村娘29→いざ、冒険の準備3
若干スランプ中……登場人物紹介でお茶を濁す笑
翌朝、冒険者ギルド前には既に全員集まっていた。馬車にしっかりと荷物は積み込まれており、見た感じだと食品類には痛み等は発生していないようであった。
行者の人はフェルメリア家に仕えている人の一人でゴートンさんと言う。
「いやー、さすが貴族様だねぇ」
と、ナシャは感心しているが、あたしは使えるものはなんでも使う主義なのだ。馬車とかせっかく使えるのだ、使わない理由はない。
「そうねー」
ただ、あたしやナシャが唖然としていたのは、その馬車の装飾が完全に貴族仕様だったからである。荷馬車なのだから質素な感じを期待したけれど……。
「貴族の馬車が一番頑丈で安全なのです。ご容赦を、エリシア様」
「そ、そうなんだー」
まるでパレードにでも行くつもりなのかと指摘をしたいけれども、確かに作りを調べた感じではしっかりしているし、荷馬車として使用しても問題なさそうである。
「どちらにしてもメリル嬢が用意できる荷馬車としては最高のものであろう。エリシア様、俺としてはこれで問題ないと考えます」
「まあ、そりゃ性能面は完璧だしね」
馬車としては客室もありかつ荷物を置く場所もある、この一台だけで完結しているため問題ないのだけど、こんな豪華な馬車を旅に使うのがなんだかもったいないだけである。
「俺はエリシアに従うさ」
ビアルは早々に思考を放棄した。あたしは頭をかいて、決めてしまう。
「性能面は問題ないんだし、このままで行くわ」
こういう系の馬車は乗り心地も良いしね。実際、客室は椅子が板一枚ではなく、牛皮で作られているクッションであった。
行きの馬車でのそうだったけど、クッション座椅子は馬車の揺れを抑制してくれるので長く座っていてもお尻は痛くならないのだ。
「ああ、盗賊等の心配はご無用ですよ。2台ほど護衛をつけますし、我がフェルメリア家に対してそのような狼藉を図った盗賊団がどうなったのかは、彼らの間では有名でしょうからね」
メリルさんが恐ろしいことを言う。
「おー、怖。さすがフェルメリア伯爵令嬢様は言うことが違うねぇ」
「事実を述べたまでです、ビアル様」
「さすがに伯爵令嬢様から様付で呼ばれるのは違和感があるんだが……」
「今の私の立場はエリシア様の侍女ですので、お気になさらず」
何故か誇らしい笑みを浮かべるメリルさんに対して、若干引き気味のビアル。口元が引きつっているのがわかる。
「では、出発しよう。エリシア様」
「そうね」
あたしはシーヴェルクさんに言われてうなづく。最初の目的地は、来る時も立ち寄った街である。情報収集をしながらだから、6日ほどでリナーシス村に到着する見込みだ。
東に関しては、魔王の情報があまりないのである。それに、先行した勇者は徒歩で行動していると言うことなので、あたし達が先に着いてしまうのだろう。足が速い分しっかり情報は集めておきたい。魔王討伐なんてさっさと終わらせて、あたしは村娘に戻るのだ!
【人物紹介②】
メリル・フェルメリア
性別:女性
年齢:19歳
種族:人間
出身:ウェリンフェルギン
言語:種族交易共通語 読/会、ダルヴレク語 読/会、ダルヴレク貴族語 読/会
祝福:《細剣豪》
〇能力
剣術:
片手剣:【銀級】上位程度
魔力量:【銅級】上位程度
〇スキル
無窮の武練:【銀級】下位程度
侍女術:【金級】中位程度
直感:【銅級】下位程度
エリシアの侍女で、侍女服を着ていないと性別が男性に見える麗人。
ちゃんと自分のことは女性と認識している。
武術に長けており、フェルメリア家で兄弟の中で一番の剣の使い手。
エリシアの侍女を王様が募集した時に一番に名乗りを上げ、即採用に至るほど王宮内でも知れ渡るほどの武人でもある。
女性としての立ち振る舞いも完璧であるが、男性よりも男性らしいのであまり婚姻の話は来なかったらしい。
逆に他の令嬢からモテていた。
ドレスを着ればちゃんと女性に見えるので、男臭い顔ではなくちゃんと女性らしい顔つきをしており、凛々しいだけであると言うことがわかる。