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村娘だけど実は勇者の転生者でした  作者: 空豆だいす(ちびだいず)
村娘だけど実は勇者の転生者でした
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村娘35→はじめてのくえすと6

前の話に戦闘描写の追記をしたので、そちらから読んでもらえると内容がわかるかと思います。

 あたしの目が覚めたのは、どこかの部屋のベッドの上であった。木の天井に簡素なベッドから、おそらく村に戻ってきたのだろう。


「え、あれ?」


 あたしは困惑の声を上げて飛び起きた。ホブゴブリンは? ゴブリンの群れは? 森の中じゃなかったっけ?

 そうだ、あたしは想定以上に魔力を使い切って、魔力切れを起こして倒れちゃったんだっけ。あと3回は《火炎球(ファイアボール)》を打てる程度には魔力を残していたはずなんだけどな。

 と、ドアがノックされて、「失礼します」とメリルさんが入ってきた。


「エリシア様、意識が回復されましたか」


 メリルさんは安堵した様子であたしのところまで歩いて来た。


「魔力が切れちゃったみたいだしね」

「エリシア様はそんな無茶はされないと思っていましたが」

「《千本氷槍(アイススケウァー)》が思っていた以上に魔力を使っちゃったのよね。《氷檻(アイスケージ)》程度の消費量かなと思ったんだけども」


 メリルさんは首をひねる。


「アイススケウァー、ですか?」

「うん、串刺しにしてやろうと思ってね。《氷檻(アイスケージ)》を攻撃的に魔改造してみたんだけど」


 ただ、氷の槍で串刺しにするという発想自体は《氷槍(アイスランス)》も存在する。だから、この魔法は誰にでも思いつく発想である。


「魔法大全には載っていない魔法だから、どれぐらい魔力を消費するかと言うのは分からなかったのよね」


 魔法大全には魔法による魔力消費量の参考値が記載されている。一般的な魔法使いがどれぐらい魔力を消費するのかと言う目安が描かれている。


「そういえば、ここはどこかしら。それに、ゴブリンはどうなったのかしら?」

「ここはウーダン村の役場の一室ですね。ゴブリンは現在騎士の方が到着して、討伐中との事です」

「なるほど、あたしはあれから1日近く寝ていたのね」


 メリルさんは首肯する。魔力切れを起こすと、ある程度魔力が回復するまでは意識を失うことがあるというのは本当だったのね。上位の魔法使いになれば、魔力切れを起こしても意識を失うことは無いといわれているけれども、あたしは魔法の扱い自体は得意だけれども、魔法使いとしてはまだまだ下位なのだなと実感する。


「そういえば、ホブゴブリンは?」

「エリシア様が戦っておられた魔法についてはちゃんと死んでいました。エリシア様が倒れた後、ビアル様に加勢して頂き、弓を討伐しました。剣は残念ながら逃がしてしまいましたがね」


 メリルさんが逃がしてしまうとは、あの剣のホブゴブリンはどれだけ実力があるのかという話である。あたしが戦っていたら八つ裂きにされていただろうと思うとぞっとしてしまう。


「メリルさんですら討伐できないって……」

「ええ、あのホブゴブリンは恐ろしく強かったです。私と同じ程度の実力はありましたね」

「なにそれ怖い」


 でもまあ、騎士団は来たと言うことはもう安心して良いだろう。一握りの冒険者を除けば、基本的には軍隊である騎士団の方が圧倒的に強いからね。今日明日であの森のゴブリンは壊滅するだろう。

 そういえば、あたし達が助けた女性はどうなったのだろうか。


「そういえば、あの女性は……?」

「無事に家族の下までビアル様が送り届けましたよ。あの損傷が激しく、腐敗が始まっていた女性の遺体も遺族の元へ届けることができました」

「そう、よかった」


 助けられたならそれは良かった。それに、騎士団が出ているならば、残りの助けられなかった女性も助かるだろうし、ゴブリンに弄ばれた遺体も遺族の元に戻ってくるだろう。


「それなら、あたしたちの初めての依頼は達成と言うことかしら?」

「それはギルドに確認しないとわかりませんね」

「ですよねー」


 外を確認すると、日はまだ高い。お昼ごろだろうか。

 おかげさまでガッツリ寝られたあたしは元気いっぱいであった。身体は動いたせいか筋肉痛ではあったものの、そこまでひどくは無い。


「それじゃあ、アッカインまで戻って報告しましょうか」


 こうして、あたしたちのパーティの最初のクエストは完了した。ホブゴブリン討伐報酬で2000エリンが支払われたので、準備のために使った金額を考えるとトントンである。その日のうちに、あたし達は次の町まで出発した。リナーシス村にもどる予定より1日遅れちゃっているしね。

 その後については新聞で読んだ程度なのだけれど、あのゴブリンの集団は相当強く騎士団でも一部を逃してしまったらしい。近隣の各村は警戒をするように呼びかけられており、また隊長格のホブゴブリンが逃げ出したということもあり、賞金首として剣士のホブゴブリンがクエストボードに張り出されていたのを見て、驚いたりもした。

 あたし達は移動中に何度か各街のギルドに立ち寄り、軽いクエストをこなしつつ、予定から4日遅れでリナーシス村に一番近い街である、ソランゴルまで到着していた。

遅れてすみません、色々修正をはさんだ結果遅れました。

今日は2回分更新をします。

次は19時に追加します。

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