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村娘だけど実は勇者の転生者でした  作者: 空豆だいす(ちびだいず)
異世界に飛ばされたけれど私は元気です
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異界化塾の探索

「おりゃあああああああ!!」


 謎の数字の持つ1と十代のバットが金属音を立ててぶつかり合う。

 反動で十代が吹き飛ばされる。


「十代!」


 十代は体制を立て直し、舌打ちをする。


「っちぃ! キモい見た目のくせに、やるじゃねぇか!」


 十代はそういうと、もう一度バットを振りかぶり、謎の数字に飛び掛かる。1とバットの壮絶なぶつかり合いが起きていた。


「てか、十代ってなんであんなにバチバチに戦闘できてるんだよ……」

「それに比べたら、陰キャ組の我々がなんで呼ばれたのかって話になりそうだね」


 輝明と小南がそう漏らす。


「とにかく、十代の援護をしないと! 《光鎧(ライトアーマー)》!」


 あたしは十代と蘭子の防御力を上げる。ちゃんと魔法が発動するようで何よりだった。


「まあ、あーしもなんでか知らんけどグローブ装備しちゃってるし、やりますかねっ」


 蘭子もそういうと謎の数字との戦闘に加わる。本当に喧嘩慣れしているのか、謎の数字の急所と思わしきところを的確に狙ってパンチを放っていた。

 ズドンという思い打撃音が響くと、謎の数字が苦しそうにうごめく。あれは苦悶の表情ということだろうか?顔っぽいところが苦しそうな表情を作る。全部数字で構成されているのがキモイ。


「おっしゃああ! 必殺! 特大ホォォームランッッ!」


 蘭子のおかげでできた隙を十代は逃すことなく、フルスイングしたバットを頭に直撃させる。肉と骨が砕け散る音が聞こえるが、かろうじてスプラッタにはなっていないようであった。顔っぽい部分はバットによって物理的にへこんでおり、どうやら何とか撃退できたようだった。謎の数字は少しすると砂のように溶けて消える。


「ったく、なんだったんだよ」

「エリ、何かわかるかしら? あーしらに説明がつく範囲で説明してもらえない?」


 蘭子にそう言われて、あたしは推論を披露することにした。


「推論だけどゆるしてね」

「大丈夫よ、推論から小南が仮説を考えてくれるだろうしね」

「それもそっか」


 自分でも、だいぶ言葉が丸くなったように感じた。


「たぶんだけど、基点はあたしで発生したと思うわ。前回の攻略メンバーが集合したのもたぶんそれが理由ね」

「魔術において、縁ってかなり重要といわれてるからね」

「じゃああれか、俺が持ってるバットが金属バットになってんのもそういう理由か」

「うん、そうだと思う」


 まあ、あたしの憶測に過ぎないけどね。

 ちなみに、あの青い魔法石は原因ではない。家において来てるからね。


「あたしがわかるのは、この異界化塾の基点はあたしになっていること、この異界を攻略しないと外に出れないこと、誰かがあたしを基点にしてそういう術を仕掛けていると考えられることね」

「えーっと、攻略ってのはやっぱり、ボスを倒すことで間違いないよな?」

「それは、最深部まで行ってみないとわからないのよね」


 それにしても、誰がどういった理由であたしを基点に異界化させているのだろうか?

 どちらにしても、巻き込まれてしまうみんな(特に十代は部活で野球やっているし)には申し訳がない。

 あたしとしても、不本意だしすぐにでも解決できるならば解決したいところである。


「しっかし、マジでゲームっぽいよなぁ。あの謎の怪人を倒した後に、瓶に入った薬が落ちてるぜ?」


 輝明がそういいながら、薬っぽい液体を拾う。


「ローグライクダンジョンで、不思議のダンジョンっぽいからね。その辺に役に立つ武器なんかも落ちてるかもしれないよ」

「あー、トルネコだっけ?」

「そうそう」

「リアル不思議のダンジョンとか笑えないなぁ」


 輝明と小南の話についてはよくわからないけれども、それぞれ何かこの異界化に納得がいく理由があったのだろう。


「ま、どっちみち元の場所に戻るためにも、このダンジョンと化した塾を脱出する必要があるってことだな」

「ま、そーゆーことね。巻き込まれてめんどいけど、テストの気晴らしにはなるっしょ」

「結構命がけだけどね!!!」


 あたしとしては、巻き込んで申し訳ない気持ちもあったが、やはり心を許せる友人たちと一緒に冒険ができることが嬉しかったりもして、結構複雑な気持ちになった。

 なんだかんだ言っても、一人で彷徨うことになればきっと詰んでいたと思うので、本当にありがたかった。


「みんな、巻き込んでごめんね」

「うんん、大丈夫だよ!」

「エリとあーしらは友達じゃん。友達が困ってたら助けるっしょ」

「おうよ! あの冒険以来度胸がついたって褒められるし、何も悪いことばかりじゃないんだぜ」

「まあ、友達に頼られて悪い気はしないよね。戦闘要員じゃないけど頑張るよ」

「僕と輝明君はギミック担当と思ってもらえればいいかな」


 なんだかんだ言って、元の世界と合わせてもちゃんと友達になったのはティアナぐらいであった。

 残念だけど、分かれて以来全く連絡を取れてないまま現代日本に来てしまったわけだが。

 今頃、彼女は何をしているのだろうか? あたしには知るすべがない。

 それよりもまずは、異界化した塾からの脱出である。


「ありがとう。それじゃあ、みんなで力を合わせて異界(ダンジョン)から脱出しましょ!」

「おおー!」


 あたしたちは円陣を組んで、気合を入れたのだった。

エリシアと朋美以外の他の人は死んだわけではないです。

ただ、エリシア立ちがダンジョンを攻略できないと塾に閉じ込められることになります。

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