夏休みを満喫する その2
そして今日、あたしたちは市民プールにやってきた。
公共施設だけに、学校のプールをイメージしていたけれども全然違った。
池袋にあるスポーツセンターなのだけれど、屋内にある温水プールや子供用プールが常設されている。ほかにも、体育館や武道場などの施設をレンタルできるそうであった。
あたしたちは平日昼間からだったので、結構人が多い時間帯だったこともあり、3人ではぐれないように手をつないで十代達と合流する。
「おおぉ~。美女三人の水着姿とか、眼福以外にないですなぁ~」
輝明はなぜか古のネットスラング的な語り口調でそういう。
「輝明って結構スケベなんだね」
「そりゃ、俺はインターネットでいろいろと調べてますから!」
「女子に向かってそれは自慢することなのか……?」
思わず、十代が輝明に突っ込みを入れる。
「ともあれ、蘭子さんも朋美さんもエリさんも、3人ともかなり可愛い部類だと思うね。僕のクラスでもトップを張れると思うよ」
小南がそう断定する通り、蘭子も朋美もかなり可愛い。
蘭子は読者モデルにいそうなぐらい容姿は整っているし、手に打撃跡があることを除けば完璧だと思う。
朋美は前述のとおり、おっぱいは大きいし、スタイルもいい。目もぱっちりしているので、アイドルにいそうである。
……あたしもだいぶ日本の文化に慣れてきたわね。
あたしは、朋美程じゃないけどスタイルは良い。朋美よりも筋肉質だけれどもね。顔立ちは人形みたいと評される程度には整っていると思う。
「ふふふ、どう、十代?」
「お、おう……似合ってんじゃねぇか?」
朋美が十代に意見を伺い、十代は顔を赤らめながらぷいっと顔をそらす。
男子3人は普通に学校の水着を着用しており、輝明と小南は中肉中背で普通な感じである。一方、やはり十代は運動部なだけあり筋肉質でなかなか整った体つきをしている。顔立ちも熱血系イケメンなだけあって(最初は生意気そうな感じに見えたけど)、かっこいい。
「十代ってさ」
「おうなんだ、エリ」
「クラスで結構モテてそうよね?」
「……そうなのか? その割にはバレンタインチョコは朋美と蘭子、後は施設の後輩ぐらいからしかもらったことないぞ」
「あれ、そうなんだ? ってバレンタインチョコって何よ」
「ああ、そっか、知らねぇのか。まあ、あの時は日本語もあやふやな時期だったしな。ま、蘭子や朋美なら詳しく教えてくれんだろ」
「そう? まあ、十代には朋美がいるからモテなくても問題ないわよね」
「ばっ?!?! んなわけねぇだろ?! まあ、確かに俺はお前らがいるし、それで問題はないっちゃないが……」
わかりやすいなぁ!
「ンなことより、さっさとプールはいろうぜ! エリは泳げるよな?」
「たぶん大丈夫。輝明や小南は?」
「いや、戦いに向かないだけで、別に運動音痴でもないから大丈夫だろ。体育の成績は3だったしな」
あたしは十代とそんな話をしながら、みんなと一緒にプールに入る。
正直、めっちゃ楽しかった。
泳ぐのはそうだけれども、やっぱり友達とこういった遊びをするのは楽しい。
ボーリングもカラオケも楽しいけれどね。あたしの世界にはない遊びだ。
みんなと遊んでいる間、ずっと笑ってた。村で暮らしてた頃は妹たちの世話(それでも苦労だとは思わなかったけれども)やティアナと遊んでたりもしたけれど、ここまで遊びに夢中になって笑った記憶はない。
あたしも、【石橋エリシア】として、この世界でみんなと生きていきたいなと改めて思ったのだった。
「楽しかったね~」
「うん!」「そうねー、あーしも久しぶりに羽を伸ばした感があるわー!」
朋美の言葉にうなづくあたしたち。
「ここんところ勉強詰めだったらかなぁ。いい羽根伸ばしになったよ。美少女の水着姿も拝めたしな! だろ、十代くん」
「ま、まあそうだな。って輝明、その乗りは調子狂うからやめろし」
「十代くんはこれから、地方予選の試合が待っているからね。いい息抜きになったんじゃないかな?」
「まあな。全国大会に出るためにも負けられない試合だし、絶対に負けられないぜ!」
十代はそう言うと、あたしたちの方を向く。
「塾で忙しいかもしれないけど、応援しててくれよな!」
十代の言葉に、あたしたちはうなづいた。
「うん、もちろんだよ! 十代、頑張ってね!」
「あーしらも応援してるって」
「十代、頑張って!」
こうして、あたしたちは楽しいひと時を過ごしたのだった。
それから、朋美も蘭子も十代の応援に現地に行くとのことだったので、当然ながらあたしも、十代の応援に向かうことにしたのだった。
次回は野球の地方大会です。
全国中学校軟式野球大会は見たことないのでYoutubeでアーカイブ見てから書こうかなと思ってます。(記載時点)
まあ、甲子園みたいなものやろ!!(違う