異界化新宿駅 F10(十代無双)
十代は強い敵の雰囲気が接近してくるのを感じ、その場を飛びのく。
十代の居た場所に大きな斧が突き刺さった。
「強敵のお出ましか!」
目の前には、全身西洋の甲冑を身にまとった2mはあるであろう大男がいる。
ざっと見た感じ、豚男と同じ連中なのは見ればわかるが、十代が頭蓋を叩き潰した豚男に比べると一回り大きいことがわかる。そして、目には正気が無いこともわかった。
「殺す気満々じゃねぇか」
大振りの斧は、当たれば真っ二つ確定なほど殺意が高いのはわかる。金属バットで受け流すも、真正面から受ければバットの方が真っ二つになりそうだった。
(腹で受けるのはまずそうだな……。となるとだ!)
十代にとって斧を振る速度は全然見える範囲内だった。軟式野球でもすごい投手が投げる球がスピードが乗らないわけがない。真正面から120km以上の速度の球や、変化球を見極めることが求められる野球を全力でやっている十代にとって、斧を見極めるのはたやすいことであった。
「おらよ!」
ガキィィンッ!
横ぶりの斧と金属バットがかち合って、斧の方が地面にめり込んでいた。
なんと、十代は斧の腹を金属バットで打ち落としたのだった。
「ブモッ?!」
振りぬく力で振るわれた斧の軌道が途中で変化し、地面に突き刺さったことに驚きの表情を見せる甲冑豚男。
「ハッ! 狂ったと見せかけ、しっかり認識してんじゃねぇか!」
十代は突き刺さった斧にガンっと足を乗っけると、すでに殴りすぎてボコボコになった金属バットを突き付けて宣言をする。
「お前、今から真っ二つにしてやるぜ」
「?!」
十代は斧を思いきり蹴り、甲冑豚男に接近する。
体をひねり、甲冑豚男の利き手である右手を狙いすまして乱打を仕掛ける。
当然ながらガントレットに覆われており、そこまで大きなダメージを期待できるわけではなかったが、十代はひねりと飛び出した勢い、十代の全体重を乗せて構わず乱打した。
ズガガガガガガガガガガガガ! ベキッ!
金属同士が激しくぶつかり合う音がする。
甲冑豚男の右親指の付け根部分が反対方向に曲がった。
十代の乱打のすべてはそこにすべて命中していたのだった。
「ブヒアアァァアアァ!!」
指が折れた激痛に、思わず悲鳴とともに斧から手を放してしまう甲冑豚男。
十代は咄嗟に蹴り飛ばす。十代の狙いは斧であった。
「斧なんかを持ってくるお前が悪いんだ。だから、こうなる」
十代はそう言うと、斧の柄の石突側をバットで打ち上げる。
ダンジョンに入ってから調子のいい力が入った打ち上げは、突き刺さった斧を直上へとカチ上げる結果へと繋がっていた。
「ダンジョン内だと思ってた以上に体が動くな!」
十代はそう言うと、落ちてくる回転する斧を金属バットで悶えている甲冑豚男に打つ。
カキィィィィィィィィィン!
まるでホームランでも打ったかのような心地よい金属音が鳴り響き、高速回転する斧は真っすぐに甲冑豚男の体に突き刺さった。
下腹部を鎧を突き破り突き刺さる斧。だが、だいぶ致命的な状態ではあるが、途中で止まる。
「とぉぉぉどぉぉぉめぇぇぇぇ!!」
十代がそこに素早く駆け付け、金属バットで斧を撃ち、さらに押し込んだ。
「必ぁぁぁ殺ッ! 特大ホォォームラァァァァンッッ!!」
カキィィィィィィィィィン!
斧にダメ押しの渾身の一撃が突き刺さり、結果、見事に甲冑豚男は一刀両断されてしまったのだった。
「ハッ! これが、あいつらを怖がらせた罰だ!」
落ちてくる斧を左手で掴み、十代はバットを巨大ゴブリンへと向ける。
「せいぜい報いを受けるんだな!」
書いてたら十代くんが強くなりすぎてしまった気がする。