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村娘だけど実は勇者の転生者でした  作者: 空豆だいす(ちびだいず)
村娘だけど実は勇者の転生者でした
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冒険者1→悪鬼の邂逅

今回は軽めです。

簡単に言うと、第一章のオチへの複線です。

 ケリィはエストフェルギンの冒険者ギルドにいた。

 ケリィは国中から指名手配を受けていた。《英雄》エリシア・レアネ・フェルギリティナを強姦しようとした罪である。

 聖フェルギン王国はその魔法技術とは裏腹に封建国家である。最低限の法は存在するがそれは自領の統治をする際にこうしたら良いよと言うバイブルであったり、貴族に取り立てる条件などの不文律を言語化したものに過ぎず、罪や処罰に関してはそれぞれ各貴族の裁量次第であった。

 しかしながら、ケリィはその罪の重さから、全国で指名手配されていた。つまりは、国王が必ず裁くという事である。全国指名手配になった犯罪者が捕まった場合は前例として確実に斬首刑であることをケリィは知っていた。なので、捕まらないためにもケリィは顔を変える事になった。

 ケリィにはそれは屈辱であった。


「くそッ!」


 ケリィはエールの入ったジョッキをテーブルに叩きつける。


「アフィ様?!」


 イライラした様子だったケリィを心配して、女性が声をかける。彼女はルビー、ヴィレディの婚約者だった女である。アフィというのはアフィリエイトではなく、ケリィの使っている偽名である。


「チッ」


 ケリィは舌打ちをする。何が気に食わないかと言うと、全てであった。名と顔を変えたので、今まで積み上げてきた冒険者としての実績はパー。スカウトしようにも変えた醜い顔のせいで相手にされず、ルビー以外の女も抱けていない。それに、拠点としていた街からは夜逃げ同然で逃げ出したのだ。

 その、気に食わない原因を作った女が澄ました顔で、王城の式典で宣誓をしているのがさらに気に食わなかった。

 ルビーもケリィの目線の先を追うと、エリシアが硬い表情で手を振っていた。いつも強気で毅然としている少女が緊張のあまり表情が硬くなっているので、ルビーは懐かしい気持ちと一緒に、可笑しいと思った。


「フフッ、エリシアったらあんなに緊張しちゃって」


 ルビーはケリィに脅されて連れていかれてから、笑う事はほとんど無くなっていた。昼間は冒険者で依頼をあくせくこなして、夜はケリィを慰める生活なのだ。

 既にケリィに汚された身であるルビーは、村の掟で夫以外の者と性交渉を行った者として処罰される定めにあった。良くて奴隷落ち、悪くて処刑である。ルビーにはケリィに脅された時点でケリィの奴隷になる道以外残されていなかったのだ。

 ルビーのそんな零れ落ちた微笑が、ますますケリィを苛立たせた。

 あのエリシアを何とかして自分の手で穢したかった。自分の人生をめちゃくちゃにした責任を取ってもらう必要があると、ケリィは考えていた。


「あーあ、ご立派になっちゃって。立花君よぉ」


 そんな声が聞こえてきたのは、偶然であった。声が気になりケリィが見ると、奇妙な姿をした奇妙な4人組がテーブルの一角を占拠していた。一人は根元が黒い金髪をしたガタイの良い拳闘士。一人は紫色の髪をした、手鏡を見ながら化粧をしている女性。一人は金髪にポニーテールをした賢そうな少年。そして、最後の一人は異様にゲッソリ痩せている黒縁メガネの少年であった。


「つーか、勇者とかマジダリーんだけど」

「魔王40人とかありえなくねー?」

「アキバ君は情報収集してきてくれたよなぁ?」

「ふ、ふひぃ! し、して来たでござるから、す、吸わないで!!」


 とにかく、異様な4人であった。まず、着ている服がこの国の一般的な服装や、冒険者が身にまとう服装とも異なるのである。まるで、勇者のような異物感が彼らにはあった。


「ん? ああ? なんだてめぇ、何見てんの?」


 彼らにガンつけてると思われたのか、拳闘士の少年が近づいてくる。異様な4人の中で一番異様だったのは彼であった。他の4人と比較して、彼が圧倒的に強いのだ。ケリィも、この少年には勝てないと直感でわかるほどにである。


「いや、あんたら強そうだと思ってな。良かったらパーティー組んでくれないかと思ってたんだよ」


 こういうときは下手に出るに限る。


「へぇ~。あんた、冒険者か。アキバよりも役に立ちそうだな」


 少年は値踏みする。少し考えて、少年は賢そうな少年を見た。


「ショウ」

「あー、オッケーオッケー。タッキー。あんた名前は?」

「俺はアフィってんだ」


 ケリィがそう言うと、ショウは目を細める。そして、耳元に顔を近づけて、こうささやいた。


「うそだね。本名はケリィって言うんでしょ? 犯罪者さん?」


 ケリィは大きく目を見開いた。


「テメェ……!」

「いやー、言い趣味してるね、アンタ。あ、大丈夫大丈夫、俺、口は堅いほうだからさ」


 ショウはニヤニヤ笑いながらこう告げる。


「タッキー、このアフィって人使えるよ。俺が保障するさ」

「ショウがそういうなら大丈夫か」


 タッキーと呼ばれた少年はニヤリと笑う。


「それに、コイツ、俺様を面白くさせる何かを持ってそうだしな」


 タッキーと呼ばれた少年は、ケリィの中の黒く濁ったモノを見てニヤリと笑う。

 こうして、ケリィと三宅隆幸は一緒に行動することになった。この出会いがエリシアに悲劇をもたらす出会いになるということは、エリシアが知る由も無かったのである。

封建制度を採っているので、法律は偉い人が決めるものになります。


ステータスは隆幸くんが一番高く、鈴木恵里奈、広瀬翔太郎の順に強いです。

秋葉原君はレベルが上がっても隆幸くんに吸い取られています。

エリシアと会ったときに秋葉原君が生きているかどうかは不明ですね。

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[気になる点] >> この出会いがエリシアに悲劇をもたらす出会いになるということは、エリシアが知る由も無かったのである。 エリシア視点ではなく、その場にエリシアもいませんので、この場面では「〜が知る由…
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