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青春学論  作者: 八神 漣
〜5人の出会い〜
1/3

入学式


春、桜が咲き風に吹かれ花びらが散り、地面をピンクに

染める頃。ほとんどの高校生が入学式をむかえる。

そして、俺もその内の1人だったりする。俺の前には、

多分同じ学校に入学するであろう生徒達がいる。

まぁ、そこは特に問題ない。問題なのは、俺が入学

するであろう学校そのものだ。同じ方向に向かう

生徒の内、女子は白椿女学院という女子校に入る。

だが、俺はそこに入らない。当たり前だろ、そう

思った奴もいるだろう。だがしかしだ。実は俺、

女である。こんな口調だが、れっきとした女だ。

そして、これがとても重要なことだ。女の俺が

女子校ではない他の学校に入学することになるのだが、

そうなるとこの先にあるのは共学校だと誰もが思うだろう。

だが、この先にあるのは共学校ではない。


「……女子がいない」


そう、俺が入学する。……いや、正しくはさせられる学校は

なぜか男子校なのだ。


「当たり前のことを嘆いてどうすんだ」

「……結」


後ろから声がしたので振り向くと、そこにいたのは

幼馴染の倉田結だった。結とは親同士も仲が良い為、

付き合いは結構長い。


「おじさん、本当にこっちに入学させたんだな」

「結がいるなら大丈夫だろとか、わけのわからない理由でな。

……いまだに頭が痛いよ」


俺がそう言うと、結は少し呆れた顔で笑っている。

結、笑い事じゃないんだぞ。世間一般的には、

ありえないことなんだって。父さん、男子校には

色々リスクがあって、俺にとってすごくアウェイな

場所だってわかっているのだろうか。母さんも

止めてくれたって良かったじゃないか。うちの

両親はどちらも頭が良い筈なのに、こういう所がバカだ。


「葵、見えたぞ」

「うわぁ……」


白椿女学院を通り過ぎ、ゆるい坂道を下って行くと

もう1つの学校が見えた。ここが俺が入学する所。


「青葉学園か」

「ほら、早くクラス分け見に行くぞ」

「あぁ、うん」


そう言いながら俺達は、青葉学園の校門をくぐった。

そして、クラス表が貼り出されているであろう掲示板の

所に足早に向かった。だが、その掲示板の前はもう

たくさんの人でいっぱいだ。


「結、あったか?」

「あぁ、俺もお前も1ーBだ」


おぉ、結と同じクラスか。すごく心強い。

そして、クラスのメンツが酷くなければ文句はない。


「お、イセ!」

「おー、植村。お前も受かってたのか!」

「おぅ、スポーツ推薦でな」

「野球か!」

「おぅ!」


ふと、聞こえた会話。へぇ、ここスポーツ推薦も

とっているのか。知らなかった。いや、

知らなくて当然なのか。ちなみに、俺は特待生

受験でトップ合格だった。あとで、そのことを

父さんから聞かされて驚いた。ついでに、恒例

だから読めと言われた新入生代表の挨拶。……正直、

めんどくさい。


「あれ、倉田?」


突然、誰かに呼び止められた。正しくは倉田が。

だが、声のした方を俺はつい条件反射で振り

向いてしまった。すると、そこにいたのは

中性的な顔立ちの男子。誰だろうか。


「お前、野上か?」

「うん。高校、ここだったんだ。久しぶり」

「あぁ、久しぶり」

「そっちは、友達?」


ん?あ、それは俺のことか?


「いや、幼馴染だよ。神崎、こいつ俺の友達」

「野上昶だよ」

「よろしく、俺は神崎葵」

「よろしく」


野上か。でも、こいつどこかで見たことある気が

するんだよな。思い出せないが……。


「倉田達は何組?」

「B組だよ」

「あ、俺も」


野上もB組なのか。これは楽しくなりそうだ。

チャイムが鳴り、俺達は教室へ向かう。

それから、体育館で入学式が開かれた。俺は、

無事新入生代表の挨拶を終えた。その後、

これからのことを説明してもらった。ふと、

窓の外を見ると桜が舞っていた。まるで、俺達

新入生を祝うかのように。それを見ながら俺は、

ここでは平穏な日常を送れたらそれでいい、と

静かに心の中で思った。

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