幕間:不思議な老人
十代は不思議な人物に声をかけられた。
「やあ、君は何を待っているんだね?」
その姿は外国からの観光客だろうか、明らかに日本人ではない老人が、突如話しかけてきたのだ。しかも、流暢な日本語で。顔は白いひげを長くはやしており、髪型は長髪である。肌はまるで年季の入った樹木のように深いしわが刻まれているにもかかわらず、背筋がピンと伸びていて、死語ではあるがファンキーあn格好をしている老人だった。
「え、あ、友達を待ってまして……」
「それは、彼女たちの事かな?」
「え」
なんでそのことを知っているのだろう。十代が疑問に思う間もなく、老人は懐から杖を取り出した。
まるで、魔法使いが使うような、直感でそうとわかる杖を振ると、男子トイレの一口がぐにゃりとゆがみ、朋美たちの姿が見えるようになる。
「あ、ああ、そうだが、なんで……?」
「ふふふ、老人になるとこういうお節介が好きになるものさ。さて、そのスマホで彼女たちに電話をかけてあげるといい。おっと、儂のことは秘密にしてくれたまえ。その方が面白いからね」
「……? ああ、わかった」
不思議な雰囲気をまとった老人に言われるがままに蘭子に電話をかけると、ちゃんと発信した。これまで、圏外のアナウンスが流れたにもかかわらずだ。
「おじいさん!」
「あと、その門をくぐれば彼女たちのところにそのまま行けるよ。おまけもあるから期待しておくといい」
「おまけ?」
「ふふふ、儂と君の秘密だよ」
そう言って立ち去る謎の老人。なんだか不思議な人だなぁと思いつつも、電話が通話状態になったのですぐさまはなしかける。
「お、蘭子か? ようやくつながったぜ……!」
ふと、老人の向かった方を見ると、完全に人ごみに紛れてしまったせいか、見失ってしまった。
十代は謎の老人を疑問に思いつつも、せっかくもらったチャンスを生かすために、通話が終わってすぐ、老人が開いてくれた入り口に駆け込んだのであった。
この話入れてないと、今後の展開に繋がらないので挟みます。