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村娘だけど実は勇者の転生者でした  作者: 空豆だいす(ちびだいず)
異世界に飛ばされたけれど私は元気です
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異界化新宿駅 F2(待ち伏せと霊長類最強を目指す女)

 あたしたちは階段を下りた。


「さっそくお出ましね」


 ゴブリン、ピンクオークの群れが待ち構えていた。

 ゴブリン10体、ピンクオーク2体だ。まるで、エサが来るのを待ち構えていたような様子でギラギラしていたが、あたしは即刻殲滅すべくルーン文字を描く。

 と、蘭子と吉岡さんが前に突撃する。


「オラオラ!」


 蘭子はその拳と足でゴブリンを蹴散らし、吉岡さんはピンクオークにタックルをかます。

 蘭子の鋭い突きと蹴りは弱いゴブリンなら一瞬で気絶させることができるようになっていた。吉岡さんも、思っていたよりも素早いタックルでピンクオークを吹き飛ばす。


「シッ!」

「さすが部長!」

「私たちも援護します!」


 レスリング部の皆さんもゴブリン相手に立ち回ってくれるので、非常に助かる。


「エリちゃん、もう一体のオークを倒せる?」

「できるわ」


 あたしは、炎のルーンを発動させる。


「《爆発(プロミネーション)》」


 超高火力の魔法だ。ピンクオークの周囲に熱を発生させ、一瞬で濃縮。爆発させる魔法だ。爆亜hつの範囲もあたしならば魔法で制御できるので、吉岡さんに熱すらも影響を与えない。その爆発は、当然ながらピンクオーク程度の魔法抵抗では対抗できず、骨すら残らない。


「よ、容赦ないね……」

「する必要があるかな?」

「いや、まったく無いけれどね」

「でしょ?」


 こんな高火力魔法は、前線で戦うならば使えないだろう。蘭子や吉岡さん、レスリング部の皆さんが前線を張ってくれているから集中してできる魔法なのだ。目的は牽制。強力な魔法を放つことにより、周囲の敵をビビらせるためだ。集団戦は流れをつかんだ方が勝つ。リーダーを一瞬で消し炭にすることにより、敵を混乱させ、戦いの流れをこちらに向ける。あたしがにターゲットが向くが、今回に関しては前線がしっかりしているので、問題はなかった。そもそもあたしも木刀だけれどもそれなりに戦える。


「《光鎧(ライトアーマー)》」


 魔法を放ってすぐ、あたしは支援魔法を味方全体にかける。蘭子以外にはまだ効果を発揮させていなかった。


「相変わらずすごいねぇ! 魔法なんて初めて見たよ」

「そもそも、異界(ダンジョン)の中でしか使えないですけれどね」


 あたしの中にある魔力では、こんなにド派手に魔法は使えない。というよりも、魔力の回復が非常に遅いうえに回復手段が無いのであまり使いたくない。だから、マナが使える異界(ダンジョン)の中でしか使わないのだ。


「そうかい、まあ、たいていのことは魔法を使わなくてもできるからね! そぉりゃ!」


 レスリングの技だろうか? 自分の2倍(吉岡さんは普通に体格がいい)もあるピンクオークを軽々と放り投げ、がっちりと締めあげる。


「人間に使う技じゃないけどね! あたいたちを苦しめる奴らは成敗するしかないね!」


 骨が折れる音がした。吉岡さんの技でピンクオークの骨が折れたらしい。ピンクオークはあまりの激痛に泡を吹くが、まだ意識はあるようだ。

 それにしても強い。


「ほうら、とどめだよ!」


 吉岡さんはピンクオークの意識を刈り取るために、持ち上げると頭から地面にたたきつける。


「す、すごい……!」

「これでもあたいは吉田選手を目指してるからね」


 輝く日本体育大学のレスリング着。そんなこんなで戦闘は終了し、あたしはゴブリンにとどめを刺していく。ピンクオークは吉岡さんにとどめをきっちり刺されたのか、いつの間にかドロップアイテムを落として消滅していたのであった。


 ピンクオークの落としたアイテムは、吉岡さんの【専用武器】であるリストバンドであった。


「お、なんか力があふれてくるリストバンドだね」


 装備してどうやら【専用装備】だと判明した感じである。防具扱いでないのもよくわからないし、異界(ダンジョン)の装備の判定基準はあたしにはよくわからなかった。まあ、そもそも、異界(ダンジョン)なんてものもこの世界に来てから初めて遭遇するんだけれどね。とはいっても、このダンジョンに出てくる魔物はあたしの世界のそれで間違いないとも感じていた。


「エリ、何か考え事?」

「うんん、何でもないわ。ただ考察してただけよ」

「そうなんだ? まあ、ダンジョンなんてものは誰もよくわかってないからね。とりあえず、取り残された人がいないか確認して進もうか」

「うん」


 実際、30人ちかくいる集団である。全員助けるためにも、しっかりと点呼確認は重要だ。それに、この階にも要救助者はいるかもしれないのだ。すでに亡くなられた方には申し訳ないけれども、遺体を連れて帰る余裕はない。遺品と身分証を、ひとまとめにしておくしかなかったのは、残念であるけれども、あたしたちは先に進む必要があった。


 ほどなくして、袋小路になっている部屋を確保して、他の女性に拠点を確保してもらい、あたしたちは階の探索に向かうのだった。

★パーティメンバー(ゲームだと仮定した場合のレベルはこんな感じ)

エリシア Lv18

紀里谷 蘭子 Lv18

佐川 朋美 Lv14

吉岡 弘子 Lv29

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