表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
村娘だけど実は勇者の転生者でした  作者: 空豆だいす(ちびだいず)
村娘だけど実は勇者の転生者でした
52/155

村娘45→教会襲撃2

誤字脱字、表現の違いの報告ありがとうございます!

指摘は確認して適用させています!

 あたしの身体は何度か扉に剣を振るうと、諦めたのか広瀬のところに戻る。実際、扉は木製の部分はズタボロにもかかわらず、傷ついているのは表面だけに見えたしね。


「広瀬様、扉が開きません」


 あたしは若干驚いた。「はい、広瀬様」以外に声を発したのだ。命令が実行できないので、その場合は相談すると言うのがデフォルトで設定されているのかもしれない。


「“エリシア、理由はわかるか”?」

「わかりません」


 あたしの身体の答えに、ケリィは驚く。でもまあ、支配されているのは身体の操作権なので、知識や考える部分については本来の身体の持ち主が持っているのだ。おそらく、完全に従属させるのは面白くないと言う理由で身体だけにしたのだろうけど、それが裏目に出てしまったのだろう。


「おいオい……。ショウさン、あノ扉は確カ、魔法的な防御機構ガあるッて聞いタことがアるゼ。普段のエリシアなラ容易ク破れるだロうが、無理ナらタッキーさんニお願イするしカないんジゃないカ?」


 ケリィの指摘はごもっともである。ただ、三宅はメリルさんと夢中で戦っているので、聞く耳は持って居なさそうである。


「タッキー」


 だが、広瀬が呼びかけると、メリルさんと距離を開けて反応した。


「どうした、ショウ。今良いところなんだが?」

「あの扉、タッキーしか壊せないみたい」

「あん? マジかよ。ボロボロじゃねぇか」

「とどめに一発殴っちゃって」

「任せておけ!」


 それに、メリルさんが反応する。


「させるか!」


 メリルさんはだいぶやつれていた。恐らく、かなり吸収されたのだろう。だがそれでも、メリルさんは三宅を押しとどめることが出来るほどの実力は持っていたらしかった。

 だから、広瀬がこう命令するのも仕方なかった。


「“エリシア、あの女の相手をしておけ”」

「はい、広瀬様」


 あたしの身体は会釈をすると、メリルさんを相手にするために駆け出す。そして、三宅との間に入ると、メリルさんの剣を受け止めた。メリルさんの剣はそう、重たくは無かった。


「エリシア様、お退きください! どかなければ貴女のお母様が!」

「……」


 わかっている、わかっているのだ。だけれども、今のあたしには考えることしか出来ないのだ。他にどうしろと?

 不意に、もしかしたら魔法だったらあたしの意思で使えるんじゃないかと思いついた。詠唱も、ルーン文字も使えないけれども、あたしの魔力はあたしの意思で使えるはずだ。魔力残量は意識を張れば7割ほど残っていたことがわかるので、もしかしたらチャンスかもしれない。

 ただ、攻撃魔法のような派手なものは使った瞬間にバレる可能性が高い。だから、あたしができるのはメリルさんに対する支援魔法である。ただ、強力な《光鎧(ブライトアーマー)》や《天使の息(ライトニングブレス)》は詠唱を行わなければあたしは使えない。だから、無詠唱で使える《肉体強化(ブレス)》でメリルさんの支援をするのだ。

 あたしは意識を集中する。あたしの中に流れている魔力を意識する。そして、《肉体強化(ブレス)》のイメージをあたしの中で組み上げる。対象はメリルさんだ。

 どうやら、あたしの試みは成功したようで、メリルさんが若干輝いた。


「これは……!」


 さすが、メリルさんは気付いたみたいであった。これで、しばらくはメリルさんも耐えれるだろう。先ほどと違い動きも機敏になっている。いや、元々機敏なのだけれどね。

 それでも、あたしを止めるには至らず、三宅は軽々と扉を破壊したのだった。


「ショウ、壊しておいたぜ」

「サンキュー。さすがはタッキー」

「ああ、この程度のことなら任せておけ。じゃあ、俺様はあの女を潰してくる」

「任せた。“エリシア、その女の相手は結構だ。お前のお母さんを連れてきなさい”」

「はい、広瀬様」


 どうやら、あたしの身体は命令をしないとそのように動かないらしい。しかも、単一の命令を実行するようで、周りでまだ息があるものが居るにもかかわらず、皆殺しにせずにお母さんを探しに向かうのだ。

 うーん、これが伝われば、倒す優先順位がメリルさんにもわかるはずなんだけどなぁ……。

 まあいい、そこはメリルさんの洞察力に期待するとしよう。

 あたしの身体はゴブリンたちに続いて教会の奥のほうに侵入する。

 教会の奥の廊下はゴブリンたちに蹂躙された後であった。いたるところがボロボロになり、鬼ごっこが始まっている。逃げ切れなかった村娘は惨めにも陵辱されていた。子供が居た部屋は認識が阻害されている魔法が掛けられているらしく、あたししか認識が出来ておらず、これならシエラは大丈夫だと安心した。

 あたしの身体は開いた扉を覗いては、お母さんが居ないかを探しているだけで、女性を助けたりはしなかった様子である。

 というか、なぜあたしはゴブリンに襲われないのかというのは若干不思議である。仲間だと認識されているのだろうか? どうも、三宅たちが操っている気がするし、そういう魔物を操る能力でも持っているのか疑問である。

 しばらく、教会内を探索していると、まだゴブリンたちがたどり着いていない区域までたどり着く。あいつら、女に夢中でココまで来ていなかったんだな。

 あたしが扉を破壊すると、司祭様にお母さん他回復術士が何人か避難していた。村長を含めた村の重鎮もいる。


「え、エリシア?!」


 あたしを睨むと言うことは、あたしの身体が敵であるとちゃんと認識できていると言うことであろう。


「エリシア、泣いているの……?」


 お母さんがそういうが、司祭様が庇うように前に出る。


「フィーナ、エリシアは魔の手に落ちた。アレは魔物だ」


 ああ、あたしの身体はこれから残酷なことをします。女神様、お許しください。

 あたしの身体は動き出すと、ロングソードで司祭様の首を刎ねる。


「ひいいいいい!!」


 お母さんを除いた全員があたしから一斉に離れる。それでいい。それで。たぶん、あたしに与えられた命令を邪魔するやつらを殺す人形なのだ。だから、邪魔さえしなければ、殺しはしない。

 あたしの予測は当たっていたようで、あたしの身体はお母さんを背負う。重いし、筋肉が軋むのを感じる。


「エリシア、やめなさい、エリシア!」

「……」


 あたしはお母さんの訴えを無視して、広瀬に与えられた任務をこなす。あまり暴れると、手とか足とか斬り飛ばす可能性があるから、暴れないで欲しい。


「エリシア、降ろしなさい、エリシア!」


 背中をバシバシ叩かれて、すごく痛いけれども、あたしの身体はそれを無視して、教会の礼拝堂へと駆け抜けていった。

切がよかったのでこんな感じで。

次回はエロいかもです。

多少直接的表現は避けつつ、描写します。

R-15で収まるようにがんばります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ