表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
村娘だけど実は勇者の転生者でした  作者: 空豆だいす(ちびだいず)
異世界に飛ばされたけれど私は元気です
124/155

異界化新宿駅 F1(朋美頑張る)

 朋美の声にゴブリン全員が朋美の方を見る。

 すでに手籠めにしている女もいたが、朋美の手にしている()()()()を見て、警戒をする。


(くっ……ひどい……!)


 ただ、朋美自身も作戦を成功させないと、自分がゴブリン……緑色の肌をした小鬼にヤられてしまうのは明白だった。

 動かないゴブリンの1体に牽制で朋美は装填された矢を放つ。

 その矢は()()()であったものの、ゴブリンの1体に命中する。


「ギャアアアアア!!」


 突き刺さった矢、そこから流れ落ちる赤い血。朋美はそれに少し驚くも、行動を開始する。

 来た道を戻り、一本道で戦うのだ。

 ゴブリンは数えただけでも12体いるように見える。朋美の方に分散するには自分が脅威であることを認識してもらう必要があった。

 そして、通路は電車である。遮蔽となる座椅子はそのままだし、そもそもあまり広くない。戦闘ということを考えれば、1体1しかできない広さだった。

 なんだかんだ言って、ボウガンのそばに矢が数本落ちていたし、1体ずつ無力化できれば朋美でも何とかなるだろう。

 朋美はゴブリンが7体ついてきているのを確認する。全員でないのが残念だけれども、7体は十分だろう。

 朋美は座椅子を遮蔽物にボウガンを構える。


「はぁ……はぁ……」


 朋美はわざとそこまで隠れていない。

 完全に隠れてしまえば、無抵抗な女性たちの方を優先するに決まっているからだ。

 両手でしっかりと矢をボウガンに装填し、構える。その間にわらわらとゴブリンたちがやってくる。


「くらえ!」

「……!!!」


 朋美はボウガンを打つ。

 手すりを支えに構えたので、今度はぶれずに正確にゴブリンを打ち抜く。

 狙った位置はゴブリンの胴体だったけれども、()()()喉に命中する。

 朋美はすぐさま場所を移動して、ボウガンを装填する。憤慨したゴブリンはそれでも、必死に逃げる朋美よりも足は遅かった。


「もう一発!」

「ギャアアアアア!!」


 今度は、()()()大腿部にあたる。そうして、隠れながら、追いかけっこをしながら、朋美が通路を出るころにはゴブリンは誰も朋美を追える状態ではなくなっていた。


「勝った……!」


 とはいえ、ゴブリンはまだ息がある。()()()致命的な部分に当たらなかったゴブリンはまだ消滅していなかった。


「まだ、5体残ってるわね」


 朋美を追いかけてこなかったゴブリンはまだ5体いた。朋美は踵を返すと、まだ息があるゴブリンから武器を奪う。古めかしい長剣だった。


「うわぁああっ!」


 朋美は目をつぶり、とどめを刺す。

 言葉もわからない、見た目も違う怪物であったが、朋美にとっては罪悪感でいっぱいだった。

 手に、確かに生き物を殺した感覚が伝わる。だが、生きていては朋美にとっての脅威でしかない。


「うぇっ……」


 吐きそうになるけれども、まだ襲われている人がいる。助けるためにも急いで向かわないといけない。

 朋美は吐き気を無理やりの見込み、生きているゴブリンにとどめを刺しながら、女性たちがいた広場へと向かった。



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「あ、良かった! 無事だったのね!」


 朋美が部屋に戻ると、エリシアと蘭子がすでにゴブリンを片付けた後だった。


「エリちゃん! らんちゃん!」


 朋美は二人に駆け寄る。実際、戦うのは恐怖しかなかった朋美は二人に抱き着くとわんわんと泣き出した。


「よ゛がっだぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」

「と、とも?!」

「朋美、頑張ったね。もう大丈夫だよ」


 蘭子は泣きじゃくる朋美に驚き、エリシアはそんな朋美の勇気をほめたたえ、安心させようと頭をなでる。


「朋美がゴブリンを何体か引き受けてくれたおかげで、今ここにいる子は全員無事よ。お手柄だったわ!」

「う゛、う゛ん。わ゛だじ、頑張っだよ゛ぉ゛!」


 泣きじゃくる朋美に、助かった女性が声をかける。


「あの、あなたたちのおかげで助かりました」


 ただ、状況を考えれば、一時的に危機をしのいだに過ぎない。

 すでに1名ゴブリンにやられて肉体的に、精神的にもダメージを負っている人がいるので、今いる6人を全員無事に元の場所に戻せるかわからない。

 エリシアはその考えを飲み込んで、明るくふるまう。


「いえ、あなた方の悲鳴が聞こえたので助けたのは当然です。あたしたちが出口まで案内するので、この子が落ち着くまでちょっと待っててくださいね」

「わ、わかりました……!」


 大の大人がエリシアの言葉に安心するのを見て、蘭子はあきれる。

 とはいえ、現状戦えるのはエリシアと蘭子だけであり、武器も前のダンジョンのものから持ち越しになっているため、武器のない彼女らよりは安心なのだろう。


「すっかり安心し切っちゃって……」

「まあまあ。あたしたちが彼女らの希望にならないといけないからね」

「ふーん、まあ、ダンジョンに巻き込まれた連中だし、あーしらが助けないとだけどね」

「そういうこと。それはそうと、十代との連絡はついた?」

「ついたわよ。男子トイレは何も変化がなかったみたい。女子トイレに入ってみた感じだと、中は無人だったそうよ。どうやら、女性だけを取り込むタイプっぽい」

「あー……。だから、ゴブリンやオークが敵なのね」


 エリシアはいろいろと察してしまう。

 偶然にも助けることができたグループは被害者の一部なのだろう。

 そして、このダンジョンが男子禁制であることも同時に理解したのだった。

今回はガチの生物的敵対モンスターなので、殺すときの嫌悪感は出てきます。

なので、朋美に頑張ってもらいました。

殺らなければ、ヤられる状態で人を助けるために一般人だけど頑張るという感じです。


朋美は「幸運」キャラと「軍師」キャラという感じになります。

残念ながら今回は十代くんが活躍しないので、3人に頑張ってもらうことになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ