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村娘だけど実は勇者の転生者でした  作者: 空豆だいす(ちびだいず)
異世界に飛ばされたけれど私は元気です
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異界化新宿駅 F10(最終決戦2)

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「輝明くん、あのゴブリンキング? だっけ。十代の攻撃を受けても大したダメージになってないように見えるんだけど、どうしてだと思う?」

「んあ? そんなこと言われてもわかるわけねぇだろ。てか、むしろ俺は十代の打撃で球に当たった雑魚ゴブリンが消し飛んだことに驚きなんだが……」

「そう、それほどの威力がある十代の球を脇腹に受けたはずなのに、まるで小石を投げつけられたレベルのダメージしか負ってないんだよ」

「確かにな……」


 十代もさすがに不思議に思ったのか、小南の話に乗る。


「きっと、あの悪魔みたいな羽に意味があると思わないかい?」

「ああ、それで?」

「あのゴブリンはきっと、()()()()()()なんだよ」

「インキュバス……?」

「あ、男性版夢魔か」


 いまいちよくわかっていない十代に対して、輝明はなるほどと答える。小南はそれにうなづく。


「そうそう、十代くんでもサキュバスは知っているだろう? それの男性版なのさ」

「……そんなのもいるんだな。それで、あのゴブリンとインキュバスが悪魔合体したのがあいつってことなのか?」

「そうなるね。だから、あのゴブリンには()()()()()があまり通用しないんじゃないかと思うんだよね」

「うっぜぇ……! じゃあ、吉岡さん任せになるってことか?!」


 十代はうんざりした様子で小南に尋ねる。


「まあ、現状だとそうなると思うけど、ね」


 小南の目には、完全に凍り付き、中のイソギンチャクが消滅してしまった氷の柱が映っていた。



 ・・・・・・・・・・・・・・・・



 あたしは走っていた。

 近寄ってくるゴブリンを《斬撃(スラッシュ)》で輪切りにしながら。

 残念だけど、全体魔法を唱える暇はなかった。だって、十代が吹き飛ばされたのだ。

 その時の朋美の絶叫は、びっくりしたけれども、あたしだって十代は心配だった。

 《光鎧(ライトアーマー)》をかけているとはいっても、想定していた以上のダメージを負っているように見えた。

 今は吉岡さんが戦っているようではあるが、単独でどれほど持つのかもわからない。


「あのゴブリンはきっと、魔王……!」


 あたしの、わずかに残っている《勇者》としての直感がそう告げていた。

 きっと、あたしじゃなければ倒せない!

 まさかこんなダンジョンに、あの世界を殲滅させるための魔王が出現するだなんて思っても見なかった。


「やっぱり、このダンジョンはあっちと繋がっている……? 侵入条件が女性限定になっているのはあの魔王のせい……?」


 わからないことはいっぱいあるけれども、どちらにしても、十代と吉岡さんが危険であることには変わりない。雑魚モンスターごときに足を止められるわけにはいかないのだ。


「邪魔!」


 魔法で消し飛ばしても、ゴキブリのように湧いてくるモンスターに、あたしの進みは徐々に遅くなっていった。


「エリ!」

「石橋さん!」


 と、声が聞こえると、その方向には蘭子とレスリング部の一人である、轟さんが居た。


「蘭子! 轟さん!」

「後衛は良いのか? ここじゃあ戦況がいまいちわかんねぇし」

「十代が深手を負った」

「はぁ?」

「だから、朋美のためにも急いで助けに行かないと!」

「なるほどな、じゃあ、あーしらもあのゴブリンキングに突撃する必要があるってことね」


 あたしはうなづく。


「うん、お願い。敵の数はだいぶ減ったけれども!」

「わかってる。轟さんも大丈夫?」

「ええ、部長たちと合流したら、私と日比野さんとで組んで、こっちに戻ることにするわね」


 本当に、女子レスリング部の人たちは心強かった。

 ちゃんと名前を覚えないとなと思ったのだった。


「じゃあ、行こう」


 こうして、蘭子と轟さんとともに、あたしたちはゴブリンキングの元へと突き進む。

 ゴブリンキングと吉岡さんの戦いは、さすがに遠くからでもはっきりと見えた。

 あたしの目から見ても、ゴブリンキングは遊んでいるように見える。どう見ても余裕を隠しきれていない印象を、あたしは受けた。


「急がないと!」

「おっけ」


 あたしたちは吉岡さんのところに向かう。

 あたしたちがたどり着いた時には、満身創痍だけれどもバットを構えたままの十代と、ゴブリンキングの左手に捕まれて気を失っている吉岡さんと、彼女ををペロペロと舐めているゴブリンキングの姿がそこにあった。

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