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村娘だけど実は勇者の転生者でした  作者: 空豆だいす(ちびだいず)
異世界に飛ばされたけれど私は元気です
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異界化新宿駅 F10(大規模戦闘)

 いよいよ、あたしたちはボス部屋に突入する。

 そこには、もはや軍団といっていいこれまでの魔物たちとともに、ひと際大きいゴブリン……王冠を被っているからゴブリンキングだろうか? がいた。背中からは()()()()が生えている巨大ゴブリンキングは、おそらくインキュバスの力も持っていると想像に難くなかった。

 突入したと同時に、進軍が開始される。


「なるほどな、雑魚を蹴散らして、あのでか物を潰せばいいんだな」

「てか、ゴブリンにオーク、触手のイソギンチャクに、全裸のおっさん……種付けおじさんかな? それに、チンコがデカい獣系のモンスターもいるってことは、このダンジョンのコンセプトはエロトラップダンジョンというわけだね」

「小南、なんで詳しいんだよ……」

「輝明くんは()()だからね」

「おめーはマニアックなんだよ」

「いずれにしても、気を付けるべきは触手の化け物とボスだね。ああいうのは粘液とかやばいからね」


 小南の指摘に、あたしはうなづく。


「ええ、だから、凍らせて封印するの。《冷凍庫》!」


 あたしはさっそく、テンタクルすべてを水の檻に閉じ込めて瞬間冷凍させる。

 これで10体いたテンタクルはアイスブロックになり無力化する。

 とはいっても、中身までは氷漬けにできていない。


「っしゃあ! 雑魚散らしだ! 蘭子は吉岡さんらと行動しろよな!」

「わーってるって!」


 突入前に支援魔法はかけ終えているので、テンタクルが完全凍結するまではあたしは《冷凍庫》を維持し続ける必要があった。水の檻を急速冷凍させる魔法が《冷凍庫》で、《洗濯機》の3分の1の文字数と魔力で発動できるので、まだ連射できる魔法だった。


「エリちゃん、集団戦になるから、触手の化け物を何とか出来たら範囲魔法をお願いできる?」

「任せて」


 朋美はあたしにそう指示をすると、後衛のみなさんにも指示を出す。


「当たらなくてもいいから、とにかくボウガンの矢を撃ってください! それだけで牽制になります!」


 フレンドリファイアも本来であれば気にする必要があるだろうけれども、ここまでの集団戦になると下手に狙い撃ちしたほうが味方当たってしまうので、弾幕を形成したほうが牽制になる。

 前線で戦っているのは、十代、蘭子とレスリング部の人、吉岡さんとレスリング部の人、レスリング部の2人、輝明と小南だった。輝明と小南……?!

 だが、遠くから見ていると普通に戦えている様子だった。輝明の手には軍用ナイフが、小南の手には銃(BB弾を撃ってる?)があり、いつの間にやら【専用装備】を手にしていた様子だった。


「雑魚のゴブリンぐらいなら、俺たちでもなんとか倒せるんだな」

「まあ、僕たちも十代たちと協力して修羅場を乗り越えてるからね」


 輝明はいつの間にやら習得したらしいナイフの扱いでゴブリン達を蹴散らしていく。

 小南は輝明の援護に徹していて、モデルガンで目つぶしをしたりして、隙を作ったりしていた。


「それにしても、輝明くん。いつのまに軍用ナイフの捌き方を習ったんだい?」

「漫画の真似だよ!」


 それってほぼ我流である。ただ、軍用ナイフなんて普通に中学生が買えるとは思えないし、ダンジョンのアイテムなのだろう。


「最近、なんだかんだ言ってトレーニングしていたのは、前のダンジョンでナイフを手に入れてからだったね」

「塾でな! まあ、帰還したら手元から消えたから、どうしようかとは思ったけどね!」

「とはいえ、僕たちでは十代みたいに大物を相手にすることはできないから、こういう大規模戦闘はこれっきりにしてほしいけれどもね!」

「全くだよ!」


 案外戦えている輝明と小南は、結構安定して戦えていた。

 蘭子の方に目を向けると、こちらもレスリング部の女性と共闘している。吉岡さんについては言わずもがな、強力なピンクオークを相手に大立ち回りをしており、やっぱり人間をやめつつあるように見える。本気で霊長類最強を目指していそうである。てか、ピンクオークをぶん回して雑魚散らしをしている光景は、あたしの世界ならわかるが、こっちの世界でやらないでほしい。

 レスリング部2人についても、息があっていて隙無くゴブリンたちを無力化している。

 そして、十代は金属バット片手に一人で無双をしていた。


「邪魔だ! どきな!!」


 俯瞰(ふかん)してみている立場だけれども、十代と吉岡さんのところだけ敵が吹き飛んでいる。

 試合で疲れているだろうに、どうしてあんなに元気に立ち回れるのだろうか?

 どちらにしても、あと10分はテンタクルの冷凍にかかりそうではあった。

 このまま順調に戦況が運べばよかったけれども、そうは問屋が卸さないということだろう。

 鎧を身にまとったオークが、ゴブリンキングの指示で動き始めたのだった。

 鎧のオークの目には理性も性欲も感じさせない。狂気だけが宿っている。ただ、肌は確かにピンク色で、ピンクオークのようであるが、完全に戦闘特化した感じだ。一人は戦斧を、一人は長剣を手に持っていて、十代と吉岡さんのいる場所に向かった。


「あのゴブリンキング、戦局を読める……?」

「たぶんそう。主力同士をぶつけるみたいね。十代、大丈夫かなぁ……」


 撃ち漏らしに関しては朋美が処分できる範囲にとどまっており、ボウガンの弾幕作戦は後衛側ではうまくいっていた。

 だから、あたしはテンタクルの氷漬けを完成させるために魔力を使いながら、十代と吉岡さんの戦いに意識を向けるのだった。

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