた。


 白髪…というよりも銀髪と言った方が相応しいと思えるほどの美しいロマンスグレーの持ち主である熟年マスターは、整った顔立ちに微笑をたたえながら、珠子の話を静かに聞いていた。


 本日最後の客を見送り、営業終了の札をかけて戻ってきた若いウェイター兼バーテンダーのバン ケンもその隣に座り、珠子の話に付き合うことにした。


 客が帰った後のBAR黒猫は、黒猫探偵舎の作戦会議室でもある。マスターや番は、捜査に直接関わることはないが、影に日向に黒猫探偵舎の仕事を手伝ってくれているのだ。


 心底不服そうな珠子に、番が問いかけた。


「珠子さん、いつか潜入捜査してみたいって言っていたじゃないですか。どうしてそんなに怒ってるんですか?」

「番くん…。そりゃね、私だってそろそろ雑用や事務仕事だけじゃなくて、クロさんのシゴトを手伝わせてほしいって言ってたわよ。潜入捜査だって、憧れていたし。」

「願ったり叶ったりじゃないですか。」

「だけど、…そうだけど!潜入先が女学校なのは良いとしてもよ…?"女学生として"潜入しろって言うのよ?」

「あ〜、あぁ…」


 番が珠子の言い分に共感しつつも、畔蒜の判断が的外れでないように思えて、答えに困っていると、2階の事務所から畔蒜が降りてきた。


「まだ怒ってるのか、タマ」

 畔蒜が珠子のもう一方の隣の席につくと、マスターがいつものように手早くバーボン・ロックを差し出した。


「当然ですよ!私、もう21歳なのに…!」

「まだまだ十代で通るだろ。若い、若い。」


 珠子としても「若い」と言われるのは本来であれば、嫌な気はしない。しかし、畔蒜に言われると「幼い」と言われているようでしゃくにさわるのだった。


「バレても知りませんからね!」

「大丈夫だって」


 全く取り合ってくれない畔蒜に、珠子はこれ以上抗議する気力を失った。そして、すがるような目で、マスターに訴えた。


「マスター…私、そんなに女性としての魅力ないですか?」

「おや、私は、珠子さんのように若々しく愛らしい女性、好きですよ」

「マスター♡」


 マスターの甘い言葉を素直に受け止めて、とろけたような表情をしている珠子に、今度は畔蒜が抗議した。


「おいおい、俺の時と、反応違いすぎないか?」

「クロさんとは、こう…ニュアンスが違うんですよ!」

「そうかい、そうかい」


 そう言いながらも、畔蒜は珠子の反応を楽しんでいるのだった。



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