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アルサス王

数日後、人間族の大陸(アルカディア)にたどり着いたフィンとマナは、足止めをくらっていた。


大陸(アルカディア)では戦争の為、各地の町や村の神殿で上陸証明書なる物を作られていた。


町や村に入る度に、どこから来た者かを識別する為のようだ。


この証明書が無い者は、町に停留する事を禁止されるシステムだと門番に伝えられた。


マナは出生地がこの世界で無いため、フィンが一度訪問した事がある村の名前を借り、冒険者として登録をする事にした。


フィンも身分を隠す為同じ村の冒険者として登録を出した。


神殿では沢山の病人や子供達が、所狭しとひしめいていた。


マナはフィンに頼み暫く神殿の人びとに治療を施した。


人間族は魔法を使用出来る者が戦争に駆り出されている為、村や町にいる人々は住人や商人が殆どだった。


親や兄弟を戦争で亡くした子供達は、皆やせ細り明日生きる事さえ出来ぬ程生気を失っていた。



《ここも昔はエルフやドラゴン族が、行き交い栄えた港町だったのですが、戦争のせいでこの有り様です。アルサス王は何を考えているのか…》


《フィン様、必ずアルサス王にお会いして、戦争を辞めて頂けるようにお願いします。か弱き者が戦の犠牲になるなど、あってはいけない事です。》


《そうですね、まずはアルサス王が今どの辺りにおられるのか、人々の情報を集めましょう》


フィンとマナは神殿から離れ、情報を得る為町の酒場に出向いた。


酒場は港町の酒場にしては静けさを携えていた、店に入ると酒場の主人らしき年配の男が出て来た。


《すいません、まだ準備中で…》


《いえ、すいませんご主人。少しお聞きしたいのですが、宜しいですか?》


《何でしょうか?》


《今アルサス王の軍勢はどの辺りに駐留しているか、知っておられますか?》


酒場の主人は訝しそうに、私とフィンを見つめた。


《私達はアルサス王の軍隊に入りたいのです、お願いしますおじいさん》


マナが頼むと主人はぽつりぽつりと話し始めた。


《分かりました。先ず、私の話しを聞いて下さい。アルサス王は何かがおかしくなってしまわれた。昔のアルサス王は人の良い若者じゃった。わしはアルサス様と産まれが同じ村でな、良く私の家の手伝いをしてくれて、本当に優しい若者だったのじゃ。ある日、アルサスが道で凄い石を拾ったと騒いでおった。しかし、村の者は只の石だと取り合わなかった…。そしてその後にあの事件がおこったのです...》


おじいさんは思い出し目に涙を浮かべながら、語り続けた。


《それはアルサスが石を拾って1ヶ月程たった時だった。


石には不思議な力があってな。

アルサスは石の力を使い村人達の手伝いをしていたが、石の力のせいか次第に何かを恐れる仕草をするようになっていったのじゃ。


私や家族でも安心でき無いようになり、次第に人を遠ざけるようになって行った。


そんな時だった、アルサスが牛の世話をしていた時、兄弟の一人がアルサスの使っていた石を黙って隠した。


軽い悪戯だったのだ、しかし、疑心暗鬼に陥っていたアルサスは恐怖におののいた。そして次々と石の力を使い、家族を葬り去ったのです…。


それからアルサスは誰の話しも聞かず、石の力を使い王族の地位まで昇り詰めたのです。私が何を言っても彼は聞こうともしなかった…。


地位を手に入れたアルサス王に何が起こったか分からないが、王は戦の開始を宣言なされた。


その後、男は戦に借りだされ、今残っている人間族は私達老人や子供達、商人や聖職者、そして王族のみで若い者はおらん。


アルサス王はきっと大陸の真ん中にある、赤宮の神殿におられると思います。


あそこは一番四方からの守りが堅い宮ですので…。


赤宮の近くの森に住むハンターをお訪ねなさい、彼はアルサス王に仕えていたハンターだ。


何か手助けをしてくれるじゃろう》


(有り難うございます、おじいさん》


マナはおじいさんに、必ず元のアルサスに戻すと約束し店を後にした。


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