冒険者2→悪の片鱗
その男はかつてケリィと呼ばれた人物であった。
しかし、その面影は既に無かった。
まるでオーガのような体躯をしており、頭部には角が生えていた。
その目には狂気が宿っており、ケリィだとわかる唯一の部分はその背負った片手剣ほどに見まがえる大剣である。
「すげぇじゃねぇか!」
そんなケリィを見て喜んでいる男が一人、三宅隆幸である。
「さすがタッキーだね。まさか人間をここまで作りかえれるなんてね!」
「ショウが俺の能力を的確に把握しているから出来たことだ。こりゃ面白いことにつかえんな!」
隆幸がやったことは、自分が今まで人間や魔物、魔獣から奪った能力をケリィに譲渡しただけであった。
その際、隆幸はケリィの中にあった禍々しい気配を増大させている。エリシアとか言う女への復讐心と、色欲である。その際、ルビーはケリィの色欲発散にあてがわれてボロボロになってしまった。
「ヒィィィィッッッ!!」
目の前で隆幸の能力によって人間が魔物に変化する様を見せられて、秋葉原は身体を震わしていた。
すでに秋葉原は搾りかすであり、勇者としての能力も、神様から与えられた能力も全て無い状態であった。秋葉原が生きているのは隆幸の気まぐれである。
「おい、ケリィ、聞こえてるんだろ? 意図すりゃ人間サイズになれんだから、戻って話を聞けよ」
隆幸がそういうと、ケリィは反応しスルスルと縮む。2.5m程あった体が1.7mまでのサイズに戻った。
『グルルルル……』
「そんなにエリシアに復讐したいのか」
『モチロン……ダ……オレヲ……コケニシタ……エリシアを犯す!!!』
「良いじゃねぇか。じゃあ、まずはそのエリシアを絶望させないとな」
『アア、たかゆき……力ヲ……感謝……!』
「ハハッ、良いってことよ。それじゃあ、リナーシス村まで行ってみるか」
隆幸たちは楽しいことを為すために、リナーシス村まで向かっていた。隆幸たちは既にリナーシス村の近くの町であるソランゴルまでたどり着いていた。エリシアが到着する2日前のことであった。
第一章最終項のプロローグみたいな感じです。
怒涛の展開になれば良いなー